第六曲 私に勝てるとお思いですか?ハッ。身の程をわきまえろ。
あれから今日までの一週間の間にあった出来事。白昼堂々と暗殺者が来て、運悪く家に来ていた国王と出くわし、意外に強い国王の武力をまじまじと見学した。以上!ちなみに暗殺者はどす黒い笑顔をした国王に連れて行かれました。んで、その次の日に学院から「来い」と手紙が来てTodayである。私は学院に赴いていた。隣りにいるのはもちろんこの男。子育て以外はそれなりに頼りになる男ナンバーワン、国王陛下だ。
「・・・あの・・・国王陛下、発言申し上げてよろしいでしょうか?」
「ほう?まさかとは思うが、本当にこの小娘がなんぞと思ってないだろうな?」
「・・・」
「ほう?図星であったか。頭の硬い学長様よ。」
「国王陛下、煽る必要はないと思いますよ。実際、この国の古い考え方だとそう思うのも無理ないでしょうし。」
「それもそうか。はっはっはっ!!」
顔が真っ赤になっていく学長様。これで私だけとか同伴が国王陛下じゃなかったりしたら確実にキレていただろう。ちなみに国王陛下はほとんど人を煽ることはしないが人が人なときに煽ることがある。
「・・・・・・ちなみに、そちらのお嬢さんの年齢は・・・」
「12でございます。」
「12!?」
ついに学長様が台パンして身を乗り出した。そんな急激な動きは血圧上がるよ。なんて思いつつ涼しい顔でニコッとしておく。
「国王陛下!!いくら陛下でも限度があるでしょう!?それともこの誇り高き貴族学院の教師が素質ないとでも言いたいのですか!?」
「おやおや。そう言いたいのだが、ようやく伝わったか?」
「なっ!!」
「一つ言っておくが、学長、教育機関とはこれからの未来の王国を担う子どもたちに基礎知識、考える力や基本的な共同社会での生活方法を教える場であって決して教師のプライドを肥やす場ではないぞ?そこを理解しておるか?ああ失敬、理解してないから此奴の能力を自分より下に見るのだからな。」
「・・・私がこの薄汚い小娘に負けるとでも?」
「「負けるだろうとも負けるだろうともでも。」」
「だろうとも」2連打。正直私はこれが一番の煽りだと思っている。んで、それをニヨニヨした老人とニヨニヨした小娘から言われる。学長、君はよく耐えたほうだと思うよ。だからといって同情も称賛もするつもり無いが。君が私を見下してきたことが最初の発端だろう?なら私が同情する余地はないし、もし勝負事となるなら容赦はしない。国王からしても血の繋がった娘を見下されるのは気に入らないらしく笑顔が段々と黒くなってゆく。
「・・・では、勝負としましょう。私の卑下は算術の学問で勝負してください。そして、音楽教師として入るなら現在この学院で音楽教師をしている人全員に認めさせてください。その娘の実力を」
「・・・なるほど、だそうだが?」
「余裕ですね。良いでしょう。」
「どれだけ煽るんだ」って小言を言いながら、学長は棚から1枚のプリントを持ってきた。私の方に向けて、机においた。プリントを覗き込む。
「3次関数?」
「参りました。」
「「え?は?」」
うん、たしかに一問、3次関数が書いてあった。で、なんで参りましたなのか?
「ロゼッタ主席と同じことを口にするということは、解けるのでしょう。算術の学者が10年以上かけて解いた、つい数ヶ月前にやっと解けた問題が。」
「あー。陛下、分かります?」
「・・・・・・すまない・・・」
「ちなみに、解く時の方法は・・・」
「微分法ってロゼッタも言ってませんでした?」
「・・・参りました・・・」
なんて言いながら問題を解き、20秒後、出てきた解を答えたところ。「調子乗って申し訳ございませんでした。音楽教師と言わず算術教師としてでも良いので来てください」とJapanese D☆O☆G☆E☆Z☆Aをされた。うん、なんか私もすまなく思ってきてしまった。いやいや、私悪く・・・いや煽ってるのでお互い様か。とりあえずまあ、学長殿は黙らしたということで。・・・で、なんか来るね。
バコンッ!!
