第404話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「大森高校―――八番―――サード―――大城君―――」


 大城が左打席に立つ。

 灰田がガッカリする。


「あーあ、宮古島の沖縄マントヒヒじゃあ、このイニング終了かぁ」


 山田がサインを送る。


(ストレートオンリーでいくじゃんか)


 速水が頷く。

 大城が構えると同時に―――速水が投球モーションに入る。


「メンソーレ! 早い投球サー! 噂のスクリューが―――」


 大城が言い終える前に―――指先からボールが離れる。

 真ん中にボールが飛んでいく。

 大城がフルスイングする。

 タイミングが合わずに山田のミットにボールが入る。

 スコアボードに123キロの球速が表示される。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 山田が返球する。

 速水がキャッチして、すぐに構える。

 大城が構える。


「メンソーレ! フォーシームのストレートだったサー。次は打てるサー」


 速水が無視して、投球モーションに入る。

 大城がスタンドによそ見をする。

 

「メンソーレ! あそこのチアガールパンツ見えてるサー!」


 速水の指先からボールが離れる。

 勃起したままの大城の打席を通過していく。

 真ん中のストレートが飛んでいく。

 山田のミットにボールが収まる。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに130キロの球速が表示される。


「打席で立てるバットが違うじゃんか―――」


 大城に突っ込んだ山田が返球する。

 速水が受け取る。

 大城が打席を見ずによそ見で構える。


(メンソーレ! もう少しでチアガールのあの微筋肉質の太ももの先のパンツが拝めるサー)


 大城が勃起したままバットを構える。

 速水が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 真ん中高めにボールが飛んでいく。

 大城はチアガールのパンツを拝むことなく―――ボールが山田のミットに入る。


「―――ストライク! バッターアウト! チェンジ!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに128キロの球速が表示される。

 灰田がガッカリしてベンチに戻る。


「あの宮古島の沖縄マントヒヒ―――マジクソだわ」


 灰田が大城を睨む。




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