第2話 キャラクター作成①

――キャラクター作成を行います――


 ナビゲートキャラ、通称ナビ子が満面の営業用スマイルで待っている。

 浪漫は電源を入れた後、ロゴ等が出た後に一人のナビゲートキャラと声を選択した。


 ロリータ服っぽい服を着て、大人しそうな前髪ぱっつんのお人形さんみたいなナビゲートキャラを選んだ。

 そのため声も少し幼い感じのする女性声優を選択する。



――名前を決めてください。途中変更は出来ませんのでご注意ください。また他プレイヤーと同一の名前は使用出来ません。


ただし、小文字と大文字による違い、平仮名と片仮名による違いで同じ音は可能となります。


また、「もょもと」のような著作権に際どい名前はNGとなります――




「あ、名前は『マロン』で。」


 本名の栗林浪漫から捩っただけの安直な決め方だったけれど、浪漫は他のゲームでも【マロン】でプレイしていた。

 


――それでは次に種族を選んでください。選択した種族によって基本ステータスが自動で割り振られます。人間であれば平均的に、魔族であれば魔力と知性に、獣人であれば力と体力、力と敏捷といった感じで若干高めになっております。

また、それらはそのまま成長率の高さにも繋がっております。

レベルアップによりステータス値の固定上昇、プラスステータスポイントによるご自分で振り分ける形となります。

種族選択が済みましたらステータスポイント50を付与致しますのでご自由に割り振ってください――



「種族かぁ……」

 獣人と魔族は細かいタイプも選べる。

 人気は猫獣人や虎獣人であり、見た目の可愛さか戦闘能力により変わるが、どうしても特定の数種類に集中するようだ。

 ベータ版では熊獣人もそこそこ人気があった。それは他のラノベの影響なのだが、その作品のようにはいかなかったらしい。


 魔族もまた然りであった。人型も居れば、魔物型も居る。

 人間を選ぶよりも獣人や魔族の方が何かに特化している分楽しみは多かったとベータ版では評されていた。



 友達の欲しい浪漫は、見た目重視にしようか戦闘力や生産力等実力重視にしようか迷っていた。

 種族が選び終わったら職業も選択しなければならない。 


 ウィザードリィのにんじゃのようなレアなものも存在する。

 結果、種族と職業選びのキャラクター作成だけでも良い時間を取ってしまうのである。


「種族ってランダム選択もあるんだ……」


――ご自身の選択でもランダムでも、〇〇で良いですか?という最終確認はございますので安心してください。また、ランダムでしか作成出来ない種族もございますので、特にこれといったものがない場合はランダムにするのも手かも知れませんよ――


 ベータテスターからの情報でランダムで冒険をした人の話は目にしている。

 妖精というから期待したら、ゴブリンみたいな見た目だったとか。

 華人というから中華系の人間かなと思ったら、ラフレシアみたいな魔物のような魔族とか。


「それじゃ、試しにランダムで。」


――マロン様の種族、ランダムガチャ入りまーす――

 

 随分とチャラくなったナビ子さんである。ドンペリ入りまーす的なノリで種族ルーレットが回る。

 この場合のルーレットは人間等も含まれる。人間の場合聖人みたいな普通の人間では辿り着けない域も存在する。

 もちろん、そのルーレットの円盤はプレイヤーには見えない。脳内で勝手に想像してくださいというテロップが流れている。


――マロン様の種族は……てってれー♪【ボディコニアン(幼体)】です。(幼体)となってますので、種族レベルが上がって進化すれば幼体でなくなるはずです――

 

「ぼ、ボディコニアンって……えーーー!?」


 マロンはムンクさんのような叫びのポーズで驚いている。





「ねぇ、ナビ子さん、ボディコニアンって……なんだか踊ってそうだけど、それで良いかな。その認識で良いのかな?それと多分魔族ですよね。」


――逆に問いますが、人間だと思います?――


「思えないよっ。それにピンクだか紫だかの姿が思い浮かぶけど、まさか武器は扇子じゃないですよね。」


――良くわかりましたね――



「まさかゲーム内でジュ〇アナ東京再建設しないといけない使命とかないですよね。」


――それはないですね。コンプラ違反は神たる運営が裁かれますので――


 随分と人間らしい回答をするAIのナビ子ちゃん。

 ボディコニアンは1980年代後半から1990年代前半に流行った、お立ち台に立ってフンッフンッて扇子を振りながら踊る人達の事を指す。

 コンプラ違反だからと固有名詞が出せなかった某東京の場所は、ボディコニアンの聖地である。

 ヲタクの祭典の地が、お台場にある三角形の建物であるのも同様に。


――説明を続けますね。プレイヤーレベル、種族レベル、職業レベルがそれぞれ1上昇する度に自分で割り振れるステータスポイントが5ポイント入手されます。

そして固定上昇ポイントは種族によりますので一概には言えませんが、大体合計で3~10程度が自動で割り振られます。――


――ボディコニアン(幼体)は想像つくと思いますが、踊っているアレがモチーフですので魅力しかありません。

しかしボディコニアンはランダム種族でレア種族のため、通常初期ステータスは50のところを倍の100が設定されます。そのため初期ステータスは魅力100となっております――



 初期ステータスポイント100は、種族特性によって自動的に決まって割り振られている。

 先に示した通り、人間なら平均的に。

 獣人なら身体能力、魔族なら魔力が高く設定されている。


「あ、ボディコニアンって魅力のみなんですね……」


 初期ステータス100は勝手に全て魅力に振られていた。

 浪漫はまだボディコニアンにすると決めてないのに話は進んでいた。




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