第11話 映画『THE BATMAN』(2)匿名のモブキャラクター達/字幕と吹き替えの違い

 注意:作中の内容に触れている部分があります。







 殺到する警察官達はブルー(警察官制服の色)の匿名性を身に纏っていて『カリオストロ』の機動隊員やヤクザ映画の組員達のような殺到劇をしばしば演じて見せている。

 ポスト・トゥルースな匿名の復讐者達の匿名性もネットからの延長線上で捉えている。その上で彼らの一人が「Avenger」なのだと主張した時のバットマン=Avengerのやるせなさたるや。ブルースがバットマンとなっていくプロセスの中で一番厳しい批判への気付きだった。

 警察官のブルーの制服もポスト・トゥルースな正義を信じている匿名者もみんな個を押し殺して何かに染まっている。それはバットマンにしても例外ではなく、彼もまた一歩誤ればポスト・トゥルースの側の正義と変わりない立場になり得る。


 防弾性能以外はあり得るかもしれない程度のスーツや装備、車両を駆使しての肉弾戦。そういう戦い方を選ぶ事で間違えて一線を越えてしまう恐れを低くしている存在、それがこの世界におけるバットマンなのだと思う。



字幕と吹き替えの違い

 アルフレッドが意識不明の段階での医師のブルースへの状態の説明、字幕版だと生命の安否が気遣われる危機的状態だと告げられるが、吹替版は希望があると取れる言い回しになっていて微妙に意味が変わっている。ここは翻訳の質について問題があるように感じた。

 あと「Avenger」を吹替版が「復讐」と訳していたのはどうなんでしょうか。何を気遣ってるのかしれませんが意味がもはやおかしい。


 吹き替え、ブルース・ウェイン/バットマンを櫻井孝宏氏が当てているが字幕版声はブルースとバットマンで発声のさせ方に違いがあるが、吹替版は特に変えておらずここは演出の違いになっているのも気になった所。ブルースが普段人に接したりしておらずゴードン警部補などバットマンを知る人がブルースだと気づく道理がないという所で一応問題はないとは思うのですが、大胆な改変演出するなあとは思った次第。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る