その他

その他の作中用語・あ行~な行

 ・アシュアルマ【文化】

 所謂天灯。製造は専門の職人が行っている。

 司書の谷の祭事において、様々な願いを込めて守護の穴底部から飛ばすことが慣例であり、その美しさから外部の人々の間では一種の名物として捉えられている。祭りの規模や重要性によって数が異なっており、恭一が名誉導師となった際に準備された数が歴代最高を記録した。



 ・アストラル体【物質】

 生命そのものとされる存在。神代における重要な研究対象であり、長年に渡って様々な調査が行われているが、確かに存在するということ以外は全てが謎に包まれている。メヌリス・リッゲンバッハは、アストラル体を分離保存する機能を持つ生命保管システムを開発していたことから、何かを発見していたとされるが、一切の情報が残されておらず、他の調査内容についても文明崩壊と同時に失われた。



 ・アチカブランデー【飲料】

 ウングペール地域で作られる果実酒。アチカの特産品であり、高い品質の物は高級品として知られる。一定品質以下の物は、産地近郊であれば庶民でも口にすることができる一方、ユライア王国と国交が断絶しておりリンデン交易国を経由した横流し品しか流通しないカサドール帝国領などでは、低品質でも銀貨相当の価値があり、貴族や豪商のテーブル以外に上がることはない。



 ・アプトの人種ひとしゅ分類【書物】

 現代に存在する人種の分類を書き記した書物。人間とキメラリアの相違点やキメラリアの生態について書かれており、種族名についてはこの書物を元として大衆に広がっている。ただ、内容はやや偏見的で科学的見地に基づかない内容も多く、人間本位の姿勢が強い。



 ・アラネア糸【道具】

 キメラリア・アラネアの出糸突起から紡ぐ強靭な糸。生成の仕方によって強度が大きく異なり、最大強度の場合は、目に見えない程細い糸でも鋼の剣を受け止め、人間の身体を両断する程の強さを誇る。アラネアはこれを移動や武器、探知などに用いる他、アラネア繊維として編み上げることもある。



 ・アラネア繊維【道具】

 アラネア糸を織った強靭な布を指す言葉。軽く柔らかいにも関わらず、高い防刃能力と防火性を有するなど非常に強靭。キメラリア・アラネアだけが作れる高級繊維として知られるが、人間には忌避感を示す者も多く一般にはほとんど出回らない。衣類の他にロープなどに使用されることもあり、その強度は神代文明で作られた装甲車用の牽引ロープ並みとされる。



 ・アルキエルモ・オルクレン【道具】

 アルキエルモが最大の産地である建材。別名ルルクレン。イズケールと火山灰と軽石を水に混合することで作られる現代コンクリートであり、加工と成形が容易であることから、カサドール帝国領内では家屋や商店等から、防壁や要塞に至るまで多用されている。



 ・安定化エーテル燃料【物質】

 空間中からエーテルを凝集、液化によって安定させた物。特殊な循環液などを利用して保存する必要があるため、大掛かりな設備が必要となるが、エーテル濃度を必要とする場所へ物理的に移送することが可能という利点を持つ。主に工業地帯や発電所など、空間中エーテルが希薄化しやすい場所への移送目的で利用された。なお、事故によってエーテル汚染を引き起こす可能性も、非常に高かったとされる。



 ・遺跡【地理】

 神代から存在するとされる人工物。地上に露出しているものは珍しく、ほとんどが地下に存在する。内部には神代の遺物が存在しており、コレクタによる収集とテクニカによる解析が行われている。抗劣化装置の働きによって施設そのものが稼働している場合もあり、マキナやクラッカーなどを中心とした防衛兵器が調査における脅威として認識されている。



 ・イズケール【物質】

 アッシュバレイから産出する石材資源。石灰岩に近い性質を持ち、アルキエルモ・オルクレンの材料となるため、アルキエルモ近郊の地域には複数の大規模な石切り場が存在する。



 ・板剣【武器】

 分厚い長方形の鉄板に刃を設けただけの単純な武器。かなり重量があることから、力のあるキメラリアが扱うことを前提としており、人間が扱うには向かない。製造に用いられる鉄の質が悪く、切れ味も劣悪な物がほとんどであり、武器としての質は刀剣と言うより鈍器に近い。ただ、大型の武器としては安価であることから、コレクタユニオンがリベレイタへの貸し出し用として扱っている。

