第6話
小説が受理されてから数日後。
朝から電話が鳴る。
出てみると天口さんからだった。
「小説に不備でも?」
『いや、違うんだ。今日、オンライン会議をすることになった』
「いいですけど、何時ですか?」
『午前10時だ』
「わかりました。ところで使うアプリは?」
『スマホの電話の機能にある映像通話機能だ』
「わかりました」
『それじゃあ、執筆頑張って』
「…わかりましたー」
俺はそう言うと通話を切る。
するとまゆが「担当の人から?」と聞いてきたので頷くといつも通り「内容!」と言うので「午前10時からオンライン会議をするんだってさ」と答える。
「じゃあ、私は久司さんの部屋にいるね」
「悪いな」
「いえいえ」
そして会議時間。
俺は会議の内容を聞く。
何の内容かって?
冬コミに俺がシナリオを書いた同人誌を出すんだと。
俺はただ傍観しているだけ。
俺いる意味あるか?
そんなことを思っていると『久司!何のジャンルが書きたい?』と話を振られる。
「まだ決めてませんけど」
『今決めろ!今だ!』
俺はそう言われたので少し考えて「ラブコメ」と答える。
『決まったな!なら、来月の上旬までに頼む。解散!』
すると通話が切られる。
俺は数分黙ったあと「バカヤロー!!!」と大きな声で叫ぶ。
するとまゆが「どうしたの?!」と俺の部屋から出てくる。
俺はまゆに説明すると「ブラック企業もビックリだね!」と驚いていた。
俺はそれからどんな内容のシナリオを作ろうか考えていたが思いつかないので散歩に行こうとウィンドブレーカーを着ていると「どこ行くの?」とまゆが聞いてきた。
「アイディア出しのための散歩。今の時間帯なら学生さんのカップルも多いからいいアイディアが転がっていると思ってな」
俺が答えるとまゆは眉間にしわを作る。
「それってつまり、そのカップルの男の方を自分にして妄想するってことでしょ?」
「まあ、そうだけど…」
「だめだよ、そんなの」
「そうか?」
「うん。私がいるんだからさ、頼ってよ」
まゆがそう言ったので俺はまゆを見て考える。
考えていると俺の頭の中にアイディアが浮かんでくる。
俺はまゆをベッドに連れていく。
そして俺は「俺の腹に下着姿で馬乗りになってくれ」と頼むと「うん!いいよ!」と言って服を脱いで馬乗りになる。
俺はそれを写真で撮る。
その後は下着姿でアイスを食べてもらったりといろいろなシチュエーションで写真を撮っていく。
そして俺はそれを見ながらシナリオを書く。
シナリオを書いていると寂しくなったのかまゆが俺の着ている服の裾を掴んで引っ張るというかまってちゃん攻撃をしてきたので、俺はまゆを膝の上に俺と向き合うように座らせて執筆の続きをする。
数時間後、シナリオが完成した。
それを天口さんに送る。
俺とまゆがゆっくりしていると、電話が来る。
「どうしました?」
『いいな!これでいくぞ!それでは引き続き執筆を頑張ってくれよ?』
と言うと天口さんと通話を終える。
「どうだった?」
「1発OK!」
「良かったね!」
「ああ!まゆの写真のおかげだよ!ありがとう!」
俺はそう言ってまゆに抱きつくとまゆも抱きついてくる。
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