第3話


此処はとあるお城の一室



ザワザワ…ザワザワ…


円形の召喚紋の周りには息も絶え絶えのローブの人物が数人倒れていた。


高位の神官らしき人物が王冠を被った人物に話しかける。


「召喚は成功です。まもなく勇者様が現れるでしょう」


「うむ」


すると召喚紋に灯が灯った。


その光は徐々に強くなり部屋の中を眩い光で埋め尽くした。



光が落ち着くとそこには一匹の三毛猫が鎮座していた。



「よく来て下さいました勇者様。忌々しい魔族を滅ぼすべく手助けして下さいませ!!!って猫!?」



「にゃー」



目が慣れた神官と猫が見つめ合う。


「可愛い猫ですね」


お姫様は呑気に感想を言う。


王様は神官に話しかける。


「これは猫か?」


神官は応える


「猫ですね」


「種族も猫か?」


神官は鑑定をした。


「種族も猫ですね」


「貴様が呼んだのは猫か?」


「いいえ。勇者です」


「これは勇者か?」


「これは猫です」


「「ははははは」」


王様と神官は笑い合った。猫はあくびをした。



「ふざけるなー!!!」


お城には怒号が響いた。


猫はひらりと窓辺へ行き木を足場にお散歩へと出発した。

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