 ファティマもコレクタユニオンから貸与を受け、長い間使用していたものの、その粗雑な作りから度々破損させて借金を重ねる原因となっていた。また、斧剣が失われた際にも、新しい武器が決まるまでの代用品として再び使用している。その他の作中においては、フリードリヒ・デポール配下のケットが使用していた。



 ・遺物【道具】

 神代時代に使われたあらゆる道具類を指す言葉。ほとんどの場合、現代においては正しい知識や使用法が失われており、再生産もできないことから貴重品とされる。テクニカによる解析やリバースエンジニアリングによって、技術革新をもたらしていることから、コレクタによる活発な収集が行われている。



 ・ウォーワゴン【兵器】

 現代の戦場における防御兵器。箱型の荷台に銃眼を持つ木製の壁と車輪を備えており、クロスボウや弓を装備した射手を乗せて用いられる。アンヴやボスルスに牽引されて移動することが可能だが、移動しつつ攻撃を行うことは稀であり、基本的には戦場で切り離されることで、簡易の防御陣地として機能する。玉匣を目にした現代人たちは、その見た目から鋼のウォーワゴンと称している。



 ・ヴィンディケイタ【組織】

 テクニカを守護する戦闘集団。主に研究者や施設の防衛を行う少数精鋭の軍事部隊だが、テクニカによって在り方は異なる。同時に、国家やコレクタユニオンと対等の関係であるための自衛力として扱われる一方、対外的な交渉などを行う窓口の役割も担っている。ヴィンディケイタには一般的にキメラリアが多いものの、人間社会において差別の対象とはされず、むしろ特別な扱いを受ける場合が多い程、その立場や発言力は強いとされる。



 ・ヴェナー・グレンの薬草学【書物】

 現代における薬学書。山野草を中心として薬の合成方法や効能、禁忌等がまとめられている。



 ・エカルラト【信仰】

 カラーフラ教における主神。機械による奇跡をもたらす存在とされ、過去には神代文明を統べていたと考えられている。キメラリアが意志に背いて戦わなかったことで、ミクスチャによって神代文明を奪われたと伝えられ、カラーフラ教におけるキメラリアへの排斥の元となっている。逆にリビングメイルや鉄蟹などはエカルラトの使者であるとされ、人間側から近づいてはならない神聖な存在と見なされている。



 ・絵札【道具】

 賭け事に使われる木製の札。役を揃えて点を競うゲームに用いられるのが一般的だが、遊び方は多用。リンデン交易国で生み出されたとされ、各国の木工細工師が類似品を生産している。



 ・エーテル【物質】

 空間中に存在する謎多き存在。無限に存在するとされており、神代文明においては化石燃料や核燃料を置き換える中心的なエネルギー源として扱われていた。ただ、消費存在が多いと一時的に枯渇する場合があることから、都市部などでは集中的に利用しないよう、郊外に発電所などを設置することで電力などに置き換えて利用されていた。逆に凝集された物が解き放たれると、急激な高濃度化を引き起こし、汚染を発生させる可能性があった。



 ・エーテル汚染【状態】

 空間中エーテルが一定濃度を超えた状態。有機生命体に対し急激な遺伝子異常を引き起こす他、一定濃度を超えると自然災害や地殻変動を引き起こす可能性が示唆されていた。



 ・エーテル汚染耐性【状態】

 エーテル汚染によって引き起こされる身体異常への耐性。低いと汚染濃度到達と同時に異常をきたす一方、高いとエーテル汚染下でも活動を続けることが可能。古代人間は総じて低く、エーテル汚染は生死に直結する危険状態だったのに対し、動植物は耐性が高くエーテル汚染による種の危機には陥っていなかった。この生物的な限界を超える目的でキメラリアは生み出されており、現代の人種は動植物を遥かに超える高度な耐性を獲得している。また、ミクスチャの捕食にも影響していると考えられ、汚染耐性が高い現代の人種に興味を示さない原因である可能性が高い。



