第11章 さみしい気持ち
夏の日差しが真っ直ぐに降り注ぐ頃には、見知らぬ感情も顔を出さなくなり、わたしと翔太はいつもと変わらず毎日のように一緒に過ごしていた。
とはいっても、凛とも同じ職場ということもあって、時折、翔太と凛が仲良く話をしているところを見かけては、複雑な思いが時折顔を出すこともあった。
その日は休日で、翔太の家で過ごしていると「今度さ、前の支社のみんなで会うことになったんだ」と翔太が言った。凛がみんなに声をかけ、飲みに行くことになったと。わたしの心の中の見知らぬ感情がざわざわと音を立てた。いつ会うの?と尋ねると、「来週の金曜日」と翔太が答えた。わたしは、そっか。楽しんできてねとだけ答えると、「その日はLINEできないかもしれない。ごめんね。」と答えた。わたしが、大丈夫と言うと、翔太は「帰ったらLINEするね」と申し訳なさそうに言った。
それからというもの、凛と翔太が会話しているところを見かけては、わたしの心の中にちょっとずつ影が忍び寄ってきていたが、わたしは、その感情を無視して仕事に集中するようにパソコンに向かっていた。
約束の金曜日、翔太はわたしのところに来て「行ってくるね」とだけ言い、凛と一緒に退社していった。わたしは、2人の後ろ姿を見送りながら、小さくため息をついていると、後ろから杏が「あの2人どっかいくの?」と声をかけてきた。わたしが説明すると「そっかー。そしたら、今日は2人でどっかいく?」と尋ねてきた。わたしはありがとうと答えたが、どうしても誰かと一緒にいる気持ちになれないと話すと、杏は「そしたら、また今度行こうね」と優しく声をかけてくれた。半分泣きそうになりながらも、ごめんねとだけ答え、わたしはその日の仕事を終え退社した。
家に帰ってからも2人の後ろ姿がチラチラとちらついたが、わたしは夕飯を食べた後、半分LINEに心が気になりながらも動画を見ながら過ごしていた。0時をまもなく過ぎようとした頃、翔太からLINEが届いた。「ただいま」と一言だったが、わたしは嬉しくなり「お帰り」と返信したが既読はつかなかった。それに、寂しさを覚えながら、少し待っていると既読がつき、翔太から「シャワー浴びてくるね」と返信がきたが、すぐにまたLINEからいなくなってしまった。その後もLINEが来ることもなく、わたしはおやすみなさいとだけ送り、さみしい気持ちを抱えながらベッドに横たわった。わたしは大丈夫と小さく呟き部屋の明かりを消した。
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