第28話 マツタケとこけしとやばいポーション、混ぜるな危険!

 白い粘膜のようなものに覆われ、見るも無残な幼女体が地面に転がっている。

 胸は上下している事から呼吸はしているため、ただの屍のようだなどと言う事はない。


 マロンに命令されたシンシアは、鋭い爪でマツタケもどきを引き裂き全ての生命活動を終了させていた。

 マツタケもどきが息絶えると、先程生えていた時と同じようなマツタケが地面に「パサッ」と落下する。


 マロンには見えていないが、これは正式なドロップアイテムである。

 後程マロンは全て回収する。1本だけ妙に大きいモノがあったが、高級と表記されていた。



 そして眷属ペットであるシンシアが15体ものマツタケもどきを倒したため、主人であるマロンにも経験値が流れ込んできていた。


 レベルアップと先程のアラレモナイ行為の時に得た称号の結果が……




 レベル:12  (8→12)


 HP:72/160 (140→160)

 MP:154/194 (154→194)  

 筋力:  5

 体力: 35 (5+30→35)

 知性: 40 (18→20+20→40)      

 器用:  5

 魔力: 11 (9→11)   

 魅力:660 (390→660)(装備+45)


 手動振り分けステータスポイント 55 



 スキル:中級錬金術(7/20)、中級家事(2/10)、中級木工加工(10/20)、初級鍛冶(8/10)


 未収得スキル:中級踊り


 固定スキル:魅惑の踊り、治癒の踊り、再生

 種族固有ステータス:経験17 再生3 


 称号:●はじめてのオプション(HP・HMを除く全ステータス+5)、●はじめての珍種(魅力+50)

●世界で初めての処女喪失(魅力+50)、●初めての処女〇再生(魅力+50) 

    


    ★初めての輪姦(魅力+50)、★きのこ博士(知性+20)

    ★初めてのAF(魅力+100)、初めての口淫(魅力+70)、★初めての16P(体力+30、器用+30、魅力+50)




 状態:困惑 ←要注意

 