 ・エーテル機関【道具】

 空間中からエーテルを凝集し、動力へと変換する装置。人が抱えて運べる小型の物から、発電所などで用いられる超大型の物まで様々な種類が存在し、マキナを含む兵器類の主機関としても採用されている。エネルギーの変換効率が出力とされ、機器毎の性能によって大きく異なる。基本的に発熱は小さいが、発電機などでは敢えて熱エネルギー変換を同時に行うことで、給湯装置を併用するような使われ方もしていた。エーテルを機械的に高濃度化し一定量の貯留を行うため、故障や破損によって漏洩する可能性があり、神代文明におけるエーテル汚染の中心的な原因にもなっていた。なお、対応策として異常発生時にエーテルを希釈して放出する装置を備えていたが、機器の直接破損には対応しきれていなかったとされる。



 ・エーテル親和性【状態】

 エーテルに対する反応を指す言葉。高いと変異発生時に生態活動を維持することができ、ミクスチャなどへの転化が可能。低いと変異に肉体が耐えきれず絶命する。総じてキメラリアは親和性に優れる一方、その他の人種は極端に低い。また、野生動物の中には優れた親和性を発揮する存在があり、自然にミクスチャが発生する原因とされている。



 ・黒曜石の騎士オブシディアン・ナイト【兵器】

 カーネリアン・ナイトと共に、ユライア王国で運用されていたテイムドメイル。テイマーはアナトール・パーマー。機体は黒鋼B-4型。

 作中においてはカサドール帝国軍の罠にかかって損傷し、スノウライト・テクニカで修復が試みられていた。その後、ダマルの手によって修復整備が行われて復活している。しかし、前哨基地の戦いにおいて、ダマルの操縦でヤークト・ロシェンナと交戦した際、自動散弾銃の直撃を受けて破壊された。



 ・斧剣【武器】

 バックサイドサークルの武器商人が取り扱っていた重量級の長剣。幅広で両刃の刀身には蔦の模様が刻まれており、切っ先付近には片側に扇状の膨らみを持つ。これらの構造から全体のバランスが悪い上、並の人間では扱えない程重い。更には鋼の使用量から価格が銀貨3枚と高価であり、キメラリアからの買い手もつかず、観賞用として以外の価値が望めない不良在庫だった。

 恭一がファティマ用に板剣を代替する目的で購入し、以来ファティマが振るっていた。しかし、パイロットスーツで補助されたファティマの力に耐えられず、大型の失敗作と交戦した際に折損し失われている。



 ・オートメック【道具】

 神代文明において用いられた自動整備機械の総称。完全自立式で動作し、整備作業の補佐を行っていた。



 ・神代【時代】

 現代からおよそ800年前に滅亡した文明を指す言葉。エーテル技術を初めとする高度な科学技術を持ち繁栄しており、現代人間へと続くキメラリアやデミを生み出している。しかし、禁止兵器を用いた戦争行為と重度のエーテル汚染に晒されて地上が壊滅。新たな世界の創造を目論み地下に潜っていた知識層も存在したが、マキナの暴走によって絶滅している。現代では神話として迷信の如く語られる他は、遺跡や遺物にその影を残すのみとなっており、高度な技術のほとんどが完全に失われてしまった。



 ・カラーフラインダストリ【組織】

 共和国の中心的軍需企業。共和国軍と深い繋がりを持っており、マキナや兵器類を多数提供していた。建前上は独立した企業であるものの、内部には共和国政府の関係者が多数入り込んでおり、半ば国営状態にあったとされる。文明崩壊後は神代のテクニカに合流したが、その後マキナの暴走によって消滅している。



 ・カラーフラ教【信仰】

 オン・ダ・ノーラ神国発祥の宗教であり国教。教義は機械文明を主神エカルラトからもたらされた奇跡と称し尊崇する一方、ミクスチャとキメラリアを同列に不浄の存在として排除しようとする極端な物。キメラリアに関しては、奴隷として扱うことすら難色を示す場合が多く、デミも不浄と交わった存在として忌避される。そのため、キメラリアを多く抱えるコレクタユニオンも認めていなかった。ただ、オン・ダ・ノーラ神国領以外での信仰はほとんど広がっておらず、カサドール帝国に至っては邪教であるとして法律で禁じられていた程。その名称からカラーフラインダストリとの関係が示唆されているが、文献等は残されておらず命名理由は不明。



