第7話

 数ヶ月後



商業ギルドにて


「猫ちゃんいらっしゃい」


「にゃー」


猫のテリトリーは冒険者ギルドの他、商業ギルドや別のギルドにも及んでいた。



商業ギルドでは招き猫のようにカウンターの一角にスペースが設けられていた。


朝ご飯を貰い専用スペースで毛繕いをしそのまますやすや眠りにつく。


来客者もいつもの光景と捉え微笑ましく眺める。


猫の高待遇になったきっかけはクレーマーの存在がある。


商業ギルドの受付でも冒険者ギルドの受付でも他のギルドでも暴力を見せつけ難癖をつける奴らはいる。


あの日も…



「なんでこれが登録できないんだ!」


「こちらは昔から販売されている品物でして少しの改良では登録できません。」


「はあ?!どこが少しなんだ!!ほら此処少し小さくなってんだろ!!」


「ですから全体を小さくするか10%の軽量か耐久性が向上した物でないと登録できません」


受付の女性に食ってかかる年配の男性。


手に持ってるのはどこにでもある携帯コンロだ。


商業ギルドでは品物を登録するとその品物が購入されるたびロイヤリティが製作者に入る。


それを目的とし大して改良されてもないのに登録しろといってくる輩は多い。


「うるせえ!!良いから登録しやがれ!!」



ガンッカウンターに蹴りを入れる男性。


猫はその音で目を覚ました。


「にゃー」


テクテクと受付の女性の元に行く猫。


危ないからいってはダメよと別の女性が抱えようとする。


スルリと抜けまだ怒鳴ってる男性と受付女性の間に割って入った。


「あ?なんだこの猫」


「猫ちゃんダメだよ出てきちゃ」


男性は邪魔な猫を殴ろうとした。


猫はスルリと避けにゃーと鳴いた。


受付女性を背に男性と対する。


「にゃー」


じっと男性の目を見つめ鳴く猫。


「邪魔「にゃー」」


猫と男性は見つめ合う



「………ち。もう二度とこねーよ!!くそが!!」



異様な猫の姿にたじろいだ男性は持ってきた商品を持つとそそくさと商業ギルドから立ち去った。


こんな事が幾度とあり今では猫がいるだけでクレーマーの数は激減したのだ。


他のギルドでも似たような事をやってのけ猫の立ち位置は盤石なものになっていった。

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