第10話 映画『THE BATMAN』(1)ダークな映像の中に残された希望
マット・リーヴス監督といえば『ぼくのエリ』という不思議な北欧映画を北米に舞台を移してリメイクした『モールス』があってオリジナルと負けない出来でよかったのですが、『猿の惑星』リメイク2作を経て今度はDC映画、それもバットマンを手掛けたというのが驚き。そしてSNSのフォロワーの方も皆さん評価されていたので見て来ました。
夜や雨、暗がりを多用。こういう描写は『モールス』でも見られたところですが拍車が掛かった感じ。プロットは一本道で過去回想シーンはなくその時点からの言及やビデオ映像で触れる形を取っている。でも言われているように本作はミステリーであり、その上でホラー的な演出も交えて突き進む構成をとっている。その謎は映像の漆黒より深く、時にブルースもろとも観客も相反する情報を突きつけられて謎の正体が見えなくなり、再び接近してこうだと思ったらというある種のジェットコースター体験も含んでいる。『モールス』で試みていたダークな演出・プロット手法をもっと磨きをかけてバットマンの世界を深めている。
この作品、映像的なダークさが強いのでHDR最適化されているはずのDolby Cinemaで見たらまた印象が変わりそう。
あとブルースとバットマンの演技ラインに何も変わりがない、一貫させているという指摘を見かけたのですが同感。このバットマンは演技は声色だけで性格、思考が変わりないというのは良い選択をされていると思った。本作のようなミステリー要素が強いプロットで余計な混乱しないで済むメリットは大きい。
次の悪は既にスタンバイされているようだし、是非続編を希望したいし、その前にDolby Cinema版と吹替版は見たい一本。なお3時間近い長尺、水分対策をしてお尻が痛くならないように留意される事をおすすめします。今回は後者がちょっとね。。。
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