第2話 英雄堂のもう一つのお仕事
次の日の夕方、
「レティスさん、よろしくお願いします!」
「お願いします、水無月さん」
「舞さんよろしくお願いしますね」
「はい、オーナー」
挨拶も終えて、レティスから接客の注意や掃除する時の注意点を一緒にやりながら舞は生き生きと教わり仕事をしていた。
「レティス、舞さん急な仕事が入ったので行ってきますね」
「えっ、オーナーこんな時間にですか?」
「お得意様からの頼みだからね」
「
「レティスは舞さんにお仕事教えててもらって、時間になったら舞さんにあがってもらってください。そこまで大変な仕事じゃないから」
「かしこまりました、行ってらっしゃいませ」
「オーナー、いってらっしゃい」
アタッシュケースを一つ持って明仁は出掛けていったのであった。
少し気になった舞はレティスに明仁がどんな仕事に行ったのか興味本位で聞いてみた。
「オーナーはどんな仕事に行ったんですか?」
「英雄堂のお仕事は昨日舞さんの様に売りに来た品を他の欲しい方にお譲りする事、その他には処分に困った品を引き取って処分する事ですね。今回は後者になります。」
「へぇ〜、オーナーって若いのにすごいんですね」
「はい、明仁様はとても凄いお方なのです…水無月さん、その前の所が拭かれていませんよ。」
レティスに舞が仕事を教わっている頃、明仁はとあるビル群のある路地に停まっている車に乗り込んだ。
車の中には眼鏡を掛けたスーツの男がいた。
「お久しぶりですね、今回の依頼の詳細は?」
「明仁さん、お久しぶりです。今回の品はとある地方の地母神の力が宿った槍だそうです。」
「盗んだ犯人に目星は?」
「今、調べさせている所でして…」
「なるほど、居場所はこちらで探します。報酬の件ですが、持ち出された槍と1000万という事でよろしいのですか?」
「勿論、それで結構です。そのかわり内密で」
国家の表には存在していないとされる組織に依頼された明仁は
「真実を写す鏡よ、盗人の居場所を教えてくれ」
「主、西に500mの辺りに力の気配を感じます。」
「ありがとう、西か」
西に向かって明仁は、ビルの上を翔けながら真実の鏡から聞いた位置に向かった。
なぜ明仁にこの様な能力が備わってるのか、というとそれは英雄堂が開く前に遡る。
「ここは、どこだ?」
「初めまして、異世界の勇者」
「あなたは?」
「私は、この世界で信仰されている神のような存在です。」
「はぁ、なるほど・・・」
「突然な事で戸惑っていると思われますが、貴方を召喚する為に力を使ってしまった私ではもう」
「待ってくれ!俺は何をしたらいいんだ!」
「この世界を救てください、その与えた力で・・・」
すぅっと神様と名乗る女性が消え、森の中に残された。その後世界を救い元の世界に戻るのだが冒険の話はまた別の機会に・・・、そして、現在このような能力を持ったまま地球にいる。
明仁の能力は身体強化と鑑定、そして様々な道具の能力を引き出せるというものであった、なのでこうして非公式に特別な道具のトラブル対処を依頼されるのである。
明仁が移動していると明らかに特別な雰囲気を出している場所があったので向かった。
「なるほど、あれはなかなかの代物だ」
「ははははっは!この力があれば俺は!」
「だが持っている奴はダメだな、槍の力に実力が負けて制御出来ていない」
「これで使いっ走りとはおさらばだ!」
「おい、そこのバカ野郎」
「貴様、俺にそんな口を聞いて死にたいのか?」
「お前が盗んだ槍を回収しに来ただけだ、お前では使いこなせない、渡せ」
「誰だかは知らないが、この力を使える俺から奪えるもんなら奪ってみな!」
男が地母神の槍を地面に突き立てると周りの木々の枝が伸び、明仁に襲いかかる。
難なく避ける明仁を犯人は苛立ちながらさらに、枝や根を操り明仁を襲う。
「面倒だが、殺さずに情報を吐かせた方が良さそうだな」
「避けるんじゃねえ!」
「なら、こいつに頼むか」
明仁が何処からともなく銃を出し、襲いかかる木々に弾丸を打ち込んだ。
「何処から武器を出しやがった!」
「動きを止めさせてもらったよ」
「はっ!そんなわけ…」
「魔砲銃ベインヘル、こいつには色々な弾を魔力で作れる特性があるので対象の時間を止める弾で能力の対処させてもらった。まぁ格下の弱いやつでもないと当てるのは難しいけど」
「何だと!それなら」
「悪いけど、あんたの身体には麻痺弾を打ち込んだ」
「なっ…」
「ふぅ、これが槍か(鑑定)」
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名称:地母神の槍
製作者:不明
ランク:A
伐採などの木を産業の主体とした村で長年信仰された地母神の力が宿った槍。
木々を操り、地面から生やす事も出来る。
持った物に力と悪しき者を退ける能力を与える。
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「この世界の基準で言えば、かなり珍しいな」
槍と犯人を抱え、依頼人の所へと着いた。
「こいつが犯人、これが槍ね」
「ありがとうございます、迅速な対処感謝します。」
「槍は契約通り貰うけど、こいつどうやら誰か操られてたみたいだから渡しますよ」
「…かしこまりました、何か分かればそちらにご連絡させたいただきます」
「わかりました、俺は帰りますね」
明仁は英雄堂へと帰ったのであった。
次の日の朝
「明仁様、起きてください」
「……眠い」
「早く起きてくださいませんと、困ります」
「もうちょっと」
「……仕方ありません、朝のお目覚めの為ですから」
明仁の布団におもむろに入っていく、レティス
「疲れたからもう少しだ…」
「起きられましたか?ご主人様」
「レティス!それはするなって言ってるだろ!」
「起きない、明仁様が悪いのです」
「起きるから部屋から出てってくれ〜!」
こうしてまた一日が始まる明仁であった。
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