第91話 因果応報、案の定、エロの申し子はここにもいた

 今更であるが、種族や職種によって装備出来る武器や防具が存在する。


 残念ながら人間・剣士であれば魔法使いの杖やローブは装備出来ない。

 

 人間・魔法使いであれば剣や大剣、斧や弓、重鎧や盾などは装備が出来ない。


 しかし、一部例外があり、短剣や包丁や鋏などは全てのプレイヤーは装備が出来る。


 包丁や鋏が持てなければ生活が出来ないという括りからである。


 当然料理人に比べれば下手であるし、裁縫師等に比べれば鋏の扱いも下手であるが。


 マロンはボディコニアンである事、最初の職種が治癒士である事から、メインは扇・扇子系と鞭と杖が可能である。



 フォルテの協力もあり、巫女見習いをマスターする事が出来たマロン。


 魔物を倒してはいないのでレベルは26で止まった状態であるが、他の空き時間に薬などを作ったり、祈祷をするなりして経験を積んでいたのである。


 同様にアクアも製作したり診療所で治療の手伝いをする事で経験を積んでいた。


 アクアは魔法系と前中衛系の戦闘系の職種を選択肢、第一職種:魔法使い見習い、第二職種:槍士見習いとなった。


 水の槍とか使えたらカッコいいよねーという会話から槍士を選択したのである。


 アクアは個人的に蛇鉄槍と覇極流のファンでもあった。


 マロンとアクアの共同製作で既に蛇鉄槍もどきを製作している。


「第一回イベントに間に合わせてれば、天挑五輪大武會とか言えたのにねー。」


 などという、トリスのツッコミがあった程だ。


「貴様のダンビラを貸して貰おうか……とか言ってみたかったよ。」


 マロンが真顔で呟いた。それを受けたトリスは冷たい現実を言い放つ。


「この中で剣や刀をメインで扱う人いないけどね。というか侍系の職種って今の所ないよね。」



 マロンが言う通り、戦士や剣士等はあるが、侍や忍者、ガンナーなどは今の所存在していない。


 ロールプレイで行っているプレイヤーはいるかもしれないが、現状は剣士や盗賊で誤魔化すしかないといったところである。


 可能性としては侍は剣士系、忍者は盗賊系をマスターする事が鍵ではないかと、各プレイヤー間で囁かれているがはっきりとはしていない。


 忍術という側面を考えると盗賊だけでなく魔法系の職種も必要ではないだろうかと、検証しているプレイヤーも存在する。




 また、マロンは一度初心に帰り、第一職種:回復術士、第二職種:農家見習いとなった。


 踊って回復が初心だったなと、転職可能一覧を見てマロンは思い出した。


 農家見習いを第二に入れたのは、米を作れば酒や味噌等にも手を出せるなと思ったからである。


 初心は直ぐに片隅に追いやられていた。




 そういえば、そろそろ第二回イベントとか来ても良いんじゃないか?という声が上がっている。


 毎月あっても仕方ないのかも知れないが、何も変化がなければユーザーは飽きる。


 所謂第一エリアと呼ばれるものはトッププレイヤーの手によって突破されており、第二エリアに進んでいるプレイヤーは増えている。


 尤も、次の町・都市に辿り着くのが第二エリアというわけであるが、その前にフロアボスという物が立ちはだかる。


 複数の国、複数の町がスタート地点という、最初からかなりの無茶振りをしている運営のため、フロアボスの数も多い。


 ただし、魔物の初期レベルなどはほぼ統一されておりいきなり超強敵と戦うなんて事はない。



 例外は現状では惑わしの森及び、闘技場都市周辺だけである。


 マロン達は最初からハードだった故にそれに気付けないだけであった。


 マロン達以外では闘技場都市の外では力不足で進む事は出来ない。


 ドラゴンイベントや王女イベントはまだまだ先に用意されていたものであった。


 マロン達以外のプレイヤーが草野球チームで徐々に力を付けているのに対し、マロン達はいきなりメジャーリーグで揉まれてきたようなものだ。


 


「たまには家の周りを探索しますかね。農地も広げたいし。」


 店は王女達に任せ、1日元の仲間だけで時間を過ごす事となる。


 そのため、小屋(小屋というには既に大きくなりつつある。)近隣の探索が久々となった。


 西に向かっててくてく歩いていると、懐かしい場所に出る。


「あ、久しぶり。エロい触手トレントのクマモトらぷたさんじゃないですか。」


 ちなみにスワヒリ語でクマが女性器、モトが温かいという意味でクマモトは発情した女性器という意味になる。


 らぷた……天空の城でお馴染みのラピュタから取ったと思われる名前は、スペイン語で売春という意味になる。


 正確には発音としては「ラプータ」なのであるが、同意と見なしても問題はないだろう。


 つまりこの触手トレントは選ばれるべくしして選ばれたランダム種族と言えなくはない。



 クマモト氏が知っていて名付けたのかどうかは定かではないが。




 触手トレントことクマモトらぷたは普通に会話をすれば、礼儀正しいプレイヤーであった。


「ずっと人には言えなかったけど、初めてあんな事をした後に称号を二つ得たのですよ。」


【称号:マーラ様】【称号:イソノカツオ】


 らぷたは自分の称号名を3人に話した。



「前者は言わずと知れた、あの魔王マーラ様ですよ。これはまだネタになるから良いんですが、問題は二つ目です。」



「イソノカツオって何?と思って説明を読んだんです。そしたらなんと……」


「イタリア語で【io sono cazzo】って発音すると、いそぉのかっつお。いそのかつおなんです。日本語に訳すと……」



「【私はおち●ぽです。】ですって。私これでも女子なのに恥ずかしいセリフ言わせないでって感じですよ。」


(運営、18禁に特化しすぎだろ。エロゲ制作時代のネタを全年齢対応ゲームにぶちこんでじゃねーよ。)


 この場で話を聞いていた全員の心の内であった。



 男性器型した枝を持つ木に言われても、卑猥なプレイヤー名の人に言われても……な状況であった。

 

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