第7話酷い事しちゃダメだよ

「物資を止めてるんだ」

「え!?」

私に膝で気持ちよさそうに寝ているギャランが、さらっと、普通に驚く事を言ってきた。

「何で止める必要があるの?だって、私はセルボ様から婚約破棄されたんだよ」

ギャランのサラサラの茶色い髪の毛を触りながら首を傾げた。

元々の計画は私の卒業式に、セルボ様と私の婚約解消をしてもらう代わりに、物資をこれまで通りこの国に運び、断れば物資を止める、と脅しをかけるつもだった。

無事婚約解消されれば私は、家族と、近しい親戚を連れて帝国へと行く算段なっていたから、屋敷の引越しはかなり前から準備してた。だがあちらから悪役令嬢だの言われ、少し計画と狂ってしまったが、予定通り婚約解消もされましたので、何の問題もなく国を出、帝国に向かい入れられたのである。

だから、物資を止める必要はないのでは?

「だって、スティングレイをあんな風に扱った国だ。おしおきは必要だろ?」

にっこりと私に微笑みながら、髪の毛触っていた手を自分の頬に当てた。

瞳に剣呑な光をが見えた。

私にはとても優しいが、若き冷酷な皇子、と呼ばれているのは知っている。

実際何をしているなんか知らない。恐らく私には見せないようにしているのだろう。

「・・・でも、セルボ様達はともかく国民は関係ないわ」

「言うと思った。スティングレイは優しいからね。じゃあ仕方ないなあ。俺達の婚約披露の招待状もまだ送っていないから、その時に許してやろうかな」

楽しそうに言いますけど、まだ招待状を送っていないなんて、意地悪ですね。

「あんまり酷いことしちゃダメだよ。もう、関わりたくないから」

「関わりたくない、か。分かった。じゃぁそうするな」

ん?

とても含みのある物言いで楽しそうに微笑むと起き上がった。

「そろそろ休憩は終わりだな。ダンスの練習の続きをしようか」

「うん。ねえ、さっきも言ったけど、あんまり酷い事しちゃダメだよ」

「分かってるよ。でもねえ、俺はかなり怒ってるよ」

優しく言いながら、そっと頬に口付けし立ち上がった。

「さあ、行こう」

手を差し出され、

目が怖いよ、

と溜息をつきつつその手を取りました。

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