第517話


 切間が構え直す。

 陸雄が捕球して、構える。


(オレのリードがある程度詠まれている以上―――大胆にリードを変えるのも少し危険だ)


 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 切間がジッと見る。

 指先からボールが離れる。

 内角低めにボールが飛んでいく。

 切間が窮屈そうにスイングする。

 打者手前でボールが変化せずに真っ直ぐ飛ぶ。

 そのストレートをバットの軸で捉える。


「打たれたのは速度不足か―――」


 ハインの小声は金属音と共に消える。

 カキンッと言う金属音と共にボールが三遊間を抜ける。

 切間がバットを捨てて、一塁に走る。

 レフトの錦が走り、手前でバウンドしたボールをグローブで捕りに行く。

 切間が一塁近くまで走っていく。

 錦がグローブでボールを握った時―――。

 切間が一塁を蹴り上げる―――。

 錦がセカンドの九衛に中継する。

 九衛が捕球して、星川に送球する。


「―――セーフ!」


 ファーストの星川にボールが渡ると塁審が宣言する。

 星川が陸雄に送球する。

 ランナーが一塁ワンアウトの場面―――。

 陸雄が捕球して、息を整える。

 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「香月高校―――二番―――」


 二番打者が打席に立つ。

 陸雄が構え―――打者も構える。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷いて、投球モーションに入る。

 打者がバットを短く持つ。

 指先からボールが離れる。

 外角低めにボールが飛んでいく。

 打者がスイングする。

 打者手前でボールが右に曲がりながら落ちていく。

 バットの上部にボールが当たる。

 カコンッと言う音でサード方向にボールが低く飛ぶ 

 サードの大城の真横に白線に転がる。

 ファールだった。

 審判からハインが新しいボール貰う。


(リクオのカーブが打たれたとはいえファールか。制球は悪くなくなってきているがその分球速がいつもより落ちている)


 ハインが送球する。

 陸雄が捕球して、構える。




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