第3話 写真
久しぶりに定時で仕事を終えたわたしは杏に「帰るよー!お疲れ様」と声をかけた。杏は「珍しいーお疲れ様。わたしはもう少し仕事してくわ」と笑って手を振り、またPCへ視線を戻した。
わたしは家の近くにあるカフェで、夕飯を食べることにした。昭和レトロを思い出させるような、小さなお店で、窓に貼られている、天使のステンドグラスが、特にわたしのお気に入りだった。
「こんばんは」お店に入り店長に声をかけると、「おかえり」と笑顔で返してくれた。店長と少し会話をした後、いつも食べているサラダボウルとカフェラテを注文したわたしは、昼間に撮った空の写真を編集するためにスマホを開いた。いくつか修正して、コメントをつけSNSにアップした後、フォロワーさんの写真を見ていると、わたしが撮った写真と、似たようなアングルの空の写真を見つけた。アカウント名は空。その人のアップした他の写真を見ようとした時、蓮からLINEがきた。蓮はわたしの彼氏で、もう付き合って2年になる。そろそろ一緒に住もうかと話しているが、お互い仕事が忙しくて、家探しがなかなか出来ずにいたが、今週の日曜日に、ようやく家探しに行けることになった。待ち合わせの時間を決めたと同時に、ちょうど注文した夕飯を店長が運んできた。店長に、蓮の話をしながら夕飯を食べたわたしは、会計を済ませ家に帰った。その時には、すでに空の写真のことはすっかり忘れていたのだった。
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