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左右のラダーペダルの上に乗っているブレーキペダルを両足で踏みしめ、スロットルをミリタリーポジション(アフターバーナーを使わない最大推力)へ。高熱の排気がもうもうと巻きあがり、彼らの後ろの風景を
「ブレーキリリース」
言うと同時に巧也はブレーキを踏みしめていた爪先を緩める。機体が加速を開始。そのまま彼はゆるゆるとスロットルをMAXポジションに入れる。5段のアフターバーナーが次々に点火し、瞬く間に離陸速度に到達。
スピードを殺さないように、巧也はじわりと操縦桿を引く。地面から
とうとう、自分の操縦で本物の空に浮かんだのだ。喜びで思わず叫びだしそうになるのを、巧也は必死でこらえる。
操縦桿も、スロットルも、ラダーペダルも、彼の意志通りに動作していた。巧也は酸素マスクの中の頬が緩むのを感じる。
”ぼくは今、本物の戦闘機を操縦して、本物の空を飛んでいるんだ……”
いくらリアルでも、やはりシミュレーションは本物とは全然違う。例えば、軽く旋回するだけでもかかる、このG。これはどうしてもシミュレーションでは体験できない。
後ろを振り返ると、譲がピタリと彼の左斜め後ろについていた。
「ジョー、エリーたちに合流しよう。
『了解』
二人は同時に機体を右に傾ける。
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