第八話 魔導書見つけて、まぁ~どうしょ?
「で、『サキエル』ってなんなん?」
カッシュは、思い出したように咲季に問いかけた。マドラガダラの
「ああ。
「ふーん。なんや、そのまんまやな」
「そのまんまでいいのよ、こんなの」
そう言いながら咲季は、膝の上に乗せた
「んあー、いくら博識なワイちゃんでも、これはムリやなー。ぜんっぜん読まれへんわー」
そう言いながら、カッシュは咲季の方を見た。
「……読めるん?」
「……読めるわね」
ページに視線を落としたまま、咲季は答えた。
「なー、なんで読めるんや?」
「そういえば、なんで読めるのかしら」
「超古代文字やぞ? 王立魔法学術アカデミーの
「へー、そうなの? すごいわね、私」
と、まるで
「ホンマ、大したもんや」
怪しげな超古代文字の羅列をまじまじと見つめすぎたせいか、気分が悪くなってきたカッシュ。咲季の肩から降りると、後ろ肢で頭をかきながら言った。
「ひょっとしたら、これはこの
「固有スキルって、超古代文字の解読が?」
「せや。いくらスーパーウルトラレア級の
「最強かぁ……。うん、イイ響きじゃない!」
バタン! と
「ほんで、その
「うん……ざっと流し読みしたかぎりだけど、ほとんどが攻撃魔法みたいよ」
とりあえず重要アイテムも手に入れたということで、咲季とカッシュは
「攻撃魔法か……。
「ま、さすがにそんなうまくいかないでしょ。……それでさあ、カッシュ」
「なんや?」
「使ってみたいんだけど、これ——」
咲季は、マドラガダラの
「魔法か?」
「うん! でも、
カッシュはその場で立ち止まり、すこし考えてから言った。
「どやろな。エルフやったら、誰でも多少の魔力は持ってるもんやし、とりあえず使えはするやろ。とはいえ魔法ちゅうもんは、使う
「そっか、うーん……」
手にした
「べつに気にせんと、適当に
「そうね、よぉし……」
「待て待て! こっち向けて撃つなや?」
まっすぐ自分の方に目がけて、なにやら呪文を唱えようとしていた咲季を、カッシュはあわてて制止した。
「冗談よ」
「冗談に思われへんのやけど。……あー、向こうや向こう! あっちの崖のほうにしぃ!」
カッシュが指差した方角は森林が途切れ、切り立つ崖を見下ろすような地形となっていた。空中に向かって放てば、山火事を起こすようなこともあるまい。
「あと、はじめはなるべく軽めのヤツにしとき。『
「はいはい」
咲季は、マドラガダラの
「——
呪文を唱えおわり、右手を前に突き出す咲季。しかし火球どころか、火花ひとつ飛び散らない。
「……出ないわよ?」
「……出ぇへんなあ」
首を
だが、そのときだった。突如として、上空にぶあつい黒雲が沸き起こったかと思うと、そこから真下に目がけて無数の火の玉が乱射されはじめたのである。
ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ!
ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ!
ドシュドシュドシドドドドドドドドド
「お、おいサキ、なんやこれ!」
瞬く間に、崖の下は灼熱の炎に包まれた。カッシュは、目の前で繰り広げられる壮絶な爆撃シーンになすすべもなく、呆然と立ち尽くしていた。
「あ、もしかして……」
そのとき、
「いまの、『
「なんやってぇーー?」
続く
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