1話 迷惑
淡音小雪と葉月蓮が再会して、約三年の月日が流れた。
蓮は高等部にそのまま進級し、小雪は今中等部の三年生をやっている。
お互いに一緒に登校したり、下校したりと良い関係を二人は築いているため、蓮も小雪も充実した生活を送っていた。
「んぅ……小雪か?……」
朝の七時頃、蓮の住んでいるマンションのインターホンが押された。
まだ起きて頭が回っていない蓮は、気だるげな様子で玄関に向かっていった。
「はーい……どうぞ……は?」
「えっと……なんか、ごめん」
小雪かと思ってドアを開けると、そこにはいかにも不良っぽいといった目つきの悪い男……蓮の友人である
いつもだったら、通学路の途中にある蓮の家に寄って一緒に登校しようとする小雪の姿が見受けられるため、予想外の人物に蓮は三秒ほどその場に固まった。
「えー家、間違ってますよ? 」
「いや、間違ってないだろ。ここ蓮の家じゃん」
「はぁ……まぁ中に入れよ」
どうやら、目的地は蓮の家だったので渋々ため息をつきながら暁斗を家の中に入れた。
「いやー一人暮らしなのにすげぇ片付いてんな」
家の中を見た暁斗が感嘆して呟く。
暁斗の言う通り、マンションの部屋に一人で住んでいる蓮だが、その部屋はきれいに整理整頓されてあり非常に清潔感のある部屋だった。
「いつ誰が来てもいいように片付けてんだよ。ホイこれ飲み物な」
「おーあんがとな。」
そう言いながら、台所にある冷蔵庫の飲み物をコップについだ蓮がリビングの机にそれを置いた。
「で、なんでこんな朝から来たのか教えろよ。まだ学校に行く時間より早いんだけど」
朝、少し急かされた事に対して勃然としている蓮が制服姿である暁斗に対して質問する。
「いやまぁ、今日早く家出ちゃって」
「なるほど、学校に一人でいるのは暇だから来たのか」
「察しが良くて助かるわ」
いささか呆れる理由に蓮がため息を零す。
友人である暁斗とは中等部の最初の頃からの仲だがさすがに少し迷惑だった。
せめて連絡しろと言って蓮はまた、暁斗との会話を続ける。
「それならお前彼女のとこ行けよ」
「無理だろ。通学路と真逆の方向だぞ」
わざわざ自分の家に来ずとも、彼女の家へ行けばいいだろうという連の意見は一瞬で拒否された。
暁斗と暁斗の彼女である
「それにアイツ多分まだ寝てるしな」
「そういやそうだった。忘れてたわ」
そして、菜乃花はよく深夜までゲームをするので朝が弱いという弱点も持っていた。
「んじゃま、家出るまでゲームしようぜ!!」
話し終わったことを即座に理解すると嬉しそうに暁斗こっちを向いた。よほど暇なのかゲームがしたいらしい。
「わかったよ……身だしなみちゃんとしてくるから待ってろ」
洗面台に向かい、身だしなみをある程度整えたあと、暁斗と三十分前後ゲームをし小雪が来るのを待った。
ちなみに小雪は二人だけずるいと言って少し拗ねたような状態で学校に登校した。
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