※新たに取得した称号やスキルは★をつけます。

※マロンはまだ手動振り分けポイントは割り振っていません。

※称号を得たのはレベルアップ終了後となります。先に称号を得ていたらMPとかも化け物となってます。



 魅力に特化した称号ステータス上昇、既にぶっ壊れと化していた。

 初めての童貞以外のエロ称号は、マロンが搔っ攫うのではないかという勢いである。

 そして全ステUPを除き始めて魅力以外の上昇が見られた。


 博士と名がつくのだから、きのこ博士で知力が上がるのは理解出来る。

 16P……確かに普通に考えればそれだけ致していれば体力や器用的なものが上がってもおかしくはないのかもしれない。

 そして安定の魅力UPは健在。

 AFと口淫が若干上昇率高めなのは、恐らく運営の性癖だと思われる。


 木工が上がっているのは、柵をたくさん作ったからである。




 ここでマロンのデメリットが一つだけ明らかになる。

 通常レベルアップによるステータス上昇はいくつかの項目が僅かに上がるというものである。

 しかしマロンの上昇値はレベルが偶数時に知力、奇数時に魔力が1ずつしか上昇していないという事である。


 尤も、それを補って有り余る称号の数々のおかげか、はたまた称号のせいというか、不憫さは微塵も感じさせな見事なバケモノ振りである。






 方向感覚が麻痺したのか、それとも本能的に身を清めたいと思ったからなのか、マロンの足は小屋の方向ではなくとある方向へと向いていた。

 いや、小屋に戻れば風呂があるのだから、本来であれば小屋に戻るべきだったのである。


 しかし、妙なプライドからか、眷属に情けない姿を見られたくなかったからか、無意識に小屋の方向を避けてしまったのかもしれない。

 警戒しつつも辿り着いたのは、昨日水の精霊アクアと出逢ったあの湖であった。



「ねぇ、シンシア。ちょっと身体洗ったり服洗ったりするから周りを警戒して?不審者……知らない人や魔物が来たら問答無用で襲って良いから。」


 女子の水浴びや洗濯を覗く奴は馬に蹴られ……もとい、狼の牙と爪に噛まれて裂かれて死んじまえというやつである。


 シンシアは保管しておいた肉のジャーキーをシンシアに渡すと、「わふぅ♪」と受け取ってマロンが見える位置で食べ始めた。


 マロンは一応警戒してくれていると信じて、自分の事に集中する事にした。



「そう言えば……あのマツタケ……ナニ化出来ないかな。」


 マロンの言葉は決して誤字ではない。何かに錬金出来ないかなと言う意味でマロンは口に出していた。


 一番大きなマツタケもどきのドロップ品である、高級マツタケ(1本しかない)を取り出すと、併せて自作のやばいポーション(聖水で作ったやつ)を取り出す。


 先に汚れを落として綺麗にしろよと、この場に誰かがいればツッコミを入れていた事だろう。


 簡易錬金セットを取り出すと、やばいポーションの中にマツタケを浸ける。


 こけしを作った時の要領で、木工の代わりに錬金すると……


「出来たー。でもこれ放送は出来ないな。」


 アイテム名を見ると【マツタケディルドゥこけし(聖)】となっていた。


「あ……」


 これまで自身の製作したアイテム等がやたら理解出来るなと思っていたマロンではあるが……

 いつの間にかスキルに鑑定(中)が生えていた。微や小を押しのけてである。

 もしかすると、鑑定にはそういった段階は不要なのかもしれないが、マロンに検証するゆとりはない。

 そういうものだと思って納得する事にした。


 ちっちゃい事は気にするなという事である。


【称号、こけしマイスターを獲得しました。】

【称号、初めての大人のおもちゃを獲得しました。】


 何故かワールドアナウンスとなってマロンの脳内に響いていた。


 どうやら、前者は自作のこけしが100本を達成した事よる称号である事が確認出来る。

 そして後者は文字通り、このニューワールドにおいて初めての創作物と言う事で得たものだと言う事が確認出来る。


 全ての物にというわけではないが、通常簡単に出来ない物を作成すると【初めての●●】を得る事が実感としてマロンは理解していた。




 服を脱ぐと湖に浸けてちゃぷちゃぷと荒い始める。

 乾燥とかどうなんだろうと思いながらもインベントリに収納し、マロンは湖に潜った。


 髪をわしゃわしゃと掻きにじりながら、怪しい液体を洗い流すように身体中を掻きにじっていった。



「そういえば苦し紛れの治癒の踊りで再生が3になってる……というか経験が17って。1本1回計算なんだ。」



「はぁ……はぁ……な、なんだろう。妙な気分。」


 それもそのはずであり、先程作成したマツタケこけしを手に持っている。

 あれが何で出来ているか忘れかけている+ステータスの困惑に未だ気付いていない事から、現実から目を逸らすしかないマロンだった。



「あ、ちょっとだけ……ちょっとだけならいいよね。所謂先っちょだけならいいよね……」


 マロンはマツタケこけしを自らの股間に当て……

 トリスやトレント、マツタケもどき等とは比べものにならないナニカを得た。


 湖に僅かな赤みが差し掛かる。

 そしてその赤みはやがて霧散し、元の綺麗な水へと戻っていった。


 当然経験回数は18と増えていたが、自身で確認するのはまだ先の話である。



【……経験回数が10回に到達しました。称号、モテ女を得ました。】


 遅れてアナウンスが流れた。何故このタイミングなのかマロンは理解が出来ない。


 ビッチじゃなくて良かったと思うマロンではあった。

 もしそんなものを獲得していたら幼女ビッチ、ビッチ幼女、どちらにしても嫌な称号である。


「サノバビッチ!」と叫んでしまいそうである。


 しかしワールドアナウンスは未だ留まる事を知らす更なる声が響く。



【初めての小野兄ィを獲得しました。】


 またの名を初めての自家発電とも言うが、自家発電はどちらかというと男性イメージである。

 単純なひとりえっちの場合は隠語として、小野兄ィが妥当だという運営の判断である。


【初めての潮吹きを獲得しました。】

【初めての絶頂を獲得しました。】


 水の中なのに良くわかるなとツッコミを入れずにはいられなかった。

 これは聖水で作成したやばいポーションに浸かって出来たマツタケのこけしなので致し方がない事かもしれない。


 マツタケこけし(聖)は正確にはマツタケこけし(性)でもあった。


【過去の履歴を洗い直し、初めてのおもらしを獲得しました。】



 いらんログ確認すんな!とマロンは叫んだ。


 マロンは称号をステータスを確認するのを諦めた。

 ワールドアナウンスが、プレイヤー●●が称号○○を獲得しましたと個人名を言わない事だけが救いである。


 今はただ、治癒の踊りを踊って再生回数4にする事だけに努めていた。

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