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なんですとーー!
虚無!
これはこれは!
そうか、妖怪め!
ワシは、目の前が、また、先程の店の中の景色に変わったのがわかった。
ワシは、もう一度会いたいと思っていた去年亡くした妻に会えたのだ。
あの声、あの身体、あの髪の毛。
本物だった。
まだ、浴槽の湯の中に揺蕩っている気分だ。
「女将!これ、くれるか?」
「はい、まいど」
「いくらだ?」
「100万と言いたいけど、いいわ、このウーロン茶の値段で」
「えっ、いいのか?」
それ以後のワシは、風呂に入る度に、元妻の身体を洗った。
風呂に入ると、病気で痩せ細った彼女がすまない、すまないと言いながら、背中を見せて待っていた。
ワシは、段々と、億劫になっていった。
今日も、彼女の身体を洗う。
「もう少し、優しく、ほら、新婚の時のように。ああ、ダメ。もっと丁寧に。そこはデリケートなんだから」
段々と注文も多くなり、ワシは、ワシは、彼女の首を!
そうだ、思い出した!
ワシは、彼女の介護が嫌になり、彼女を殺したのだ、首を締めて!
今も、庭に埋まっているハズだ。
くくくくく、あはははは!
そして、この男は、浴槽で死んでいた。
通報して来たのは、とあるおばさんだったらしい。
浴室内には、ウーロン茶のペットボトルがあったそうな。
おわり
幸せのカタチは人それぞれ、良いお話ですね。
最後の店主には驚きですが、これもまた面白いです。
作者からの返信
出っぱなしさん、コメントありがとうございます!
幸せの形はそれぞれですよね、本人が気づかないなんてことももちろんあって。
いろんな感情はどんな味がするのかな?なんて想像して書いていたら、ちょうど出っぱなしさんのワインのエッセイを見つけ、美味しい気分を味わいました✨
ジビエは好きだけど、カンガルーは食べたことないな・・・・でもワインに合いそうですよね、なんとなく!
私もワイン好きです。詳しくはないので、大人だけでフレンチに行くときは、ペアリングをお願いしたりもします。
エッセイもまた読ませていただき、勉強できるのが嬉しいです。
ありがとございました。
やっぱり良いお話です。
小説家の成り方は人それぞれですが、書き始めた時の気持ちをいつまでも大切にしたいです。
作者からの返信
このお話、私も好きです!
子供向き書いてたから息抜きで描き始めて、今もまだ続いているという・・・・
読んでもらえて嬉しいです!