第8話

俺は休憩していると両親から電話がかかってくる。


内容は『ゆなが家事を手伝うそうだ』という内容だ。


俺は「わかった」と言って通話を終える。


すると食器を洗っていたまゆが「なになに?誰から?」と台所から顔を覗かせる。


「両親から。妹のゆなが来るらしい」


俺が答えた瞬間「ピンポーン」とインターホンが鳴る。


俺は出ようとすると「お兄!助けに来たよ!開けて!ねえ!開けて!」と言いながらドアノブをガチャガチャ動かす。


俺は近所迷惑になるので鍵を開ける。


するとゆなは俺に抱きつく。


「お兄、大丈夫?ケガしてない?脅されてない?」


「落ち着け。はい、深呼吸」


俺が言うと妹は素直に従う。


落ち着くとまゆを見て「おまえ、だれだ?」とどすの利いた声で聞く。


「私は久司さんの彼女です!」


「うるせぇ!」


「聞いてきたのはそっちでしょ?!」


「だまれ地雷女!」


「うるさいわねブラコン!」


俺はとりあえず2人の頭を叩く。


そして「落ち着け」と言って椅子に座らせる。


そしてゆなに「なんで来たんだ?」と聞く。


「私、学校帰りに見たんだ!お兄が知らない女と歩いてるの。私、それを見てお兄が変なことに巻き込まれてると思って助けに来たんだ!」


「変なことに巻き込まれてないから帰ってもいいぞ?というか、ここからだと大学遠いだろ?」


俺がそう言うとゆなは「お兄にいらないって言われたぁ」と言って泣き出す。


まゆも「久司さんのことを困らせない方が良いよ?」と優しく諭す。


するとゆなはカッターで手首を切ろうとしたので俺はカッターをゆなの手から強奪する。


「お兄返して!」


「お前ここを事故物件にする気か?!」


「お兄にいらないって言われたから私に生きる意味はないよ!」


俺、どうしたらいいんだろ?


悩んでいるとまゆが「ここにいるってことは久司さんのやってほしいことをすべてやらなきゃいけないの。あなたにそれができるの?」と聞く。


「お兄の為ならえっちいコスプレだってメイドさんのコスプレだってできるもん!お兄の部屋にあった薄い本みたいな格好もできるもん!」


今さらっとやばいこと言ったな。


まゆは「いいんじゃない?」と俺に言う。


「まゆがいいならいいけど」


「なら決まり!あ、ゆなちゃんところで薄い本って何?」


「エロ同人誌のこと!」


「それはどこにあるの?」


「捨てちゃった!」


ゆなが答えると頭を撫でながら「ナイス!」と言う。


高2の時の俺の中での大事件の真相がやっとわかった。


俺の中では。


そして納得する。


どこ探しても同人誌がなかったことと、ゆなの髪形がポニーテールから二つ結びに変わったことについて。


いつの間にか2人、仲良くなってるし。


女ってわかんない。


まじで。


その後、まゆたちは「親睦深めるためにお風呂に2人で入ってくるね!」と言って風呂場に行く。

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