第5話 期待と過ち

僕は初恋の想い出を淡々と彼女に話し始めた。

僕の初恋は中学生の頃だった。部活に入り、

同じ部活の女子の事が好きだった。

現実は厳しいものだった。当時は合唱コンクールの時期で打ち上げというものが

あったのだが、自分は条件付きで誘われたのだ。

「皆の前で告白しろ。そしたら誘ってやる」

同じ部活の男子に脅され、半ば引き受けてしまった。

嫉妬されていたのかもしれない。

その後は想像通りだ。大胆に振られ、動画を取られ、拡散そしてイジメられた。

高校では友達としてしか見てなかったとデート中に言われてしまう男だ。

とにかく皆に優しい。優しいだけの男だった。自分に自信がなくて、

ネットで恋愛をしたけれど、初めて付き合った彼女が浮気症で2〜3ヶ月で浮気を

された。別れた後も好きだったが、粘着男に寝取られ、二度と会えなくなった。

そして現在に至る。一通り話し終わると彼女は泣いていた。

「辛かったよね。私と似てるね」と泣きながらそう呟いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る