6話 僕の三角方程式

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人物紹介


三角関係①


滝本奏斗(たきもとかなと)

・2年1組の生徒。

・玲に好意を寄せている。

・雄大とは小学校からの親友である。


月崎玲(つきさきれい)

・2年2組の生徒。

・雄大と付き合い始める。


瀧口雄大(たきぐちゆうだい)

・2年1組の生徒。

・玲と付き合い始める。


三角関係②


清水萌衣(しみずめい)

・2年5組の生徒。

・徹に好意を寄せている。

・美穂とは高校で出会った親友である。


大池徹(おおいけてつ)

・2年5組の生徒。

・美穂に好意を寄せている。


美那川美穂(みなかわみほ)

・2年5組の生徒。

・テニスは全国大会に行くほどの実力を持っている


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6話 僕の三角方程式


 昨日の雨天とは打って変わって快晴となった。木々から滴る雫は、陽光を反射して星のように輝く。水溜まりは新品の鏡のように世界を鮮明に映し出し、柔らかな風により波を打つ。


 そんな、いと美しゅう世界を崩壊させる破壊神が隣にいる。雄大は水溜まりにジャンプする。子どもか。


「おはよう!奏斗」


「おはよう雄大」


 これやるよ、と9割5分残ったコンポタ缶を貰う。夏限定で発売される冷たいコンポタ。限定という言葉には、ついつい挑戦したくなるものだ。


「不味っ!」


「だよなぁ。やっぱり温かいコンポタに限るぜ」


 昨日、雄大と玲が付き合っていることを知った。だからといい、一方的な感情で友情を断つのは違う。


 そしてもう一人、世界で最も気楽な人間が目の前にいる。さすがのモブキャラ隼也だ。


「おっはよう、二人とも。今日も暑いなぁ。でよ、聞いてくれよ。昨日も例のコンビニ行ったらいつもの可愛い店員がいてさ、なんと」


「そんなことどうでもよくて、二人に大事な話がある」


「どうでもよくないんだけど!俺にとっては重要なんだけど」


「実は昨日から月崎玲と付き合い始めた」


「へ、へぇ~そんなんどうでも…、って、なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁにいいぃぃぃぃいいい!!?俺の話なんてどうでもいいわぁぁぁぁぁ。はぁあわわわわんんわんわん???ゆ、雄大と、れれれれ玲が付き合い始めたぁぁぁぁぁァ”ァ”ァ”ァ”ァ”雄大、うううう嘘は良くないぞ。冷静になろう。な?奏斗ぉ、雄大は、玲とつつつ、付き合ってないよな」


「嘘じゃないよ」


「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ、会議だ。俺たちの友情会議だぁぁぁぁ。ばあいによってはぁぁあぜっこうだぁぁあ」


 隼也は近くにある電柱に頭をぶつける。横を通る小学生がそれを見て笑う。恥ずかしさ極まりない。


 いつもの日常は一見崩れてはいない。でも、僕から見た日常は確実に変化をしている。雄大がとても大きい存在に見えて、決して超えられない人間に見えてしまう。


「奏斗」


「どうした?」


「本当によかったんだよな」


 どうしたのだろう。もしかしたらバレているんだろうか。僕が玲を好きなことを知っているのだろうか。


 それを尋ねようとして…


「本当に、今日英語のテストないんだよな」


「だと思うけど…隼也、英語のテスト明日だよな」


「はぁ、、、ん?今日だぜ?俺はテスト勉強完璧だぜ!」


「「なんだって!!!!早く言えよ!」」


「いやいや、お前らが先生の話聞いてないのがいけないんだろ」


「「うぐっ、確かに」」


 僕たちは感情を一旦捨ててテスト勉強に全力を尽くした。その結果、僕は70点、雄大は75点、隼也は5点だった。

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