第73話 プレイヤーもNPCも変態しかいないのか。

 マロンは特許申請をする媚薬(ポーション)、潤滑油(ポーション)、電動こけし、双頭こけし、振動ミニこけし、後方専用潤滑油、緊縛具(麻縄)、緊縛具(ベルト)、開口マスクのサンプル提出と申請書類を記入し提出した。。


 販売はしばらくせず、ラマン商会のさくらんぼくらぶで試験運用するのみとした。


 一定期間試験運用を経て販売を開始する。当面はラマン商会直営店のみとした。


「まぁ、普通の店に出回るまでにひと財産築けそうですからね。」


 



 なお、書類を交わす前に商業ギルドとしてサンプル品の試用を行っている。


「マルテ、貴女試してみなさい。」


 マスターであるアベイルがそう命じれば従うしかないのが職員というもの。


 しかし命じられたマルテは興味津々だったため、喜んで試用を受け入れた。


「あ、じゃぁ……」


 先程トリスと交わした詐欺師云々の件をここで証明しようという事になった。



 約1時間という時間マロンは書類を記入し、商品の更なる詳細をアベイルに説明していた。


 そして商品の運営方法・販売方法を話していたところで二人は奥の部屋から戻って来る。


 何故かトリスにもたれ抱き着く形で、顔は紅潮した状態で……


「お姉さま……」と言葉を漏らしながら。



【称号:人妻キラーを取得しました。】


 少し前のトリスに響いた安定のアナウンスである。


「トリス……あんたナニやってるの。」


 

「えぇっと、商品の試用と詐欺師見習いフタナリの証明……」



「えっちなのはいけないと思います。」


 商業ギルドに来店してから口数の少なかったアクアが、ジト目をしながら言葉を発した。




「私の全部の穴はお姉さまのものです。」


 旦那のじゃないのかよ、というツッコミをマロンとアクアは飲み込んだ。


 つまり、先程の試用と詐欺師証明の時に全部行ったという事である。




 フォルテは馬車を走らせさくらんぼくらぶへと向かう。


 馬車の中では料金の最終決定会議を行った。


 最終的にオプション料金はマロンとフォルテとミーツェで話し合い決めた方が良いとなったからである。


 通常プレイ料金が1時間30000モエ=大銀貨3枚というところから算出した。


 なお、これは期間限定半額セールのため、通常料金は倍となる。


 媚薬(ポーション)……500モエ

 潤滑油(ポーション)……100モエ ※基本的には嬢が持参するので無料。追加で使用する時は有料。

 電動こけし……300モエ

 双頭こけし……200モエ

 振動ミニこけし(2個)……200モエ

 後方専用潤滑油……50モエ     ※これに伴い肛交(AF)がオプション10000モエが追加。

 緊縛具(麻縄)……150モエ

 緊縛具(ベルト)……150モエ

 開口マスク……100モエ



 安い娼館は1時間で5000モエ程度のところから存在する。


 つまり、さくらんぼくらぶは高級娼館の部類に入る。


 客と店の信頼から成り立つ商売であるため、滅多な事では事件や事故は起こらない。


 高級故に在籍する女性達は見目麗しい人ばかりなのであるが、飽きが絶対にこないかと言われれば否である。


 マロンが投入した数々のオプションが娼館業界にどのような風を吹かせるか。


 プレイヤーであれば何となく想像に易い。


 VRAV・風俗体験が可能となる。現実のお金を使うわけではないため、然程痛むものはない。


 

 まずは各オプションの説明を働く女性達に説明しなければならない。


 

 そのため、マロンは基本受付業務を手伝いながら、オプションの説明をする係を仰せつかった。





 開店と同時にぞろぞろと入店する男性の姿がある。


 最初は戸惑う客であるが、説明を聞くと是非試してみたいと一人2~3種類のオプションを頼んでいた。


 嫁や彼女とは出来ないアブノーマルなプレイ……とまでは言わないまでも、マンネリとしたプレイに飽きがあったのかもしれない。


 プレイを終えた客からは、「販売はしないのか?」という問い合わせが多数寄せられた。


 初日の滑り出しとしては上々だった。


 また、客は商品を広めようと友人等に話したりするのだが、商品説明をする受付の幼女の噂も同時に広められていく。


 

 夜も更けていけば、遊びに来る客も増え、噂や口コミのかいもあってか嬢の休憩時間も中々取れない程に賑わっていた。



「いらっしゃいませ。」


 嬢が全て来客中のため、受付にはマロンしかいない。丁稚のレベルを上げるには受付に立ったり、物資の補給をしたりしなければならないので、修行になっていた。


 一日でどのくらいの経験が得られるかはわからないが、これも職種レベル上昇のためであった。


 さらに空いた時間には、こけしを作製している。木工スキルと木工職人見習いのレベル上げである。


 受付業務をしていりマロンとは打って変わり、トリスとアクアはマロンとのレベル差を埋めるために、迷いの森で修行をしていた。


 入店してきたのはフードを被った女性だった。マロンが女性を見ると、彼女がプレイヤーである事がわかった。


 さくらんぼくらぶは性別や年齢、種族で入店を断ったりはしない。


 少数ではあるが、同性愛者や多性愛者も存在する。


 少し発情しているのか飲酒でもしているのか、呼吸の若干荒い女性はメニューを見て目を見開いていた。


「こ、このオプション……全部試してみたいんだけど可能かな。」


 食い気味でマロンに問いかける。


 マロンは可能だけど、現在従業員は全員来客中のため暫く待たなければいけない旨を伝える。


「いえ、その。一人で使う事も可能なのかな?」


 もちろん一人えっちに使用する事もだめではないのだが……


「それだと一人で使用するのには適してないオプションは今回は外すと言う事で良いでしょうか。」


 女性は頷いた。そのため、開口具や縄などは外され料金は若干安くなる。


「では部屋に案内しますので……」



 マロンは女性を空き部屋に案内し、オプションの品を棚に並べた。


 1時間30000モエもするだけあって、綺麗な内装である。


 ベッドのシーツ一つとってみても綺麗にセットされており、調度品も高級ホテルでは?と見間違う程綺麗で豪華であった。


 料金は後払い制を採用しており、帰りの際に受付で支払う。


 女性はポーション(媚薬)を手に取ると、一気に飲み干した。


 まだマロンが退出していないというのにである。


「ごめんなさい。」


 女性はマロンに襲い掛かった。


 マロンはこういう展開に弱い。その気になればワンパンであぼーんさせられるだけの能力があるというのに、こういう時に反撃する事が出来ないのである。


 そして、例によってマロンの経験と再生は1ずつ増える事になる。


 用意されていたオプションは全て使用済になった。






「説明と謝罪をしてもらいましょうか。」


 先程と違い強気に出るマロンと、全裸土下座をしている女性。


 尤も、マロンも全裸であるが……


「わ、私の名前は碧き龍★あおきりゅうせい碧子へきこと申します。」


「こ、こんな取り返しのつかない事をして申し訳ございません。」


 それから碧子の言い訳と言う名の自己紹介が始まった。


 マロンはただ見下ろしながらその全てを聞いていた。


「幼女に見下されるの……良い。」


 どうやらこのプレイヤーも変態だったと思うマロンだった。

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