仕事終わりに悪魔美少女を拾う

第2話 悪魔が僕の生活に踏み込んでいる

１．

　悠一の部屋はとてもシンプルで、座る場所さえなく、大きなベッドが一つしかない。普段、友達があまりに家に来ないので、お金を節約するために悠一は家具を買うのが億劫になった。

しかし、悠一はこの少女を家に連れ帰ってきたと、愕然としてこういう状況に気づいた。

　悠一は少し困ったように頭をかいていて、どうしたらいいか分からなかった。

「なるほど、これが人間の部屋なのか。」

後ろにいた少女が突然口を開いた。

　少女の変な言葉に合わせるために、悠一もそう言った。

「そうだね。すみません、今日は窮屈な思いをさせるしかなさそうだね。」

「いいんですよ。そんなことは気にしませんから。」

　彼女はこのようなロールプレイングゲームを楽しんでいるようだ。まあ、この時は邪魔しないほうがいいんだ。

　悠一はぐったりとベッドに横になった。それから黙ってタバコをつけて、そのまま静かに彼女を見ている。

　さて、今の状況はちょっとヤバそうで、未成年の少女を誘拐しているような気がした。

　それにしても自分は何も変なことをしていないから、刑務所には入りにはならないだろう。

「君、いったい誰だ?」

悠一はゆっくりと煙の輪を吐き出して、好奇心を持って尋ねた。

「ゴホン、ゴホン、よく聞いてくれ、ちっぽけな人間。私……私は悪魔ですよ。ところで、これはいったい何の魔の道具なのでしょう。威力がこんなにすごいとは。」

タバコの煙にむせながら涙を流す少女はこう答えた。

「名前だ。名前だって」

「千.千葉。」

「へえ。千千葉さんなのか?」

「いや、千葉だ!」

煙が強すぎたせいか、千葉は自分の涙ぐんだ顔を指さして説明した。

ええと、これはいったいどんな状況なのか。

悠一は手に持っているタバコの吸い殻を見て、このせいかな?　

「あ、すみません。」

そこで、悠一は自分の手に持っている吸い殻をもみ消した。

子供の前でタバコを吸うなんて、本当に失礼だね。でもこの後は……?自分は何をすべきなのだろう。

悠一は一瞬戸惑った。

少女と二人きりになると、悠一の脳は真っ白になっている。このような状況を悠一は今でも乗り越えられないようだ。しばらく呆然として座っていた悠一は、ようやく自分がこれ以上待つことができないことに気づき、目の前の少女に向かって言葉を濁してこう言った。「ええと、まあ、とにかくね。君はしばらくここで待っていてくれ、私はちょっと行ってくるから。いいか？」

少なくとも、今から一度は出かけなければならない。家に人が来た以上、準備をしなきゃ。

悠一は対人恐怖症だが、これぐらいのことは知っている。

「汝が行けば、早く帰れ。」

千葉は自然に承諾した。

千葉の様子を気にすることもなく、悠一は急ぎ足で階段を降りて行った。

２．

夕方、坂井悠一の部屋で。

「ルシフェル、そっちはどうだった?」

千葉は窓から遠くの景色を眺めながらこう言った。この声は少し冷たくてどことなく幼げに聞こえる。

「ご主人様、僕は今、騒がしい市場にいています。人間の世界に来たようでございます。」影も形もない人が答えた。それは遠雷の音のように濃厚で低い男の声だった。

千葉の胸にペンダントがかかっている。

音色鎖は指先のように大きく、黒ずんだ結晶体を結んでいて、この結晶体の周りには2つの金環に交差して囲まれている。美しい芸術品のように見えるが、精巧な計器のように見える。男の声はペンダントの中から聞こえてくるようだが、いったいどんな構造なのだろうか。

「どういうわけか、私の魔力は制限されているようだ。

千葉は眉をひそめて、自分の手から出たかすかな青い花火を見ながら言った。」

「そう、僕も同じです。どういうことかよくわかりませんが、この世界のエネルギーが不足しているからかもしれません。」

「なるほど。さあ、今すぐ会いに来てくる。何か問題があったら、その時になってから詳しく話して。」

[かしこまりました。]

話が終わったところに、

悠一はドアを押し開けて入ってきた。

ドアを開ける音が聞こえると、千葉は警戒して尋ねた。

[誰だ!]

それと同時に、素早く後ろに一歩下がった。結局うっかり壁にぶつかった。

「痛い！」

千葉が頭を抱えて叫ぶ場面を見ると、悠一はなんだかわけがわからなくなったが、手に持っていたショッピングバッグを提げて、「ただいま」と言った。

３．　

押し入ってくる招かれざる客をはっきりと見て、千叶はすぐ前のよそよそしい姿を取り戻した。

「ああ、お前だ。」

冷たいだね。

いや、これは私の家だ。

彼女は誰が客なのかを間違えたのか！

悠一の表情は少し硬くなった。

「お願い、お前だ、お前だなんて呼ばないでくれないか。僕には名前があるんだ。坂井悠というんだよ!」

「えっと。坂井…悠一さんですか。」

「そう、でも一般的には、フルネームで呼ばずに悠一と呼べばいい。」

「変な名前ですね。」

「名前は千葉だね、僕のことを言う資格はないんじゃないか。」

まったく。僕は菩薩を呼んで帰ってきたのか?

悠一は苦笑しながら、買ってきたものを机の上に置いた。

「買ってきたばかりのお弁当だよ。よろしければ、一緒に食べよう。」

悠一の言うことを聞くと千葉は頭を振って答えた。

「いいえ、悪魔は食べる必要がないから。でも…ご好意ありがとうございます。」

食べる必要はないって、

まあ、それはいいか、夕食代を節約してくれた。

千葉の答えを聞いてから、悠一はもう彼女のことは気にしないで、ショッピングバッグの中の弁当を取り出して、食べ始めた。

今日の夕食はオムライスだ。そのほか、プリンというデザートもあった。

一般的には女子がデザートが好きなのだろう。もともと悠一はそう思っていたが、彼女が食べないって、しかも値段がこんなに高くて、五百円ぐらいかかったね…へっ、へっ。

うう...考えているだけで心が痛んだ。

仕方がないなあ。こうなった上は、自分で食べるしかない。

泣きたい気持ちで、悠一は黙ってプリンのパッケージを開けた。

「これは何ですか。」

千葉の話を聞いて、悠一は少し気になった。

えっ?もしかして、彼女はプリンさえ食べたことがないか。

「プリンだよ……どうだ、食べてみる?」

あ、自分が食べる必要はないといっても、千葉は本当にこのプリンというものが気になった。

やってみたいという気持ちで、千葉はためらっている。

　このような千葉の様子を見て、悠一はため息をついたら、プリンを千葉の前に手渡すしかなかった。

「……安心しろよ。毒はないから」

悠一の言うことを聞いたら、なぜか空気が固まったようだ。

「……ねえ、こんな目で見るとはどういうことだろう?毒はないって言ったのに…見て」

プリンが本当に無毒無害であることを証明するために、悠一は自分で試食するしかなかった。

彼は悪意がなさそうだ。

千葉はやっとプリンを挟んで、慎重に自分の口に入れた。

「えっ、おいしくないの?」

悠一は繰り返し味わってから黙っている千叶を見て、好奇心を持って尋ねた。

いや、美味しくないわけではないが、千葉にとってこれはまさに人間のグルメである。

しかし、悪魔の尊厳を考えると、千葉は我慢するしかなかった。とうとう

こう言わざるを得なかった

「うん。まあ……まあです。」

「は？」