第506話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「三回の裏―――香月高校の攻撃です。一番―――ピッチャー、切間君―――」


 切間が右打席に立つ。

 守備位置に着いたメンバーが構える。

 ボールを持った陸雄がハインを見て、構える。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷いて、セットポジションで投げ込む。

 切間がジッと観察する。

 指先からボールが離れる。

 外角高めにボールが飛んでいく。


「そのコースは―――」


 切間がタイミングを合わせて、スイングする。


「―――予測済みだぜ!」


 バットの軸にボールが当たる。


「―――初球打ち!?」


 切間が陸雄のストレートを打ち上げる。

 カキンッと言う金属音と共にボールが高く飛ぶ。

 打球が二遊間を越えていく。

 センターの灰田が前に走る。

 切間がバットを捨てて、一塁に走る、

 セカンドとセンターの中間位置にボールが落ちる。

 灰田がバウンドするボールをグローブで拾い上げる。

 切間がその間に―――余裕を持って、一塁を踏む。

 灰田が星川に送球する。

 ファーストの星川が捕球する。


「―――セーフ!」


 塁審が宣言する。


「陸雄君。打たれてしまったのはしょうがないです。切り替えていきましょう!」


 星川が陸雄に送球する。 

 陸雄が捕球して、頷く。

 そしてキャッチャーボックスを見る。


「香月高校―――二番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 二番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷き―――打者が構える。

 セットポジションで投げ込む。

 打者がジッと観察する。

 指先からボールが離れる。

 内角高めにボールが飛んでいく。

 打者がタイミングを合わせて、スイングする。

 打者手前でボールが半個分落ちる。


「―――なっ!?」


 陸雄が声を漏らす。

 バットの軸にボールが当たる。

 カキンッと言う金属音と共にボールがやや高く飛ぶ。

 切間が一塁から二塁に走る。

 ボールは三遊間を抜ける。

 打者がバットを捨てて、一塁に走る。

 レフトの錦が走る。

 錦が前方にバウンドするボールをグローブで捕る。

 その間に―――切間は二塁を踏み。

 打者は一塁を蹴り上げていた。

 錦がゆっくりと一塁に送球する。

 星川が塁を踏んで捕球する。


「―――セーフ!」


 塁審が宣言する。

 ハインが違和感を覚え始める。



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