第2話

「んんっ」


 私は覚ました。

 なんだか、今日は身体が軽い。


「あれっ・・・・・・ここは?」


 見たこともないベッドで私は寝ていた。身体を起こすときに手をベッドに着くと、とてもふかふかで、これのおかげで身体が軽いのだろうと思った。


(でも、あれっ? なんだか、いつもより、ベッドが近い?)


 私は不思議に思いつつも、大きなベッドから出て、辺りを見渡す。西洋風な別荘のような部屋。それも、パパやママたちと旅行で泊まる安い部屋じゃなくて、スイートルームのような感じで、オシャレな絨毯や、アンティークが飾られていた。


「あっ、この服。ポケットないんだ」


 私はスマホで写真を撮ろうと思ったけれど、服にポケットがなく、オシャレで肌触りの良い絹製と思われる白い寝間着を着ていた。


「スマホもだけど、コンセント、あと電話とかどこだろ?」


 私は辺りを見渡して、電化製品を探すけれど、まったく見当たらない。蛍光はどうだろうと思って上を見たら、シャンデリアは蝋燭を乗せるようになっていた。高級な場所のようだけれど、かなりこだわって建てられたに違いない。


「えっ・・・・・・うそでしょ……」


 私は人と目があった。

 私はその人を見て、驚いてしまった。


 だって、それは鏡に映る私で、その私は容姿が異なっており、赤茶色の髪でとても日本人ではなかった。そして、何より、


「小っちゃ!!!!」


 私の身長は168センチだったのに、今の身長は150センチあるかないか。


「嘘でしょ・・・・・・っ」


 私はそんな自分を見て、思わず震えてしまう。

 だって・・・・・・だって、こんなの・・・・・・・・・


「可愛すぎるでしょっ!!?」


 鏡には目がハートになっている私がいた。

 だって、身長が大きいから、威圧的だとか男子に言われたり、咲菜ってかわいいというより、綺麗系だよねとか言われて、コンプレックスだった私にとって、この身体はテンションが爆上げだった。


「もしかして、転生しちゃった感じ? えっ、嘘、きゃっ。ヤバ、ヤバヤバっ」


 私は両手で口を隠しながら、小さな体でピョンピョン跳ねてみる。あーやばい、鏡に映る私、尊過ぎる・・・。


「ゲーム・・・ではないわよね、こんな美少女出てきた記憶ないもん」


 私が買った恋愛ゲームを思い出そうとすると、ちゃんと前世の記憶はしっかりしていて、昨今の長くなってしまったゲーム名を全部フルネームで言えた。


「よくわからないけど、これなら・・・・・・」


 私は不敵に笑った。

 どうやら、私の野望は叶いそうだもの。


「よーし、じゃあ、さっそく、第一異世界人に会いに行こうっ!! おーっ!!!」


 私はちらっと鏡を見る。

 あーっ、かわいい。

 こういう、拳を掲げる姿も、私のキャラじゃないからと思ってやらなかったけれど、今の私にはとても似合っていた。

 


 

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