 ・紅玉髄の騎士カーネリアン・ナイト【兵器】

 オブシディアン・ナイトと共に、ユライア王国で運用されていたテイムドメイル。テイマーは不明。機体はヴァミリオンmk2Δ。赤い試験塗装が施されていたことが、名称の由来となっており、実働状態のプラズマカノンを装備していた。

 作中においては、ミクスチャ『割れて増える者』との戦いに投入され、差し違える形で失われている。



 ・機関拳銃【武器】

 神代文明の国家軍が使用していた軽量短銃身のサブマシンガン。取り回しの良さから、主に車両搭乗員や後方部隊員用、または歩兵の予備武装として使用されていた。

 作中においてはダマルが愛用している。



 ・騎士【地位・役職】

 現代の国家軍において、ほとんどの場合は指揮官に相当する役職。騎獣兵以外の兵科においても、軍獣等へ騎乗することが一般的。カサドール帝国では一般的に平民出身者の最高階級かつ、貴族出身者の最低階級とされる一方、ユライア王国では従軍する貴族を指す言葉であり、平民が騎士になることは出来ないなど、国によって考え方が異なる。



 ・騎獣兵きじゅうへい【地位・役職】

 軍獣に騎乗して戦闘を行う兵科。騎兵と短縮されることもある。会戦における花形とされ、基本的には優秀な兵士で構成される。また、その機動力から斥候や伝令に用いられたり、威圧感から地域警備任務を行うこともある。



 ・機甲歩兵【地位・役職】

 神代の軍隊における兵科の1つ。マキナを装備する歩兵部隊の総称であり、陸軍を中心に海兵隊や空挺部隊としても活躍。企業連合と共和国間における戦争では中心的な役割を担った。



 ・混合人キメラリア間偏愛者・コンプレックス【状態】

 キメラリアを好む性癖を指す言葉。現代の人間社会においては変人の代名詞であり、特にキメラリアと恋仲になったり婚姻を結ぶ者に対して向けられる。また、キメラリア好きを認めている者が自称することもある。



 ・玉泉ぎょくせん産機【組織】

 玉泉重工グループの子会社。自動機械を主に取り扱っており、GI型オートメックなどを製造していた。



 ・玉泉ぎょくせん重工【組織】

 企業連合に属したメガコーポ。軍需産業を中心として様々なグループ会社を持ち、工業製品を手広く手掛けていた。代表取締役は企業連合総長の一色巽が務めており、企業連合軍との強固な繋がりから、マキナをはじめとした様々な武器兵器を軍へ卸していた。文明崩壊の際には、技術部門の多くが神代のテクニカへと吸収されたが、その後に発生したマキナの暴走で消滅している。



 ・金貨【貨幣】

 現代における最大貨幣。一般には流通しておらず、国庫財源や豪商間の取引等でのみ利用される。銀貨1000枚分の価値があるとされるが、製造国や情勢によって大きく変動するため、あまり当てにならない。



 ・銀貨【貨幣】

 現代における貨幣の1つ。一般に流通する中では最大の価値を持ち、銅貨1000枚に対して1枚という交換レートが基準とされるが、大きさによってはこの限りでない。同様に、製造国によって純度が異なっており、銅や鉄の外側を銀で覆っているだけの粗悪品も存在するなど、価値の振れ幅は比較的大きい。

 庶民が買い物に用いることは珍しく、日常的に利用するのは商店主や隊商、豪農など裕福な人々が多いとされる。



 ・軍獣ぐんじゅう【動物】

 現代の軍隊において騎乗に用いられる獣を指す言葉。一般的にはアンヴの代名詞として知られるが、フウライも同様に呼ばれることがある。



 ・獣車けものぐるま【道具】

 獣に牽引される車を指す言葉。荷車から人間を運ぶワゴンまでを含む。木製の物が多く、小型の物は1軸、大型の物は2軸の車輪を用いることが一般的。貴族が移動に用いる物には、豪奢な装飾が成される。



