第142話


「西晋高校―――五番―――」


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。

 五番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 外角低めにボールが飛ぶ。

 打者が振り遅れる。

 ストレートが打者を通過する。

 ハインのミットにボールが収まる。


「―――ストライク!」

 

 球審が宣言する。

 ハインが返球する。

 サードの坂崎がジッとそれを見て、呟く。


「な、なんだろう? い、今二人の息が今ピッタリとしている気がした。ま、まるでバッテリーが一つの生き物のように見える」


 松渡がボールををキャッチする。

 スコアボードに136キロの球速が表示される。

 西晋高校の監督が急速に驚く。


「あれだけの速度を持っているのか!? くぅ! 大森高校は錦以外にも守れる逸材が眠っていたのか! なんで弱小校にあれだけのスター選手が揃っているんだ! ええいっ! ジェイク! 何としても本塁に返せ!」


 西晋高校の監督がサインを送る。

 五番打打者が頷いて、構え直す。

 ハインがサインを出す。

 松渡が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 また外角低めにボールが飛ぶ。


(配球に雑さが出たな! 打てるんだよ!)


 五番打者がスイングする。

 打者手前でボールが下に沈んでいく。


「な、何っ……フォークボール!?」


 バットが空振る。

 ボールがストライクゾーンを通過した後からバウンドする

 ハインが跳ねるボールを捕球する。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 ハインが返球する。

 スコアボードに118キロの球速が表示される。

 松渡がキャッチする。

 打者が再び構え直す。


(くそっ! ツーストライクだ。次はボール球を投げてきそうだな)


 ハインがサインを送る。

 松渡が投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 真ん中高めにボールが飛ぶ。


(高すぎる。ボール球だな。そんな誘い球乗るかよ!)


 打者手前でボールが沈むように落ちていく。

 高めのストライクゾーンにボールが入る。


「フォークボールを深く握って、調整しやがった! 握力どうなってるんだよ」


 打者が声を漏らして、項垂れる。


「―――ストライク! バッターアウト! チェンジ!」


 球審が宣言する。

 三回表が終わり、メンバーがベンチに移動する。



 三回裏が始まる。

 大森高校の攻撃となり、現在の点差は8対2。

 大森高校の優勢でハインが打席に移動する。



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