第77話 くっころはシチュエーションプレイ10000モエ

「くっ、ころせっ」


 後ろ手に縛られ、破れかぶれの衣服を身に纏い、胸や太腿などが一部露出しかけているテレトの姿があった。



「マロンだよ~。ある時は母親、ある時は人気受付嬢、またある時は元Aランク冒険者、そしてまたある時は第七王女……それなのに縛られて興奮して上下の口から涎を垂らしている女はどこのドイツだい?お前だよっ」


 ボロボロの女騎士がビクンビクンっと身体が反対に反り恍惚の表情を浮かべている。


 ただし、女騎士が震えているのは……ベッドの上である。


 今の言葉で布団に染みが出来ていた。


 シチュエーションプレイ……通常1時間30000モエにプラス5000~10000モエ追加料金を払う事で可能となるプレイ内容。


 何度も来訪するテレトに対して、仕方なくテレト限定として試験運用をしているプレイ内容である。


 これまでは断ってきたさくらんぼクラブであるが……


 溜まってきた性欲をその辺で発散しそうと、周囲のモブ市民達に向けて暴力を振るいそうな形相だったので、仕方なく利用を赦す事になった。


 なお、フォルテやミーツェには内緒である。


 さらに来訪しているのは受付嬢の休憩時間や休暇にである。


 旦那に相手して貰えよと思うマロンであるが、それはそれ、これはこれ……という事で一向に引かなかった。


 旦那とは愛のあるセックスしかしないそうで、マロンとは主に蔑まれる変態プレイをしたいそうだった。


 姫騎士くっころプレイ(仮)をシナリオを用意してくる程の用意周到さで、2時間60000モエ+シチュエーションプレイ代10000+オプションという形を提示したところ、即決であった。




 旦那であるフォルテにバレるのも時間の問題であろう。


 問題はバレた時にどうすれば良いのか。なるようにしかならないのだが、マロンの悩みは尽きない。


 本来であれば何かを作る時間に当てたいのだが、マロンはいつの間にか特定の数人相手の娼婦になっていた。


 設定年齢は20歳なので問題はないのだが、この身体は幼女。


 進化すればトリスのように少女になるかも知れないが、それでも犯罪スレスレである事は想像出来る。


 まともに冒険させてくれ、創作させてくれと思うマロンではあるが、称号や新たな職種が生えてきているので全てがマイナスというわけではない。



 何故か職種の中に娼婦が生えているのだ。


 4日で丁稚がマスターとなったので、トリスが面白いからなってみれば?という後押しもあって第一職種が現在は「娼婦」となっている。


 ある意味ボディコニアンという種族の特性上、水商売関係やダンサー関係は合っているのかもしれない。


 現状遊びに来るのは碧子とこのテレトである。


 ちなみに再生の事もあるので、毎回テレトは処女喪失プレイを楽しんでいる。


 こんなのが第七王女で良いのか……王位継承はしないのだから良いのかと納得するしかなかった。


「あんたなんかに屈しない!」


 そうシナリオ通りに抵抗を見せていた序盤であるが……


「あぁ、マロンしゃまのおててが、わらしの死球(態と誤字)をっぉちゅかんでりゅぅ。」


 もうこれはシナリオにない行為に言葉である。


 マロンにも【ドエス幼女】【鬼畜幼女】【ゴッドフィスト】なんて称号が生えているくらいだった。


 本来丁稚がマスターになる5日程しかさくらんぼくらぶでの勤務予定であるが、何故か延長が決定している。


 そして、第二職種に丁稚を入れているアクアもを手伝う事が決まっている。


 トリスだけは今やっても経験値が美味しくないしという理由で働く心算は今の所皆無だった。


 ただ、商業ギルトのマルテから逃げるために、気付くとスキルにスプリンターとステイヤーが生えていた。


 また、修行と見なされたのか、敏捷と体力が若干上がっていた。



 マロンとしては、早く機織り機を完成させて碧子の依頼を進めたいと思っているのだが……


 フレンドチャットで確認した時に碧子からは、特に急がないとは言われている。


 現状次のイベントや次の討伐クエスト等があるわけではないので、急がないという事なのだろう。


 足踏み式のミシンは既に受け取っていた。機織り機で糸を反物に出来たらいつでも製作可能であった。




 8日目が闘技大会、9日目が商業ギルド登録から初日、碧子襲来。


 そして10日目にようやく外の世界を探検。この日の午後に休憩時間の度にテレトが来店。入店を唯一拒否していたのだが、あまりにしつこいので特例でシチュエーションプレイをマロンの独断で設定。


 くっころプレイは11日目の出来事である。



「あら?金額があわないね。」


 一日の収支計算を見直しているミーツェが10000モエ多い事に疑問を抱いた。


 とりあえず、使途不明金という扱いにして別の金庫に収納しておくことにした。


 誰かが多く払い過ぎているのかもしれないし、チップとして大目に払ったのかもしれない。


 ミーツェはそう判断し暫く様子を見る事に決めた。



 なお、この日の丁稚奉公でマロンの丁稚レベルは8となった。


 そして珍しく1日フリーの日。正確には誰もさくらんぼくらぶに出勤がない日。


 

「たまには奥まで行こうか~」


 トリスの言葉が足りないのだが、さくらんぼくらぶの出勤時間の事があるため、いつも2~3時間で往復出来る範囲までしか周辺を探索していない。


 街道に外れた草原も含めて色々探索しているが、冠名ブラッディとつく魔物ばかりを相手にしてきた。


 奥に行けば他の魔物もいるのではないかと思っていたのである。



「都市から離れる程魔物は強くなる傾向にありますので、充分注意してください。」


 先日変態プレイをしていた人物とは思えない程の、テレトの受付嬢っぷりであった。


 受付嬢をビフォーとするならば、ベッドの上のアフターはとても人に見せられたものではない。


 100年の恋も瞬間的に醒めるという程の豹変である。


 こんな母の姿を見たら娘二人は……一生見せない方が良いだろう。



「もうすぐ丁稚もマスターだし、レベルも20が近いから一気に達成したいところだね。」


 マロンは丁稚が終わったら裁縫師見習いになる予定である。


 しかしあくまで予定は未定であって決定ではない……

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