第5話 予感

翔太は、分け隔てなく誰とでも仲良くなれる人で、誰にでも優しい人だった。そんな人だったので、周りの人と慣れるのもそう時間はかからない様子だった。

まだ、仕事は杏と一緒に行動するため、わたしたちは必然的にランチを一緒に食べることが多かった。杏が言うには、とりあえず今週は一緒に仕事をするようだった。今週は仕事もなかなかハードで、ランチ以外はほとんど会話をする機会もなかったが、わたしと翔太は、時々写真のことをLINEで話すようになっていた。


仕事が忙しいのもあって、あっという間に週末になった。明後日は蓮と一緒に部屋探しに行く予定になっていたが、今日までに仕事が終らず、明日は休日出勤することになっていた。気が重いなぁと思いながら、ふと翔太のSNSを見ようと思って、開けずにいたことを思い出した。仕事の忙しさでそんなこともすっかり忘れていたのだ。わたしは翔太のSNSを開いた。主に空の写真が多かったが、それ以外にも街並みや花の写真などもあげているようだった。スクロールしていくと、見たことのあるステンドグラスの写真が目にはいった。わたしは「あ!これ」と小さく声を出した。それは、わたしがよく行くカフェのステンドグラスと同じものだった。

もしかして、翔太も行ったことあるのかな?と思い、聞いてみようとLINEを開こうとしたとき、蓮からLINEが届いた。土日急遽出張になってしまい、家探しに行けなくなったという内容だった。わたしは「仕方ないよー。仕事だもん」と返しながら、心のどこがでほっとしている自分に気づいた。そんな自分に戸惑いながらいると、蓮からは、「ほんとにごめんな」と謝罪のLINEが届いていた。「ほんとに気にしないで」と返したが、何かを刺したような小さな罪悪感が、わたしの心を覆っていた。少しの間蓮とLINEした後、わたしは「もう寝るね」とLINEした。蓮は、「また家探しの日にち決めような」と申し訳なさそうに返信してきた。「うん。大丈夫。おやすみ」といれると、蓮からも「おやすみ。大好きだよ」と返ってきた。わたしはその言葉に反応出来ず、そっとスマホを閉じた。

翔太と出会ってからのわたしは変だ。心のどこかがずっともやもやしてる。わたし自身このもやもやがなんなのかずっと分からずにいた。初めて会ったあの日からずっと。

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