 ・抗劣化装置【道具】

 様々な物質の酸化や腐敗等を遅らせる装置。エーテルを用いた技術の結晶であり、一般的な家電製品から倉庫全体を覆う程大掛かりな設備まで存在する。800年の時を経てなお、神代の機器類が正常に動作できる理由の1つであり、現在も稼働を続ける遺跡等はほとんどの場合、施設全体に効果を発揮する同装置を備えている。なお、進歩的な冷蔵庫として開発された物が最小クラスであり、抗劣化庫と呼ばれ社会に広く普及していた。現代でも玉匣一行の屋敷で、高度な冷蔵及び保存機能を有する食糧庫として利用されている。



 ・コレクタ【地位・役職】

 コレクタユニオンに所属し活動する者を指す言葉。直接雇用の職員ではないものの、一定の審査を受けて能力を認められた者たちであり、コレクタユニオンに持ち込まれた依頼を受ける権利を有する。



 ・コレクタユニオン【組織】

 コレクタを束ねる世界的な組織。単一の国家に属さないことで、あらゆる組織や個人から多様な依頼を平等に受け付け、それらをコレクタたちへと斡旋する業務を中心に行っている。

 社会的には、放浪者やキメラリアに対する雇用の創出、傭兵としての活動や危険生物の排除、遺跡の調査や遺物の回収を行っていることが知られており、地域によって差はあるものの社会全体からの信頼度は比較的高い。そのため、名声を求める若者や、成り上がりを求める貧困層にはコレクタを志す者が多い。一方、借金によるリベレイタの縛り付けや、個々のコレクタに起因する犯罪を初めとした問題に対する責任姿勢、リベレイタに関する奴隷商との癒着など、組織内部には多くの問題も抱えている。

 本部はスィノニームに置かれ、各地に支部が点在し実務に当たっている。本部は強大な権力を誇り、国家やテクニカから寄せられる重大な案件の処理や、支配人の決定及び派遣、組織運営に関する決定などを行っており、単独で国家に比肩する軍事力を抱えている。ただ、近年は過度な保守思想から腐敗が進行し、グランマを初めとした支部支配人による派閥の形成を制御しきれず、その権威は各地へ分散しつつ衰退する傾向にある。



 ・コレクタリーダー【地位・役職】

 組織コレクタを束ねる存在として、コレクタユニオンから認められた者を指す言葉。こなしてきた依頼の難易度や経歴、人柄などを総合的に判断され、所属するコレクタユニオン支部の支配人から任命されるのが一般的。専用のバッジを身に着けることがその証明とされており、裏面には任命した支配人の名前が刻まれる。一般的なコレクタと比べて社会的信用度が非常に高く、多くの地域では放浪者等と比べてよい待遇を受けやすいとされる。



 ・自動小銃【武器】

 神代文明における軍隊で一般的だった歩兵用小銃。サイレンサーやバヨネットなど追加パーツを装着していることが多い。生命保管システム施設内に残されていた企業連合軍の正規品が玉匣に搭載されて、主に恭一とアポロニアが使用した。



 ・自動修復装甲【道具】

 エーテル機関からのエネルギー供給により、自動的に損傷を復旧する特殊金属を用いた軍用装甲。損傷状況はストレス値として数値化され、万全な状態であれば値が30%を超えない範囲においては時間経過により復旧する。なお、修復限界は使用と共に低下していくことから、一定の使用期間を経た場合は大規模なメンテナンスステーションを用いてのリフレッシュを必要としていた。

 従来の複合装甲よりも防御能力に優れており、マキナには企業連合、共和国共に第二世代型の中期頃より採用が行われ、第三世代型マキナにおいては採用を前提とした設計がとられている。ただ、従来の装甲よりも成形難易度が高く総じて高価であり、マキナをはじめとした兵器類の価格高騰を招いている。



 ・子爵【地位・役職】

 貴族の爵位であり、一般的には伯爵の下位、男爵の上位に位置する。国家によって基準は異なり、カサドール帝国においては伯爵の子が持つ爵位である一方、ユライア王国においては伯爵家の派閥に所属する貴族の内、町村の運営を行う中心貴族という立場であり、男爵家からの陞爵しょうしゃくによってのみ得られる爵位である。



