第31話 畑耕しTai

 オプスに農業と野菜を使った行為を教えてもらった後、マロンはシンシアを連れて小屋へと戻った。


 小屋に戻ったマロンは未だに再ログインしてこない二人を余所に畑を耕す事にする。


 イノブタ一家の庭とは逆側の土地を農作業用にするため、再び柵を作成する。


 家の周囲自体は既に囲ってあるため、イノブタ一家との境を設け区画整理をする程度であった。


「杭打ちピストンももう慣れた。」


 言い方にエロを感じるのは気のせいである。


 

「肥料は流石に臭うなぁ。」


 味覚・嗅覚も表現出来るのがニューワールドの凄い所である。

 

 肥料を混ぜた土を、オプスのところでついでに作成した鍬等を使って耕していく。


 そして安定の替え歌が始まる。先程オプスのところで歌っていたものの2番であった。


「そっと肥料の中に~♪自分のし~のばせ~♪」


願いエロスを込~めて 農業マジック♪」


「とっておきの肥料~♪」


「やらしく~♪ふりまく~♪わたしの~♪あ~いえ~き~♪」


「熱い液体~感じすぎるほどに~♪」


「わたし~のすぷらっしゅ~♪浴びてほし~い~♪」


「にょきっと生える~♪ 信じ~ているか~ら~♪」


「この土の下から~♪ 芽を待つわ~♪」



「準備は上出来~♪ 仕掛けはOK♪」


「今日こそ生えそう~♪ 胡瓜になすび~い♪」


「きゅうりと~♪なすびと~♪ゴーヤーと~♪入る~の~♪」


「あなただけに~食べ~て~欲し~い~♪」


「仕込みは上出来~♪」


「準備はOK~♪」


「出来立て野菜~♪愛液に乗せ~♪」



「エプロンのリボン~♪」


「解き始めたら~♪」


「今日こそ出来そう 野菜ぷれ~い~♪」



「はっ!?」


「オプスのところで野菜で変な事されてから思考が変な方向に……」


 マロンはそれ以上の替え歌を飲み込む事にした。

 そして真面目に農作業に取り掛かる事にするのである。


 まずは良い感じに発酵させるため、ストレージから取り出した肥料を一ヶ所に集めた。

 そして両手を広げて肥料に向かって掲げる。


「ほのおのやー♪」


 オプスに教えて貰った肥料の発酵方法だった。

 そして程よくなった肥料を畑にばら撒いて行く。


 現状の土と混ぜるため、再び手を広げて畑に向かって手を掲げた。


「みどりのしっぷぅ♪」


 風のようなものが巻き起こり、土と肥料が混ぜられていく。

 土と肥料が混ざった場所に順番に種を植えていく。オプスから貰った胡瓜、茄子、玉蜀黍……


 そして小屋の近くにはゴーヤーを撒いた。

 夏の暑い日差しはゴーヤーカーテンが遮ってくれる事だろう。


 関西のとあるプロ野球球団の本拠地である球場の蔦のように、小屋を覆ってくれる事を期待して。


「じゃぁあとは水撒き……あおい……なんだっけ♪」


 適当に口にしても水はスプリンクラーのように畑に撒かれていった。


「あの赤青緑まじっくないとは原作の方が好きだったなぁ。アニメ版の姫さん……の中の人、あんな声出せるんだもんね。本人きっと収録終わる度に吐血してたんじゃないかなぁ。」


「魔法と言えば……魔法使いTaiだよねぇ。」


 一時期アイドルとかのおっかけで〇〇隊とか言うのを、〇〇Taiと記していたとか父が話していたのを思い出すマロン。


「せ~の~び~をして追いか~け~て~ゆくわ~♪って」


 畑仕事もひと段落し、物思いに耽るマロン。シンシアは肥料の匂いが嫌なのか、イノブタファミリーと遊んでいた。


「そういえば、髪の短い子の中の人、とある作品でうわ~リアルう〇こちょこだ激可愛いの役もやってたっけ。」


 その作品は元は18禁ゲームであり、コンシューマーにも移植されていた。

 移植された全年齢版の作品の方に出演していたのである。


 マロンの父がとある作品のイベントに行った時に中の人可愛かったとか言っていた事もついでに思い出す。

 マロンの両親は重度のヲタクである。だからこそ、娘であるマロン……浪漫に対して幼少の頃から英才教育ヲタ布教を行っていた。

 父の隠し部屋にはラジオを録音したカセットテープや、OVAなどが所狭しと収納されている。

 

 えっちなゲームを購入した時に特典としてついてくる、テレホンカードやポスターなんてのも多くが保管されている。

 現代の人間はテレホンカードを知っているのかすら疑問であるが。


 今住んでいる家は小説……ラノベ等の収納に耐えらるように作られているのは両親の計らいであった。


「あの頃の作品は面白かったな。もっと父さんの秘蔵のビデオとかカセットでも漁ってみようかな。」


 マロンがこうして一人で物思いに耽ったりするのには理由がある。

 

 一人は暇なのである。モノつくりは充分堪能したので、そろそろ冒険に出るべきか作物が育つのを待って地盤を築くべきか。


 ぴろん♪


 マロンは嫌な予感がしていた。今の音が鳴った時には何かを取得した時にだという事を嫌と言う程に聞かされている。


【称号:鼻歌幼女王を得ました。】


 せめてそこは鼻歌女王で良いだろ……とツッコミを入れたいマロンであった。



「シンシア、小屋に入るよ。」


 声をかけるがイノ乃と仲良く丸まって寝ているシンシアを見たマロンは一人で小屋に入る事にする。

 父であるイノ吉が「起きたら先に小屋に入った事は伝えておきます。」と言っていたので大丈夫だろうとマロンは判断した。


「とりあえず、肥料の匂いもついてるだろうし、入浴入浴♪」


 服を脱いで浴場に入ると、マロンは汚れと匂いを落とすためにマロン印の石鹸で身体を洗って綺麗にしていく。


「ふはぁ。あったまるぅ♪」


 湯船で蕩けるように浸かるとマロンの癒しポイントは回復していく。

 正確には若干減っていたHPが全快していた。


 入浴、就寝、魔法、スキル、アイテム等とHPの回復手段が複数ある事を多くのプレイヤーは知らない。

 マロン自身気付いていないのだが……

 せいぜいが魔法、スキル、アイテムである。

 就寝は気付いているプレイヤーもいるだろうけれど、入浴で回復出来ると誰が想像出来ようか。


 そもそも、町スタートのプレイヤーは未だ入浴すらしていないのが現状である。


 10分程浸かった後にマロンは浴槽から上がる。


 身体を拭いてストレージから装備を取り出して装着すると、脱衣所を後にした。

 

「あら、マロン入浴中だった?」


 トリスがログインしてきていた。   

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