第5話独り言2
「プラド様の仰るように裏庭にて2人で話をしました。それは私が呼びました」
呼び出しました、とは言いませんよ。
そうでしょう!とはプラド様は言わなかった。セルボ様からゆっくりと青ざめた顔で離れていく。
セルボ様はやっとほっとし、得意げになったが、お2人が自分から離れている事に気づいていない。
「その場所で如何わしい逢い引きをしていると生徒から報告受けまして、行ってみましたら、モジュール家の紋章が入ったブローチを拾いました。疑う訳ではありませんが、確認のため来ていただき話をしました」
「プラドがそんな事するわけが無いだろ!!」
「ですが、お相手の生徒が無理やり呼び出され迫られた、とタフト先生に慌てて相談にこられましたよ。プラド様から頂いたと言う恋文を持っていて、とりあえずお断りに出向いたら、ここでは言えないようなハレンチな迫り方をされたらしく、困っているんです、だから逢い引きではありません、と。ああ、プラド様という、同姓同名かもしれませんね。でも、いましたかしらん?」
「うっ」
「まあ、その時プラド様は私ではないと仰ったので、ブローチを付けてさしあげましたら、刺し方が悪かったようで少し穴が大きすぎてしまったのです」
「・・・ち、違い・・・ます・・・」
「あら、だって始めから胸のあたりが破れていましたよね。ふくよかな胸で弾けてしまって破れたのでしょうね。ですからそれは私のせいではありません。でも、ちらりと見えたお綺麗な白い胸に幾つもの赤い内出血が見られましたが、もう治りましたか?」
にっこりと微笑んで質問すると、へたりと青ざめ座り込んだ。
この方は殿方が好きすぎて、侯爵という立場でギリギリ候補に上がっていましたが、当然すぐ外されました。
素直に候補にならずに遊べばいいのにね。
侯爵の御息女なのだから、揉み消すのは得意なお父様をお持ちなのに、残念な人だわ。
「どういうことだ!?私が聞いていたのとは全然違うぞ!いや、まて!これはお前に騙されたんだ、そうだろスティングレイ!!お前がさっさと言わないから、私が恥をかいたではないか!!」
おや?そこ気づきましたか。
少しは機転がきくようになりましたね。
初めから、その方々を疑って私に聞けばよろしいものを、そちらの色気に騙されたあなたが、悪いんですよ。
ま、もう遅いですけどね。
「もう宜しいですよね。だって私は悪役令嬢ですので、婚約破棄されました身。卒業式という祝いの席には相応しくありません。失礼させて頂きます」
有無を言わさず、会釈し踵を返すと、お父様とお母様とギャラン様がにこやかに待っておられた。
背後で何かセルボ様や国王が喚いおられましたが、さっさと退場しました。
セルボ様、ありがとうございます♪
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