第23話 再起動。瑠璃光の術が地に響く。

紫鳳は、深手な上、瑠璃光からの召喚が無ければ動く事もできなかった。鶴白が、恨みを持ち現れた時も、もしかしたら、青嵐がいなかったら、負けていたかもしれない。が、魔道士の見習いという炎の術師が現れ状況が変わった。勝負は、時の運とも言うが、何度も、瑠璃光と魂が入れ替わり、互いを極知した身体が反応した。離れた地で、瑠璃光が発動した瞬間と青嵐が術を放ち、次に身構える身体が、瑠璃光を呼んだ。炎術に、対抗しようと、鶴白が、氷の刃を召喚すると当時に、香が舞い上がり、白衣を身に纏った瑠璃光が、紫鳳の前に降り立った。

「瑠璃光!」

事の展開を遠目に見ていた阿と吽が声を上げた。

「今度は、何かと暑いな」

瑠璃光は、香が付いた衣服をパンパンと叩き、埃がついていないか、確認した。

「こちらにも、縁があるらしい」

叩きながら、炎術と氷の件で、睨み合う2人の視線に気がついた。

「おや。。お取込み中?私の忘れ物を取りにね」

瑠璃光は、あたりをキョロキョロ見回した。

「重量オーバーだったようだ。紫鳳。遅れるなんて、今まであったか?」

「ない」

紫鳳は、身だしなみを確認し立ち上がる。

「術の精度が落ちたんだな」

「失礼な。容量オーバーは、こいつだ」

髪に手を突っ込むと、中から紐状の生き物を取り出した。

「蛇。。」

事情を察して、紫鳳は、唾を飲み込んだ。

蛇と呼ばれ沙耶姫は、

「蛇と呼ぶな」

飛び跳ね変化を解いた紗々姫の姿が現れた。

「紗々姫様!」

氷の件で、応戦していた鶴白は、現れた紗々姫に、攻撃の手を緩め、紗々姫の手を取った。

「ご無事で」

「もう!」

紗々姫は、鶴白の手を払った。

「お前は、好かぬ。どうして、こうも、邪魔をする?いい匂いがして気持ちが良いのだ。お前とは、違う」

「すみません」

鶴白は、頭を掻いた。

「帰りましょう。皆が心配しています。もうすぐで、姫様の国が出来上がるのですぞ」

「ふむ」

紗々姫は、赤い舌をチラつかせながら言う。

「考えたのよう。私の国を作るより、私は、夫と一緒に国を作った方が良いかと」

すぐさま、瑠璃光の手をとり

「鶴白。わらわは、この者についていくのじゃ!」

「ですから!」

再度、紗々姫の手をとる。

「いけません」

2人のやり取りに、先を急ぎたい瑠璃光と紫鳳は、いつ会話が終わるのかと、困惑して待っていたが、やがて、

「コホン」

咳払いをする瑠璃光

「大陸にいく。どうしても、解決しなくてはならない件がある。来るのか、来ないのか?どちらだ?」

紫鳳は、当然、付いて行く者として、出発する準備を始めた。青嵐は、馬の手綱を取り、瑠璃光の視線を追った。

「なかなかの、術者だな」

青嵐は、鼻の下を擦った。

「同行させてください」

「ふむ」

瑠璃光と紫鳳は、顔を見合わせた。

「役に立つかもしれません」

ぼそっと、瑠璃光に紫鳳っは、耳打ちした。

「まぁ。。今回は、間に合いそうだな」

瑠璃光は、紗々姫と鶴白が、言い争うのを尻目に、香を取り出すと、印を結び両手を交差し、前に突き出した。

「待って!待つのじゃ!」

紗々姫が、瑠璃光に飛びつく間も無く、その場には、鶴白と紗々姫だけが残っていた。

「瑠璃光!」

鼻を垂らしながら泣く紗々姫の声が荒屋にいつまでも、響いていた。

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