第9話 アニメ『平家物語』キーパーソン&キーワード
平滋子:建春門院。後白河院の妻、高倉上皇の母。平時子の妹。
後白河院が深く愛した女性であり、平家と後白河院の微妙な勢力バランスを保つ重要なキーパーソンの一人だった。彼女の死によりこの両者の関係が崩れていく事になる。
平盛子:藤原基実正室。清盛の娘。基実の死後、藤原氏の長者の管領人となって儀式と財産管理にあたっていたが24歳で亡くなった。後白河院はこの藤原氏の所領を平家の支配から没収している。
アニメ版だと亡くなった嫡男重盛の持っていた越前の所領を没収しているが、清盛が激怒したのは藤原氏の所領没収の方だった。
平徳子:建礼門院。高倉天皇の中宮。安徳天皇の母。清盛の娘。高倉上皇が危篤の際に後白河院の後宮への再嫁の話を清盛・時子が持ち出したが拒否しており強い意志の持ち主でもある。アニメ版最終話については是非底本の古川日出男現代語訳版を読まれる事をお勧めする。
平重盛:清盛長男。邸宅の場所から小松内府などと呼ばれた。平家物語では総じて真面目で後白河院に忠実な人物として描かれたが、平治の乱では20歳過ぎにして武将として活躍。アニメ版では亡霊たちを見る眼を持ち、清盛の悪行からの平家滅亡を見るぐらいなら死を与えて欲しいと願った。なお底本で重盛が自らの死を願った理由としては仏教の輪廻思想があってそこで一族が永劫続く苦行の連鎖に合わないように願っての事だった。
平維盛:重盛嫡男。本来は平氏の長者を継ぐ立場にあったが、父重盛の死と鹿ヶ谷の陰謀で重盛と血縁関係が深かった藤原成親が連座したためその立場を失っている。
以仁王の反乱や富士川の戦い、倶利伽羅峠の戦いに参戦したものの負け戦に関わりが多い。平家都落ちの中で姿を消して出家、熊野に向かいそこで海へ身投げして亡くなったと言われている。
出家は死出の旅立ちの準備として行われる事が多い。維盛の出家もそう言う性格のものだった。
平資盛:重盛次男。平家最初の悪行扱いされている殿下乗合事件を起こした人。徳子付き女房だった建礼門院右京大夫と恋仲だったと言われている。
平家都落ちから名前が上がる機会が増えていく。一族内での亡くなった重盛の一族の立場のなさ故に後白河院の元に行こうとした節もあったが、一門を追って行き最後の壇ノ浦まで戦い続けた人でもあった。
建礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ):名前は伊子説をアニメ版では取っている。歌が巧みな女性として知られ、徳子の元に出仕していた女房だった。建礼門院右京大夫集は彼女がのちにまとめた歌集で資盛にちなんだ歌や手紙について触れている。この歌集は800年の時を超えてなお彼と彼女の思いを後世に伝えている。
荘園:土地私有がなかった律令制の頃に生まれ、その後、国家統制の弱体化、水田や畑作などの開発推進の意図から期間限定の私有、そして完全な私有制度へ変質しつつ、税免除などの悪用などとリンクしていく。寺社の収入源として寄進されたり、有力貴族や皇族の所有が進んで行き、摂関政治、院政の進展にも影響を与えた。平家は清盛の下で受領国司などの徴税関係のポストを独占しつつ、荘園を手中に収め後白河院に寄進するなどして税免除など画策して財産を増やしていた。
摂関政治:天皇が幼少期で政務を行えない際に代行する摂政、天皇が政務を取れるようになって後に天皇の決裁が伴う書類について事前に閲覧する権限を持った関白が置かれるようになり、貴族が天皇の政治に関わるようになっていく。そしてこの摂関を担える家が藤原氏の中で固定されて行く事になった。天皇の権限に制約がかかった時代でもある。
院政:天皇を譲位した太上天皇(上皇。出家すると法皇となる)が後継者を指名した上で実際の政務など上皇・法皇として指示をした時期の政治形態。摂関政治を打破するかのように後白河院の父親であった鳥羽上皇がアウトサイダーゆえの政治的自由を持った権力支配を実現、後白河院も父親の死後、院政を継承した。平家滅亡・鎌倉幕府の成立後のご鳥羽天皇も祖父後白河院の手法を踏襲しており、幕府においても院政は当然の朝廷政治形態と見られていたが承久の乱により後鳥羽院の配流など行われて朝廷は決定的に力を失う事になった。
強訴:神輿を押し立てて朝廷の軍勢などが神に弓を射るような事をさせないようにしつつ要求を通そうとするもの。寺の僧らが行うことが多かったが、これは寺の中に神社が置かれていたりする事が多い時代だったためで、その神社の神輿を押し立てている。
南都焼き討ち:治承4年12月末(旧暦)、平重衡(清盛の五男)が率いた討伐軍が夜戦になったところ、将兵の安全を確保するため明かり取りとして火を放ったところ東大寺などが炎上する事態に至った。旧暦だと月末=新月が近く夜は暗いのでアニメ版の台詞はあり得る説明になっている。
この焼き討ちで神仏を信じ、その神仏を攻撃してしまった重衡は病んでいく事になり、一ノ谷などの福原(現在の神戸市)周辺で繰り広げられた戦いの中で源氏側の捕虜となり鎌倉へ送られて再び京へ戻される途中で南都焼き討ちを受けた門徒達により処刑された。
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