 ・シトリオドラ【信仰】

 土着信仰において崇められる、博打と運勢を司る神。良くも悪くも気まぐれな性格の男神であるとされる。幸運に恵まれていたり、予期せぬ事態を引き寄せる人々のことを、シトリオドラのお気に入り、などと呼んだりする。



 ・集団コレクタ【地位・役職】

 コレクタユニオンに所属する一般的なコレクタの総称。コレクタの大半がこの役職に位置し、その能力は集団ごとに大きく異なる。規模も最低2人から数十人まで幅広い。

 コレクタユニオンから集団の形成に関する指示は行われず、あくまで個々の自由意志によって集まったもの達が行動を共にしているに過ぎない。支配人管轄の依頼や、危険度が非常に高いと見なされる仕事に関してのみ斡旋が行われない以外、これと言った制約は存在せず、コレクタユニオン側は集団の規模や全容などを管理しない。その分、社会的な信用は組織コレクタから大きく劣っており、コレクタユニオン所属であることによる特権は、依頼の斡旋以外にほぼないに等しいため、ほとんどの場合は組織コレクタを目指して活動する。



 ・重装兵【地位・役職】

 現代の軍隊における兵科で、金属製の全身鎧を装備していることが特徴。陣形防御の要として突撃を打ち砕く役割を持つほか、騎士の護衛なども務める。歩兵の他に、騎獣兵にも兵士と騎獣両方に金属鎧を装備させた重装兵が存在し、重装騎兵と称される。



 ・将軍【地位・役職】

 カサドール帝国軍における最高階級。指揮する軍の数だけ任命が行われ、それぞれの間にも序列が存在していた。例としてはエリネラ・タラカ・ハレディは序列第一位将軍として他の将軍よりも上位の権限を持ち、皇帝以外に命令権がないものとして扱われていた。



 ・シリェーニィ【信仰】

 土着信仰において崇められる、恋愛や婚姻、子宝を司る女神。女神ヤスミンと並んで民衆の間で人気の高い神であり、色恋や夫婦関係においてよく名前が挙がる。また、シリェーニィの御手に包まれる、という言葉が、性交の隠語として用いられることがある。



 ・真銀【物質】

 現代において加工可能な中で最も強靭な金属。色が銀に似ていることからその名がついたとされるが、銀との関連性はなく鉱物であるかも怪しい。採掘源となるのは、湖や地中海などの広い水場付近において、稀に出現する殻のような物であり、巨大な生物が脱ぎ捨てた物ではないかと考えられているが詳細は不明。現代で製造可能な鋼を圧倒する強度と軽量性を誇るため、武器や防具の材料として用いられるが、その希少性から非常に高価な代物であり、貴族家であっても代々受け継がれていたり、王家などから下賜されたような物がほとんど。ヴィンディケイタも武器や防具を真銀製で揃えることが多いが、これもテクニカが長年使い続けている物を個人向けに作り直して用いる場合が多く、素材から新造されることは極めて稀。



 ・青銅貨【貨幣】

 現代における貨幣の1つ。最も価値の低い貨幣であり、貧困層における流通が一般的で庶民層も使うことは少ない。交換レートは100枚で銅貨1枚が基本とされてはいるものの製造が粗悪であることから、青銅貨を用いて銅貨相当品を購入することは拒否されることも多い。中には国家で貨幣として認められておらず、貧困層を労働に縛り付ける目的で利用されることもある。ほとんどの場合1枚で買える物はなく、5枚前後でレッサービーツから作られる栄養価が低く味の悪いスープや、レッサービーツそのものを買える程度。



 ・生命の器計画【出来事】

 企業連合軍が雪石製薬と共同で行った、人間の成体からアストラル体を分離させ、人工的に生み出された肉体へと転移させる極秘プロジェクト。表向きには一般的な治験として広く被験者を求めており、応募者の中から一定の適正が見込まれる者を選抜し、倫理的に問題のある人体実験の被検体として利用していた。しかし、アストラル体そのものに未解明の点が多すぎたことで、被験者はほぼ全員が死亡し、完全な成功例は存在しない。唯一、ダマルだけがアストラル体を転移させることに成功したが、何故か肉体ではなく人工骨格へアストラルが移動した状態で生命活動を再開するという不可解な事態を起こしている。その後、被験体とした行方不明者が増えすぎたことで、露見の可能性を恐れた軍部により計画の破棄が決定。ハイパースリープ状態で研究が続けられていたダマルも処分予定だったが、行方不明としての扱いが完了していたことを理由に、生命保管システムの運用実験に投入されて処分を免れている。



