第5話 思い出の品

 今日も忙しくしている英雄堂の店主の明仁はある品の鑑定を依頼されていた。


「こちらの品の鑑定ですか?」


「ええ、夫がとても大事にしていた品なのですが調べてもどのような品なのか分からなくて…」


「なるほど、拝見させたいただきます。」


 明仁はご婦人が持ってきた石を鑑定した。一見するとただの石に見えるが鑑定なら何か分かるはず。


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名称:ブルースターズの原石


遠い別な惑星から来た、地球には存在しないブルースターズの原石。


希少度もさる事ながら、まだ研究もされていない為、見分ける方法もない。


加工する事により光が当たると青色の中に星の様な細かな輝く模様が浮かび上がる。


長時間水に浸かると脆弱になりやがて崩壊してしまう。


加工には注意が必要。

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 明仁は鑑定結果を伝える。


「こちらの石は隕石の様です」


「隕石ですか?」


「加工すると青い宝石の様になると思われます」


「なぜ、夫は…!」


「どうかされましたか?」


「…夫とは幼馴染でした、ある日山で見つけた石を見つけて削っているのを見かけて話かけるました…」


「もしかして」


「はい、青いとても綺麗な石を見せてくれました。とても綺麗な青色で光に当てると夜空の星の様に輝くそんな石。」


「なるほど、おそらくその原石だと思われます。」


 ご婦人は目を伏せながらまた話始める。


 レティスがご婦人にハンカチを渡していた。


「こちらをお使いくださいませ」


「ありがとう、これを手に入れた時夫は私に[あの時の思い出を見つけた]、そう言って詳しい事は教えてくれませんでした。そしてすぐ夫は亡くなりました。以来10年経ちます。」


 ご婦人は涙をこぼしながら


「何故、大切にしていたか分かりました。子供の時に貰った石は私の高校生の時に、無くしてしまいました。雨の続く日でした、必死に探しましたがあの人がくれた大事な物を結局見つけられず…」


「そうなのですね」


「あの人ったらいつも何も言わないで…」


「原石の加工には少し特殊な方法が必要なのですが、こちらでならお引き受け出来ますよ?」


「そうね、あの人の代わりにお願い出来ますか?」


「かしこまりました、5日程頂いてもいいですか?」


「ええ、お願いしますね」


 ご婦人は涙を拭いながら、英雄堂から離れて行った。



 5日が経ち、ご婦人が英雄堂を尋ねた。


「すいません、あの」


「いらっしゃいませ、今依頼の品をお持ちいたしますね」


 奥に取りに行く明仁を見ながらご婦人は不安な様な期待している様な落ち着かない感じである。


「こちらが加工した物になります。確認頂いてもいいですか?」


「…ええ」


 ゆっくりと小箱を開くとそこには青く綺麗な宝石を付けた指輪が入っていた。


「……あ、あぁ、なんて綺麗なの」


「どうでしょうか?」


光にかざすとキラキラとした星の様に青い宝石の中が光った。


「昔無くしてしまった物にそっくり…」


「満足いただけましたか?」


「えぇ、ええ、とっても…ありがとう」


「喜んでいただけて幸いです」


「お金は…」


「貴重な原石の加工をさせていただきましたので勉強になったのでお代は結構です、ただ大事にしていただければ」


「…分かりました。勿論大事にします、あの人からの最後のプレゼントなのですもの」


 ご婦人はそれを大事に両手で包み、目を閉じてしっかりと頷くのであった。



「明仁様、加工なんて出来ました?」


「向こうではしていなかったけど、興味はあったから色々な人に聞いてたよ、それに道具を使う事に関してはスキルもあったから」


「明仁様は万能ですね」


「どうかな、そろそろ舞さんが来る頃だね」


「水無月さんには何をお願いしますか?」


「じゃあ、あの辺の」


 こうして英雄堂はまたお客様を待つのであった。

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