第24話 釣りと釣り
マロンは湖周りに生えている薬草を適当に丸めると魚のエサを作った。
そして周りに落ちている適当な枝を使って簡易の竿を作る。
ストレージから糸を取り出し簡易釣り竿セットを用意する。
アクアから先程聞いた中に、この湖には魚がいるという情報。
何か釣れるかなと思い、マロンは3つ作成した。
「何が釣れるかな♪何が釣れるかな♪何が釣れるかなででででん♪」
「ひっとー!えんどらーん♪」
走ってどうするよというツッコミはないが、釣れる度に想い想い言葉を連ねていた。
「上手に釣れましたー♪」
3人は面白いように魚を釣っていた。
釣れた魚は湖だというに鮎あった。
それもウグウアユとかいう良くわからない鮎だった。
現実には存在しない、ゲームだけのオリジナル。
説明を読むと食用可能と表示されていた。
木片を集め火を起こすと、串にさしたウグウアユを焼いていく。
ぱちぱちという音が響き、木っ端が飛び散る。
「あぶなっ」
トリスがさっと避ける。
「塩あるから軽く塗してから食べると良いですよ。」
マロンが袋に詰まった塩を二人に回した。
決してマロンの潮ではない。年齢制限解除とはいってもそこまでエロスには触れたりはしない。
「塩って……入手法は聞きませんが、凄いの持ってますね。私昨日から湖から出てないのでさっぱりです。」
「おいしー。これ普通に鮎の塩焼きだよ。」
現実では何か食してなくても、味覚としては現実と同じようにゲーム内で伝わって来る。
トリスががっついて頬張っている。
アクアは反対にちまちまとおちょこ口で食べていた。
「わふわふ♪」
シンシアは犬食いをしていた。数はマロン達の3倍は頬張っている。
「同じ釜の魚を食べたのだから、確かにマブダチだねー。」
トリスが先程のアクアの20分会話すればマブダチ発言に対抗して言った。
「あ、やっぱり生えてる。」
マロンは自分のステータスを見て呟いた。
スキルに【釣り】が追加されていたのである。
「え?生えてるってなに?おち……」
アクアが放送禁止用語を出そうとしたので、速攻マロンが否定する。
「生えるかァそんなもん。」
トリスは大方スキルでも生えたのだろうと想像していた。
釣り道具を作って、魚を釣っているのだ。
釣り系のスキルが生えていても不思議はないと思っていた。
事実マロンには釣りのスキルが生えていた。
吊りだったら年齢制限に引っかかる恐れもある。
流石にそういうのはないと思いたいトリスであった。
マロンは食べかけの鮎をじっと見る。詳細を見るためだ。
そこにはこう書かれている。
【ウグウアユの塩焼き】
HPを50回復
1時間魅力を+10する(完食した場合のみ)
(なんて効果……)
マロンは食べながら鮎の説明について考えていた。
どれだけ魅力を上げたがってるのこのゲームの運営はと。
そして食べきれない分の鮎は、三等分してそれぞれストレージに収納していた。
食べ終わり、火のあと始末をしていると異変に気付く。
焼き魚の匂いに釣られて何かが寄って来ても不思議な事ではないのである。
ガサガサガサ……
叢から何かの生き物の音がマロン達の耳に届く。
音の方向を見ると、何かの生き物の影がマロンの目に映る。
「いのしし?ぶた?ちょーーーーーーっ!」
叢から飛び出てきたのはイノシシなのかブタなのかわからない四足歩行の生き物だった。
3人は一斉に立ち上がり、イノブタの魔物から逃走する。
シンシアは食後の転寝と決め込んでいた。
アクアは湖に逃げ込んだ。ある意味卑怯である。
「ぎゃーーー、こっちくんなー」
イノブタの魔物が四足走行でマロンを追いかける。
マロン達ではない、マロンをである。
「あれ?こっちにこない。」
「そうですね。不思議ですね。」
トリスとアクアは逃走をやめて一塊になると、マロンとイノブタの魔物を眺める事にした。
「あ、もしかして……」
「何かありました?」
「マロンがさっき【釣り】のスキルが生えたみたいな事言ってたけど……」
マロンから溢れる魅力の効果……というのも当然考えられる。
しかし、それだけではないようにトリスには思えていた。
「ヘイト管理して釣るという意味の【釣り】の意味もあったんじゃぁ……」
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