第2話 トラブル② キチ〇イババア編


私が前に住んでいた賃貸マンションの時の話。


学校も近く、仕事場も近くにあり立地条件は言う事無しだった。そのマンションは6階立てで空いていたのは6階。


当時、上の子供は小学校低学年、下の子供は生まれたばかり。


住むに当たって礼儀として6階のフロア全部と、階下の部屋に菓子折り持って挨拶に妻、子供を連れて行った。皆さん普通に快く挨拶をしてくれた。


ただ1人階下の人間を除いては・・・。その階下の人間。


年齢は70前後のおばあちゃん。1人暮らしで元学校の教師。


私たちが挨拶に行くと、愛想は良いんだけれど言う言葉がおかしかった。


「私はね、教師を長~~くしてたから、子供の事はよ~く分かるのよ~。」


私の後ろに立っていた妻や子供を覗き見ながら、意味深な笑顔を浮かべながら言った。


「あ~そうなんですか~。」


私が愛想笑いを浮かべながら答える言葉尻にかぶってさらに続けた。


「子供は親のしつけが大事!!ほっとくと走り回るから、この部屋からあまり出しちゃダメよ!」


それまでの物腰柔らかそうな物言いから一転、その言葉を言っている時の表情は、まるで、キッと先生が生徒に喋るような口調に変わった。間取りは同じなので、おばあちゃんは指でココ!って指しながら先程の愛想良くしていた態度とうって変わって語気強く私たちに言った。


もう嫌な予感しかしなかった。


そして、翌日からその地獄は唐突に始まった・・・


私が仕事で不在の間、子供たちがキャッキャと遊んでいると・・・









ピンポーン!









妻がドアを開けると、階下のおばあちゃんが。


「昨日、私言ったでしょ?子供は躾が大事!この廊下を走らせちゃダメでしょ!」


同じ間取りの私の家の廊下を指さし、おばあちゃんは語気強く言った。


「あ、はい、すみません・・・」


これが毎日。しかも、1日何度も。


私も最初は「まぁ相手おばあちゃんやからな・・・」と、我慢するしかないやろと軽く考えていた。しかし、その頻度が日を追う毎に異常になってきていた。


妻の精神状態が壊れるのにそう時間はかからなかった。私が仕事から帰って家でくつろいでると・・・


子供部屋で兄弟が遊んでいた。その内、おいかけっこになりキャッキャッと遊ぶ声。どこにでもある、子供を持っている家庭ならごく当たり前の幸せな風景。


「やめなさい!やめなさい!」


妻がいつものようにナーバスに怒り出した。そんなすぐに子供たちが言う事を聞くはずがない。


「もーーーーーーっ、やめなさーーーーーいっっ!」


ヒステリックに叫ぶ妻。そんな当たり前の日常すら、今の私たちにとっては許されないのか・・・


そしてとうとう表面張力ギリギリだった生活を一変する出来事が起こる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る