第14話 アニメ『平家物語』関連ブックリスト
アニメ『平家物語』の背景となった平安末期の政治経済文化などを知るためのブックリスト。
『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』伊藤俊一(中公新書)
中世日本の財産基盤となっていった荘園制度の始まりから終焉前でを紹介した本。土地私有を認めていなかった律令制の崩壊と荘園の勃興と私有財産制への移行、国司の受領独任化など経済政治体制の変遷について知る事の出来る一冊。平家の勃興と衰退についても触れていて一定の説明がなされている。
『院政 増補版 もうひとつの天皇制』美川圭(中公新書)
中世の日本では女性が政治権力を握るケースは多々あり天皇となった女性もいた。そしてその女性天皇が登場しなくなったのは摂関政の登場によるもので天皇を産んだ母方の一族が外戚として、天皇が幼年の時は摂政として、成人してからは関白として政治を預かった。そういう経験を経た天皇が自ら後継者を選ぶ事で権力を掌握した院政の登場の承久の乱での朝廷政治の終焉までを描く。
『荘園』と合わせてこの二冊で平安期の政治経済についてはおおよその実態が見えてくる。
『平安京の下級官人』倉本一宏(講談社現代新書)
藤原道長が政治権力を掌握していた11世紀初頭、反道長の巨魁藤原実資が書いていた「小右記」などの貴族の日記を元に京に住んでいた貴族とその元で働いていた人たちの暮らしぶりなどを解説。類型ごとに短いエピソードをまとめて紹介されていて、このような日常はどうだったのか?というのが見えてくる。
『建礼門院右京大夫集』全訳註糸賀きみ江(講談社学術文庫)
アニメ版では伊子という名前とされるが実際に両親からどのように呼ばれていたかは記録に残っていない。
この本は著者である建礼門院右京大夫に藤原定家が『新勅撰集』編纂のために過去に書かれた歌についてまとめてほしいと依頼して書かれたもので詠んだ歌とその際に思ったことなど書きつらねったもの。定家は歌集に彼女の歌を載せる際にどのような名前がいいかと質問したところ、仕えていた建礼門院徳子を偲んでその頃の呼び名であった「右京大夫」を付して「建礼門院右京大夫の名で」と希望、その際に提出された歌集の表題が『建礼門院右京大夫集』となった。
この歌集では恋人であった資盛とのやりとりや維盛、重衡らも登場しており平家が華やかな頃の徳子や資盛たちの様子がわかる。
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