第3話 訪問

僕は彼女に向かってこう言った。「もう、玄関前だよ?家に帰らないの?」

彼女は「実は今日から、住ませて貰うの...」と小さく囁いた。

住ませて貰う?僕は数日泊まるという解釈をして、家のドアを開けた。

家はいつも通り静寂で、誰一人いない戸建てだ。学校が都会の方だったから訳あって

越してきたのだ。僕が一番心配であったのは、こんなスタイルも良く、顔も可愛い

女子と健全に生活できるかだ。ベッドも1つしか用意してないし、床で寝かせる訳に

いかない。問題は山積みだ。お互いにベッドの上に腰掛ける。沈黙が続く...

ぐぅぅと彼女のお腹が音を立てて部屋中に鳴り響く。恥ずかしさのあまりか彼女は

「おっ、お昼買いにいかない?」と今にも恥ずかしすぎて死にそうと言わんばかりに

顔を赤らめながら言ってきた。僕は悪戯心が働いたのか、

「お腹すごい鳴ってたもんね。良い音だったよ」と言ってみた。すると彼女は

ムスッと頬を膨らませながら「口でグゥーって言っただけだから」とごまかした。

とても愛らしい姿だ。たまには良いもんだなと感じた。昼食を食べ終わると

彼女はウトウトしながら「ねみゅいんだけど、どこで寝たら良い?」と尋ねてきた。

僕は「ベッドで寝れば良いと思うよ」と返した。彼女が寝ている間は、ずっと

恋愛小説やSFを読み漁っていた。あれからどのくらい経っただろうか。

彼女は緊張のあまりずっと寝ている。気づけば周りも薄暗くなって

床で寝る事にした。すると「ベッドにおいでよ」と甘い誘いが僕を誘う。

僕は「でも、男女が二人ってちょっと駄目じゃない?」と問うと、

「私は君の事、信頼してる。それに何度もあったから怖くない。」そう言った。

何度もあった。その言葉が引っ掛かったが、僕はベッドにお邪魔することになり、

何事もなく、朝を迎えた。

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