第2話 レオナルド王子視点
「綺麗だったな・・・」
俺は綺麗な宝石も好きだが、綺麗な女性も好きだ。
先ほどの驚いた顔や笑顔を思い出しながら、ミシェルの背中を見送った。うなじや、肩のラインもとても綺麗だった。
「何を仰いますか、レオナルド王子。あんなの化粧でごまかしているだけですよ」
そう言って、笑うマチルダ。マチルダも十分化粧が濃いように見えるが、そんなマチルダが言うのだから、よっぽど濃いのだろう。
「そうですよ、近くで見れば、辺境の貴族なんて土仕事ばかりしているので、毛穴が開いているにちがいありませんよ」
エブリも笑う。吹き出物などがあるエブリが言うのだから、よっぽど毛穴が開いているに違いない。
「「王子にはあんな女、相応しくありません」」
二人は声を揃えて言う。
それに呼応するように大臣達も俺に近づいてきて、そうだそうだと口を揃えて言う。
(うーむ、あの信念を持った翡翠の瞳はどんな宝石よりも綺麗に感じたし、心が穏やかになるようなあの声はもっと聴いていたいと感じたが・・・)
「ささっ、王子。変な女に騙されずに済んだお祝いをしましょう」
「おっ、それはいいな、そうしよう」
俺が考えていると、俺の許可なく大臣達が話を進めて、大臣の一人が手を叩いて、侍女たちにパーティーの準備を支持する。
「おい・・・勝手に話を進めるな」
皆が、ピタッと止まり、信じられないと言った顔で俺を見る。居心地が悪い雰囲気だ。
「次からは気を付けろ」
「さすが、王子ですっ!!」
そう言って、再び笑顔が戻る大臣や貴族たち。
どうやら、俺は変なプライドで間違えそうになったようだ。危ない、危ない。
彼らには本当に世話になっている。彼らはよく、俺に彼らがどれだけ国に貢献しているのか話をしてくれる。そして、辺境の貴族はサボっていると色々教えてくれる。まぁ、今回呼んだミシェルは彼ら以外のところ、風の噂で辺境伯のウォーリーの一人娘、ミシェルは聖女と呼ばれ厚い信頼を領民から指示を得ており、なかなか直接会えない商人たちだと聞いたから呼んだのだが。
―――ミシェルは聖女。この世で一番素晴らしい女性だ、と。
今の国は何かが違う。
俺の中にあった心のモヤモヤを彼女なら解決してくれると思った俺は、大臣にも貴族にも相談せずに結婚を申し込んだ。手紙を送ってからは本当にドキドキしたが、返って来た手紙に女性らしい品のある文字で喜んでお受けする、と書いてあった時は思わず、ガッツポーズをしてしまった。
(そうだ、その想いは)
俺は自分の胸を掴む。
その後、大臣や貴族に結婚する旨を伝えたら、ほぼ全員から反対されて断るようになって不安になってしまった。
だが・・・・・・。
「どうされました、レオナルド王子?」
俺が立ち上がると、マチルダが尋ねてくる。
「少し、散歩してくる。先に準備を始めておけ」
俺はそう告げて、部屋を出た。
皆を信頼している。
だが、今は・・・・・・
「自分の心に従おう」
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