第十三曲 ピアノのある邸宅ver2
結果、私の家での演奏会は気づけば日が昇っていた。疲れて眠り、気づけば昼過ぎ。大急ぎでみんなが帰った後、私達はせこせこと片付けを済ませ、・・・・そのままgo to bedした。
そしてまた後日になる。例のとりつけの元、私はエボロスさんの同行でフランドン伯爵家に来ていた。
「・・・デカい・・・」
「面積的には私の屋敷のほうが大きいのだがな。さて・・・」
門を2回叩くと屋敷の中からメイドが出てきた。
「久しぶりになるな。ネーデル嬢に用があって参った。」
「用事、なるほど、そちらがフレデリカ嬢でしょうか。」
「ああ。」
「かしこまりました。どうぞこちらへ。」
ちなみに今日の衣装は一応粗相のないようにと前の演奏会の時と同様にドレス・・・というわけではなく白基調で所々に青と赤の装飾がされている新しいドレス。髪飾りの青薔薇や花形に縫われたレースは少し特殊な魔法を組まれているらしく、月明かりのもとで赤くなる私仕様だ。エボロスさんが私のためにと、懇意にしている仕立て屋に頼んで仕立ててもらったそうだ。もらった当時すごく嬉しかったが、「息子を誘うときはこれを使え」と11の娘には早すぎるであろうナイトドレスを同時に送られてきたことに反射的に手を出してしまった。ちなみにそのナイトドレスは一応着てみた。・・・なんか、あらゆる部位が隠れているようで隠れていなかったため今は封印してある。
ちなみにこのドレス自体もオフショルダー・・・どころか胸の上まで開いている。ドレス自体は気に入っているが流石に露出が多く感じる。ヘレンがドレスを着た私を見て号泣しながら胸を揉んできた時は流石に反応を避けた。
「こちらの部屋でお待ち下さい。ピアノは自由に弾いてもらって構いません」
「ありがとうございます。」
「ネーデル様はおよそ30分後にご帰宅の予定ですので、待ち時間は50分ほどになりますがよろしいでしょうか?」
「問題ありません。何から何までありがとうございます。」
エボロスさんが付いてきたのは玄関まででそれ以降は私一人になった。ネーデルさんは別用事で外出中らしく、私一人で会場に入り、先にピアノを弾いて待っておくことにした。
「さてっと、最初はカノンでも弾いておきますか・・・」
鍵盤をスライドさせていき・・・
「ん?」
違和感に気づいた。
「ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ・・・ファ?」
ファの音が地味にズレていた。中の弦を確認するために覗き込む。あまりしたくはないが人差し指で弦を触ると、やはりファを出すための弦のうちの一本のテンションが緩くなっていた。時間もあるので少し調律することに。そこら辺に置いてあった調律器具を手に取り勝手に調律を始める。一本だけなので数分で終わった。その後はカノンを弾きながら音を確認して、好きな曲をメドレーしていた。ネーデルさんが来たのは13曲目、「take me home country roads」を弾き始めた時だった。
「お久しぶりです」
「お久しぶりですわ。私のことは気にせず演奏してくださいな。」
「ありがとうございます」
―Almost haven, West Virginia
Blue ridge mountain, Shenandoah river,
Life is old there, older than the trees,
Younger than the mountains, growing like a breeze
Country roads, take me home,
To the place I belong
Wsst Virginia, mountain mamma
Take me home ,country roads
―All my memories, gather round her
Miner's lady, stranger to blue water
Dark and dusty, painted on the sky
Misty taste of moonshine, teardrops in my eye
Country roads, take me home
To the place I belong,
West Virginia, mountain mamma,
Take me home, country roads
―I hear her voice in the morning hour she calls me
Radio reminds me of my home far away
Driving down the road I get a feeling
That I should have been home yesterday, yesterday
Country roads, take me home
To the place I belong,
West Virginia, mountain mamma,
Take me home, country roads
曲が終わり、鍵盤から手を離すと合わせてネーデルさんが拍手をくれた。
「相変わらず、私達には真似できない芸当ですわね。ピアノを弾きながら歌を歌うなんて、中々出来るものではないですわよ」
「お褒め頂き有難う御座います。平民の分際で貴族様の講師を名乗る訳ですから、これくらいのことは出来ませんと。」
「あら?この前酒場でブランデーを瓶飲みしながら『貴族なんてクソ食らえ!』と言っていたのは何処の誰でして?」
「ふふっ。他のご令嬢方の前でそんな話だしたら何されるか分かったものではありませんよ?」
「そうですわね」
二人で談笑を交わす。
「そう言えば、今日は随分と攻めた格好をしていらっしゃるのですね?」
「・・・胸に栄養吸われてしまった貴方に言われたくない台詞一位ですね。せめて隠すかしてくださいよ」
「ちょっ!その話はしないで下さいまし。私だって気にしているんですよ?」
ネーデルさんはヘレンと同じ14歳なのだが身長は私より少し高いぐらい。要するに11歳の中で中間的な身長。なのにも関わらず胸部装甲はお母さん並み。要するに巨乳。明らかに体の大きさに釣り合っていない。なのにドレスは私と同じオフショルダー。流石に私のに比べて露出は少ないものの、隠す気のないそれはどうにかしろと・・・攻めてる格好はどっちだ!ともいいたい。
「・・・まあ、話はこれくらいにしてピアノ、弾きましょうか。」
「そうですわね。今日は私がいつもピアノを教えている人達が来るのですがその人達にも貴方のピアノ講義をぜひとも受けてほしいので今は実技だけをお願いいたしますわ。」
「聞いてないのだけど・・・」
「言ってませんもの」
随分、前と性格が変わったなと思いつつ、席についたネーデルさんをサポートするように後ろに付いた。ネーデルさんが演奏をして、私が後ろからサポートしていく。なんだか以前の演奏会よりネーデルさんが活き活きしているように見えて少し嬉しかった私がいる。
その後、次々と貴族令嬢・・・だけでなく令息も集まってきておそらく全員集まったであろうところでネーデルさんが前に立って話し始めた。
「皆様、本日のピアノ講習に関しましては私の講師の方にお教えしてもらいます。一月ほど前にライザス商会で行われた演奏会にて知り合いになりました、フレデリカ嬢でございます。フレデリカ嬢、前へお願いいたします。」
静かに前に出て深々と礼をする。少し・・・いや、かなりざわついた。
「この方は私よりも3つ若いにも関わらず、私より優れた演奏技術をお持ちの方です。・・・演奏会にいらしていた方はお存じだと思いますが」
前の演奏会にも顔を見せていたご令嬢方が集まっていた人の中に見えた。ざわざわの中で聞こえていた「まあ、あの方を」とか「とても良い判断ですわ」とか、聞こえてきたのはこの人達だろう。
数分間続いたざわつきが静まった後に、男の声が響いた。
「まさかあのネーデル嬢が着飾っただけの小娘に教えを請うとは知らなかった。いやはや、そこまで落ちぶれているとはな。」
―――――
お読み頂き有難う御座います。
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さてさて、200字ほどの雑談です。
ピアノは鍵盤を押すとハンマーと呼ばれるものが上がり、弦を叩いて音を出すのですが、1音あたりの弦は1〜3本、ピアノ1つの合計は200本を超えるらしいです。しかもこれ、3本あって1本おかしかったら音が変わるとか。実際少しだけ調弦をすることがあり、触らしてもらったのですが、1本でもまあ大変。何が言いたいかと言いますとね?調律師の方々、すごくないですか!?だって200以上ある弦を数十分で完璧に合わせるんですよ?本当、偉大だなって思いましたよ。ええ。
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