第16話 瑠璃光、、貴方の力は尊い
三華の塔には、沙耶姫が長年集めた神器の他に、香がたくさん積まれていたのは、当然、瑠璃光も承知していた。あの瞬間を1番待っていたのは、鶴白ではなく、瑠璃香だった。光が、弾ける瞬間、瑠璃光と紫鳳は、入れ替わっていたのだ。爆発の瞬間、炎と香が、混じり合うのを瑠璃光は、待っていた。得意の術式展開だる。香は、瑠璃光に従った。炎の渦に混じり合い、弾けた。炎から、己と仲間の身を守り、戻るべき空間への転移を念じた。その瞬間、瑠璃光と紫鳳の体は、弾け飛んだ。別の空間が、口を開けて、瑠璃光を飲み込み、また、光の球となり、紫鳳の体は、遠くへと阿と吽を抱いたまま、東の空へと消えていった。まるで、各々が、抱えた問題を解決せよと言うかの様に。
「ここは。。。。」
最大の力を振り絞った瑠璃香が、目覚めたのは、遠い大陸の寒洞だった。幾重にも、張り巡らさせた細い銀の糸が、炎で、焼き付いた体に食い込んでいた。
「かなり。。。痛手を負っていた様だから、少し、治療したほうがいいかと思ってね」
長い黒髪を頭頂で、まとめた細い顔の男が言った。髪は金色の髪飾りで、まとめてあり、幾つもの花飾りが彫られている。
「いつも、世話になるね」
一度に、幾つもの術式を使用した瑠璃光は、大陸まで、飛ばされ、寒洞のある大雹山の地で倒れていたのを運悪く聚周に見つかってしまった様だった。彼は、瑠璃光を見つけた時に、狂気した。長く探していた瑠璃光をこうも、簡単に見つけてしまうとは。抵抗のできない瑠璃光を寒洞に閉じ込め、恩師の恨みを晴らそうとしていた。
「少し、手加減してくれても、いいんじゃないか?こちらは、色々あって、怪我人なんだがね」
瑠璃光のしなやかな体が、鮮血に染まっていくのを、聚周は、まるで、芸術品を見上げるかの様に、下から、頭上から、見上げ、目を細めていた。
「変わらないな。口だけは、達者な所は」
吐き出すように聚周は、呟いた。
「どれだけ、私が、お前を探したか、わかるか?」
聚周は、瑠璃光の唇を、剣の鞘で、そっと撫でた。
「私も、一度は、会わなくてはならないと、思っていた様だな。こんな所まで、飛ばされるとは、思いもしなかったよ」
聚周は、瑠璃光の長い髪を掴み、引っ張った。
「嬉しいよ。こうして逢えて。今まで、逢えなかった分、一緒に過ごそうか?」
聚周は、剣を鞘から出した。
「おい。。やめろよ」
瑠璃光は、嗜めた。
「お前には、悪い癖がある。治した方がい」
「せっかくなんでね。お前の式神も、いない様だし」
聚周は、笑った。瑠璃光を、これから痛ぶろうと、歓喜に満ちていた。聚周の剣が、寒洞の中で、冷たく光っているのが、見えていた。
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