 ・生命保管システム【道具・施設】

 メヌリス・リッゲンバッハが開発した生命体を長期に渡って保存するための装置。生命そのものであるアストラル体を肉体から分離保存すると同時に、身体の構成情報や記憶、性格等をデータ化し、肉体そのものはエーテルに分解することで保持するシステム。また、カール・ローマン・リッゲンバッハは生物学者であるコルニッシュ・ボイントンと開発者メヌリスの協力を受け、損傷した肉体のデータを改変することで完全な治療を行うという応用的な使用法を編み出し、ほぼ脳死状態にあった恭一を完全に回復させることに成功している。

 文明崩壊を間近に控えた段階で、ようやく運用試験に漕ぎつけた設備であることから、メヌリスの説明以上に構造の調査を行うことができず、また短期間で人体を蘇生させるデモンストレーションに成功したことで、中身はブラックボックスのまま文明崩壊に合わせて使用された。なお、メヌリスのラボに置かれていた試作型は早い段階で実用に漕ぎつけていたとされ、メヌリスが内部構造を秘匿するため意図的に試験を遅らせていた可能性がある。

 実用化されたのは試験用の1基と、現在のロックピラー地域に施設ごと用意された大型の1基のみであり、その他の地域で同様の設備は確認されていない。



 ・雪石せっせき製薬【組織】

 企業連合に存在した大手製薬会社。医療部門以外にも様々な研究機関を有するメガコーポであり、玉泉重工に並んで企業連合を代表する会社だった。特に遺伝子研究に力を入れており、スノウライトというブランド名でエーテル遺伝子薬を複数開発製造している。一方、その研究には人体実験を含む非人道的な内容が多く含まれ、研究者には精神に異常を来す者が見られるなど、企業倫理には重大な欠陥を抱えていた。

 文明崩壊に際し、最初は企業単独における生存と崩壊後世界の管理を目指しており、神代におけるテクニカへの合流は賛否両論だったとされる。なお、最終的には物資の欠乏からテクニカへの合流を目指すことが決定されたものの、行動を開始するより早く、全ての施設でマキナの暴走が始まったことでこの世から姿を消した。



 ・組織コレクタ【地位・役職】

 コレクタユニオンにおいて、支配人からその能力を認められた精鋭のコレクタ。集団としての依頼達成率や社会的な評価などが加味された上で、所属支部の支配人からの直接依頼や一定の試験を突破することで任命を受ける。特に長となる者はコレクタリーダーと呼ばれ、経験や技能、人柄などが総合的に評価されて任命されるため、組織コレクタが成立する敷居は非常に高い。その一方で、任命権の一切を支配人が持つことから、特例的な措置として任命を受ける者も見られる。

 厳しい評価基準は世間一般にも知られており、関所を通過する際や都市部への滞在などにおいて、優遇措置が存在するなど社会的な信頼度は集団コレクタと一線を画す。同時に、重要度が高く利益の大きい仕事を優先的に斡旋してもらえる他、リベレイタの確保や物資の融通などを依頼することも可能と、コレクタユニオン内での扱いも他とは大きく異なる。ただ、人事に関しての自由度は失われ、組織の人員増加や縮小などについて、コレクタユニオン側に対し管理のための届出を必要とする。また、支配人から依頼される仕事に対して拒否権がないなど、活動をコレクタユニオンの意向によって左右される場面が起こりうる。



 ・駄載獣ださいじゅう【動物】

 獣車の牽引やプラウを利用した農作業等に用いられる獣。主にボスルスを示す言葉だが、それ以外の獣を指して使われることがある。



 ・男爵【地位・役職】

 貴族の爵位であり、一般的には最下級として扱われ、子爵の下位に位置する。現代文明では最も庶民に近しい存在であり、貴族の中に占める割合も最大。貧富の振れ幅が非常に大きく、巨大な荘園を任され子爵に並ぶ力を持つ家もあれば、豪商や豪農に財力で劣るような存在まで千差万別。同様に在り方や役割も国家や地域でかなりの差があり、まとめることは難しい。

