第3話本当です2
「お前と言う奴は何と非道な女だな!!ルミナスだけでなく、プラド嬢も、誰もいない場所で罵ったらしいな!!」
「はい。仰る通りですわ」
否定しません。真の事ですもの。
「ほら!!私の言ったことは嘘ではないでしょう!!私が公爵でありながら、婚約者になれなかった事をバカにしてきたんですう!!!」
おお!
さっき見た光景ですが、セルボ様の腕に胸を負けじと押し付け、涙を流してきた。
上手い!
女の涙には殿方は弱いと聞きます。
ほら!セルボ様がなんとも愛おしいような顔になりました。
少し残念なのが低い声で、甘い声を出そうとしても、似合ってませんが、まあ、その豊満な胸で差し引きゼロなのですね。
「大丈夫か?何と非道な女に捕まったものか」
その言葉さっきも聞きました。もう少し捻って言って貰えたらこの場にいる方も飽きないと思いますが、この流れですものね、突っ込むのは控えましょう。
「それに!」
セルボ様はお2人の両肩をなんだがいやらしい手つきて撫でながら、私を睨みつけました。
「プラド嬢を、殴ったらしいな!!」
さすがに殴った、と言う不穏な言葉によりホールがざわめき、痛い目線が私を突き刺してきた。
「殴ったのか?」
「うん、殴った。」
「わかった」
ギャランが、もとい!ギャラン様が楽しそうに笑った。
「間違いありません」
なんと!
落胆の感情がホールに溢れた。
「これはどう見てもお前は私の婚約者に相応しくないな!!父上、母上、婚約破棄させて頂き、こんな悪役令嬢などこの国に必要ない!!」
プラド王子の言葉にざわめきがおこり、そうだそうだ、相応しくない、と口々に声が上がった。
「ギャラン皇子もそう思いますでしょう!!」
「仰る通りですね。このような悪役令嬢見たことも、聞いたこともありません。王妃に相応しくありませんね」
ギャラン皇子が冷たく言い放った。
ただ、目はとても楽しそうだけれどね。
上手くいってくれたな。
「ギャラン皇子にも言われるとは!!セルボの言うように婚約破棄をしよう!ここにいる皆様、証人となって頂けますか!?」
王様が声を張り上げ同意を求めてきた。
賢明な判断ですね。
本来なら婚約破棄は正式な書類を審査し、審議し、承認されるもの。ましてや、王子の婚約破棄なら、尚更厳格に執り行われるものですが、私が悪役令嬢と立証され、証人がわんさかいるなら、書類など後でもよろしいですね。
勿論です!!
死んでしまえ!!
出ていけ!!
と、阿鼻叫喚がホールに響き渡った-
暫くそれを聞き、だいぶ落ち着いたのを見計らって、手を挙げた。
「なんだ、まだ居たのか?」
ええ、いましたよセルボ様。と言うよりも人混みで動けませんよ、見ててわかるでしょう?
「あらあ、土下座でもする気?」
私が?誰にですか、ルミナス様。
「国外追放までのカウントダウンですね」
私が?何故ですか、プラド様。
「確認をさせて頂きたいのですが、私は婚約破棄をされた、で間違いないのですね」
これは大事な質問よ。
「当たり前だろ!この期に及んで確認するやつがいるか、バカだろお前は!」
「うふふ。ご自分がどれほど非道な人間か理解できない人はバカなんですわ」
「お可哀想なセルボ様。こんな女と婚約させられて、無駄な時間を過ごしましたね」
「ありがとうございます。では、ギャラン様も含めこちらに居る方々証人という事で間違いないですね。では、少し独り言を始めても宜しいですか?」
「え?独り言?」
セルボ様が意表を付いたような顔になりながらも頷かれた。
では始めましようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます