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次の日の放課後、巧也が自分の所属する卓球部の練習のために教室を出ようとしていた時のことだった。
「あ、いたいた」
声の方に彼が振り返ると、担任の山本先生だった。30歳くらいの、ちょっと小太りの男性教員。
「中島、お前にお客さんだ」
「え? お客さん? ぼくに、ですか?」
不思議そうに巧也は眉をひそめる。学校に、自分目当ての客が訪ねてくるなんて……こんなことは今までなかった。
「ああ。綺麗なお姉さんだったけど、航空自衛隊のお偉いさんみたいだぞ。とにかく、一緒に校長室に来てくれ」
「校長室ですか!?」
巧也は仰天する。校長室に呼ばれるなんて……自分は一体、何をやったんだろう……?
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「君が中島 巧也君ね? 私は岐阜基地、飛行開発実験団所属の
校長室。爽やかな笑顔でそう言いながら、その人は巧也に右手を差し出した。階級章が肩に付いた青みがかったワイシャツ。自衛隊の夏の制服なのだろうか。その胸元が大きく
「……中島 巧也です」
おどおどと巧也も右手を差し出して、町田二尉のそれを握りしめる。
「それじゃ、さっそく話に入りましょうか」
町田二尉がソファに腰を下ろす。その向かいに巧也が座り、彼の隣には山本先生が座った。校長先生は今日はいないらしい。
「
「え、スカウト……ですか?」
「ええ。君に
「……!」
巧也の目が真ん丸になる。
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町田二尉の話はこうだった。
一ヶ月前に日本に近い仮想敵国で政権交代が起こり、反日思想で有名な人物がトップの座に就いた。それと関係があるのかは分からないが、最近国籍不明の機体が領空侵犯することが多くなっている。しかもそれは無人機のようで、スクランブル発進してきた航空自衛隊の主力戦闘機 F-15J を、人が乗っていたらほとんど不可能なくらいの
しかし航空自衛隊は、アメリカのノースロップ・グラマン社と提携し、アメリカ空軍で主力戦闘機を選ぶときに F-22 のライバルとなった試作戦闘機、 YF-23 の設計データを極秘に入手していた。そしてそれを参考に、ほぼ一から設計し直した新型戦闘機、F-23J を五機完成させたのだという。彼女は巧也にその F-23J のパイロット候補生になってほしい、と告げたのだ。
「ちょ……ちょっと待って下さい」混乱する頭を抱えながら、巧也はようやく二尉の話をさえぎる。「なんでぼくがパイロット候補生なんですか? ぼくはただの中学二年生ですよ?」
「理由はね、三つある」そう言って、町田二尉は右手の人差し指を立ててみせる。「一つはね、君は『ドッグファイト』のランカーで、スーパーエースの称号を持っているほどのバーチャルパイロットである、ということ。実はね、あまり知られてないけどDFは航空自衛隊の監修の
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