第507話
星川からボールを受け取った陸雄が構える。
ランナーが一、二塁でノーアウト。
ウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「香月高校―――三番―――レフト―――三岳君―――」
三岳が左打席に立つ。
ハインが少し考え込んで―――サインを遅めに出す。
三岳が構える。
陸雄が頷いて、投球モーションに入る。
三岳がジッと観察する。
指先からボールが離れる。
外角やや低めにボールが飛んでいく。
三岳がタイミングを合わせて、スイングする。
打者手前でボールが一個分落ちる。
「まさか―――!」
ハインがハッとする。
バットの軸にボールが当たる。
「また初球打ちだと!?」
陸雄が声を漏らす。
チェンジアップを三岳が打ち上げる。
カキンッと言う金属音と共にボールが高く飛ぶ。
二遊間を飛び越える。
センターの灰田が後方に走る。
切間が三塁に走り、一塁ランナーが二塁に走る。
そしてバットを捨てた三岳が一塁に走っていく―――。
外野フェンスにボールがぶつかり、そのまま地面に転がる。
レフトの錦もカバーに入り、ショートとセンターの中間位置に移動する。
灰田が拾って、錦に中継する。
切間が余裕を持って三塁を踏む。
錦が二塁に送球する。
一塁ランナーが二塁にタイミングギリギリで踏む。
セカンドの九衛が塁を踏んで捕球する。
「―――セーフ!」
塁審が宣言する。
九衛が星川に送球する。
三岳が一塁を踏み終えて、待っていた。
星川のグローブにボールが入る。
「―――セーフ!」
別の塁審が宣言する。
ノーアウト、ランナー満塁―――。
星川がやや緊張して、陸雄に送球する。
陸雄が捕球して、冷や汗をかく。
ハインが考え込み始める。
(これで三回連続―――偶然にしては…………)
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