 カサドール帝国においては、主に地域で名を知られる富裕層や長年国に仕えた有能な騎士が多数を占め、民衆と貴族の橋渡し的な役割を担っていることが一般的。一方、役人として認められる立ち位置であることから汚職が横行しており、金で買える爵位と呼ばれることもある。ユライア王国では上位貴族や王家に仕えた者達が、功労を認められることで得られる爵位とされる。しかし、国土面積の問題から多くの場合は世襲によって受け継がれており、新たな男爵家が生まれることは非常に稀。ただ、豪商や豪農と貴族家の人間が婚姻を結ぶための条件を満たすため、当事者にのみ男爵という位を与えて嫁入りや婿入りを行うことはある。役割としては荘園や地域産業の管理運営が一般的であり、役人として民衆との接点が貴族社会の中で最も多い。



 ・チッキ商会【組織】

 スィノニームを拠点とする運輸会社。船による国際水運の他に、獣車を利用したリンデン国内における輸送、交通の事業も行っている。また、司書の谷とも深い繋がりがあることから、リンデン交易国との間で唯一直接的な交易及び移動を認められている会社でもある。



 ・チュコラ【料理】

 タルトに似た焼き菓子。地域や季節によって異なるが、果物を使う物が一般的。使用素材には高価な物を多く含むが、果物にリサンを使った物は比較的安価であり、庶民にも手が届く贅沢品として親しまれている。



 ・テクニカ【組織】

 各地に存在するとされる、遺物の研究調査を行う組織の総称。神代技術からのリバースエンジニアリングも行っており、現代文明における技術知識の頂点でもある。得られた技術を国家や商人ギルド、職人ギルド等へ売り渡すことで資金を得ると同時に、各組織から様々な援助を受けている。また、遺物の収集において中心な役割を担うコレクタユニオンとは共存関係にあり、様々な場面で連携が見られると共に数少ない窓口となっている。その価値ある技術知識や膨大な資金を持つことから、自己防衛のための軍事力としてヴィンディケイタを組織している他、基本的にその所在地を隠匿しており、コレクタユニオンの高位支配人や、ごく一部の信頼のおける取引関係者だけが連絡手段を持っている。

 同名の存在として、文明崩壊直前の神代時代に生み出された組織がある。こちらは高度な技術を後世に残すことを目的とした集団であり、国家や組織の別を問わず知識人や文化人を募集していた。しかし、共和国に恨みを持つカール・ローマン・リッゲンバッハがこれに失望。ウイルスプログラムを拡散したことでマキナ及び自動兵器が暴走を起こし、無差別攻撃によって崩壊し消滅した。



 ・テンペスタス・アーマメント・カンパニー【組織】

 共和国に存在した武器兵器メーカー。元々は共和国軍に対して武器を、カラーフラ・インダストリに対して兵器部品を卸していたが、そこで得たノウハウを元として第二世代マキナであるノルフェンを開発し、新興のマキナメーカーとしても名を上げた。しかし、共和国軍の正式採用には至らなかったことから、マキナ部門は民間向けモデルを中心とする方向へシフトし、軍用マキナ開発からは短い期間で撤退している。文明崩壊によって消滅。



 ・銅貨【貨幣】

 現代における貨幣の1つ。現代において最も一般的に流通している貨幣であり、庶民生活において多用される。交換レートは青銅貨100枚につき銅貨1枚、銅貨1000枚で銀貨1枚を平均としているが、大きさによってはこの限りでない。国家地域における価値の変動は小さいものの、基礎的な価値が低く基本的に庶民が用いる貨幣という立場であることから、交易などに用いられることは稀で、多くの場合は地域内で循環している。そのため、製造国が違う貨幣を持つ者は、コレクタや放浪者等、各地を移動する者がほとんどで、庶民が異国通貨を持っていると不審に思われる場合もある。



 ・ナルフ【料理】

 ボスルスの乳とチコハグの卵に砂糖を加えて作られる高級菓子。いわゆるプリン。ユライア王国の貴族社会では時折食べられている。

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