第3話
木造の家に訪れる
酒のせいかとも思ったが、どうも違う。
自分の身の内から温かいのではない。何か、保温性のあるものに包まれているような。
上等な毛布か、毛皮か。肌に柔らかな毛並みが触れている気がする。
身体を丸めてふさふさの毛に擦り寄ってみる。
やっぱり、
この温かさの元は自分の体温だけではない。毛並みの方にも体温があるのではないか。
じっとしていると、自分の呼吸とは別のリズムを感じる。生きている。目を開けて確かめられたら良いのに、何故かそれは叶わない。
頭の中はふわふわと雲の上にいるみたいで、安心しきって弛緩してしまった。
自分以外の体温に触れているだけで、こんなにも満たされる。
けれど、本物ではないような。
この
ごおん。
ごおん。
頭上から微かに
覚えのある美味しそうな匂い。
なんだっけ。これ。
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