「「「失礼します!!!!」」」
年季の入った黒樫の扉を勢いよく入ってきたのは3人の女性だった。ズカズカと入ってきて机の横に立って学長に言い寄った。
「一体どういうことですか!?なんでいきなり新規で音楽教師なんて・・・」
「前から言っていただろう。高学年と最高学年のカリキュラムを任せれる人がいないと。・・・フェリカさん、この方達が現在学院で音楽を教えている教師陣です。この方達が認めたら音楽教師として、認めなかったら算術教師として、入っていただけませんか?」
「はい。・・・もう入ることは確定みたいなので言っておきますが国王陛下と私に関係があることは他言無用でお願いしますね。」
「分かりました。それでは、私が町中でその才能を見つけて推薦してきたということにいたしましょう。それでさっきの薄汚い小娘発言は取り消していただけると助かります。」
「別に薄汚い小娘は間違って無いでしょうから気にしていませんよ。」
にこやかな会話?いいえ、ただの煽りです。さて、音楽教師陣さん?まずはこの小娘にどこまで耐えれるか、検証させていただきますよ?
「・・・学長、まさかとは思いますが、この少女がその手配した教師と?」
「ええ、そのとおりです。フェリカさん、自己紹介を。」
「フェリカ、本当はフレデリカと申します。よろしくおねがいしますね、先生方。」
「・・・・身分は?」
「平民ですけど、何か?」
「「「平民!?!?」」」
最初にご身分・・・ねぇ・・・これはこれは・・・
「学長、納得できません。なんでよりにもよって平民の娘がっ!!」
「そうです!!由緒正しき子爵家、伯爵家の人間が平民よりも下だなんて!!」
「・・・学長殿は別にそんな事言ってない気が・・・」
「お前は黙ってなさい小娘。貴族様に楯突く気?」
「・・・あっふーん」
「・・・なに?」
ちなみに、国王陛下の姿がいつの間にか見えなくなっていたのは少し前から知っていた。多分この3人とすれ違いで出ていったのだろう。
さて、煽ってすら無いのに出しゃばってきたのは確認済みなので第二フェーズと参りましょうか。・・・賭けを申し上げてみましょう。
「では、ピアノ勝負としましょう。判定は学長殿で。私が勝てば、今学期の全学年の音楽は私が授業します。貴方方は職を辞してください。ただし貴方方が勝てば・・・何でもいたしましょう。首を斬るのも、毒を飲むのも。」
「「「「なっ・・・・!!」」」」
「不服ですか?」
「いえ・・・ただしそれではフェリカさんが・・・」
「「「良いでしょう!!」」」
殺気漏れ出てるぅ〜。なんて思いながらもにこやかに対応を。学長殿、なんかすいません。
「・・・ではいきましょうか。フェリカさんはついてきてください。」
「はい。」
3階建ての建物、1階の学長室から出て階段を登り、3階の音楽教室まで。特にこの間の会話はない。私は何の曲を弾こうか悩み、学長は気まずく、3人はこれから死ににいくと思っている小娘に会話なんて振らず。廊下に響くのは5つの高低のある足音のみ。
「着きました。ここが音楽教室です。」
扉を開け中に入る。・・・まあ、うん。こんなものだよね。
中には楽器などはあらず、ただピアノが一つあるだけだった。わかっていたが少しがっかりしてしまった。
「早速始めましょう!まずは私が弾きます。」
「ではお三方には先弾いていただいて、私が最後に弾きましょう。それでいいですか?」
全員が頷いた。そして3人の内一人が椅子に座り、演奏が始まった。・・・正直、私は死を覚悟していた。だって、相手はこの道で食っている人。上手くなければいけないのだから。・・・まあ、それが杞憂だったために私は少し物足りなさを感じたわけだが・・・
3人の演奏が終わった後、私は言った。
「そんなネーデル嬢にも負けるようなピアノで、私に勝てるとお思いですか?ハッ。身の程を弁えろ。」
――――――
途中で学長の態度が変わったように思えますが実際性格などは変わっていません。学長がかなりの数学狂信者で自分が数学得意であるために、自分より数学ができる人=神という謎思考を持ってしまったが故にフレデリカへの態度が変わりました。ちなみにフレデリカは、数学と音楽だけはロゼッタの上に立つことが出来ます。
お読みいただきありがとうございます。さてさて、雑談の時間がないですね。てことで次の話以降文字数が3400から3600に増えます。ご了承ください。ではでは!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます