第14話 目指すのは究極の物理?

【ステータス】


銘 星鎌セイレン


武器部類:大鎌サイズ 装備者:レン・グリタラット


筋力+0 魔導攻撃力+00000


レン専用装備


スキル 不壊 魔力吸収 付喪神 なし なし


呪い:神呪しんじゅ



ステータスに示されたのは伝説の勇者すら持ち得ないような強力な武器。星空を象った《かたど》ような刃。柄の部分はシンプルにできているが、手に馴染むような感覚がある。


というより…引っ付いて離れない感覚がある。


「パンドラ。助けて」


「どうしたのぉ、ご主人様?」


「取れない」


「はぁっ!?」


両手で持ってみたはいいものの、接着剤がついているのかと思うほど取れない。というより離れない。

パンドラが剥がそうと一生懸命引っ張るが、やはり取れない。


「取れないわよぉ、ご主人様ぁ!うわぁ!?」


勢い余って尻餅をついてしまうパンドラ。

やはりダメか…。と落ち込んでいるとレンはあることに気づく。


「……魔力が減ってる」


「?それは一体どういう…」


「【ステータス】」



【ステータス】

レン・グリタラット   Lv1


天職:鎌使い 属性:星 状態異常:神呪Lv10


筋力:99/40000 防御力:99/100 魔導攻撃力:   

魔導防御力:99/5000 俊敏性:99/30000

体力:99/20000 魔力:10/30000


スキル 鎌術 鎌召喚(星鎌) 星魔術 なし なし


奴隷契約:パンドラ

  内容:レンの命令は絶対遵守




レンの読み通り、魔力が一気に減っていた。ただ、それだけではなく…。


「【ステータス】が弱体化してる?それに状態異常:神呪ってなんだ?」


「え!?ご主人様神呪にかかったの?」


「そうみたいだけど…これって何か知ってる?」


「ええっとぉ、答えられる範囲で説明するならぁ、文字通り神様の呪いだけどぉ…。呪いというより縛り、試練と言う方がわかりやすいかしらぁ…」


「というと?」


「神呪は数百年に一度人族や魔族だけでなく、様々な種族の中からたった一人だけがかかる呪いなの。呪いにかかるとステータスや成長が阻害されるらしいわぁ。呪いはLv0になれば解呪されるけど、戦闘の経験値が解呪する方に流れちゃうから解呪できる前に死んでしまったり、諦めてしまう人が多いの。それでも解呪されれば普通の人族や魔族とは格が違う力を手に入れられるわねぇ…」


「力?例えば?」


「神呪にかかった者は全員、魔王になっているわ。この私、パンドラを含めてね」


「!もしかしてパンドラも神呪にかかっていたのか?」


「まあ、一応。だけど、私も人族だったときとっても不便だったわぁ。魔術も使えなければ力も弱い。少し歩いただけでバテてしまうのだもの」


懐かしみながら語るパンドラ。その中で引っかかることが聞こえた。


「パンドラ。もしかしてだが神呪のときは魔術は使えないのか?」


「ええ。魔術は使えないわよ?だから当時は私も女戦士として、殴って蹴っての繰り返しだったわぁ。でもステータスが上がらないわけではないから、神呪にかかって数十年後に魔術が使えるようになったわねぇ」


「ちなみにどんな魔術だった?」


「初級魔術ね。威力もお粗末なものしか出なかったわぁ。火炎瓶とかを使って魔術の威力を上げてたときもあったわねぇ」


話を聞いた限り、つまりこういうことになる。













レンは、魔術を使えない。




「せっかく星魔術というスキルを貰ったのに使えない?」


「使えないことはないけど、星鎌のスキル『魔力吸収』のこともあるだろうから威力が高い魔術は一日5回しか使えないのではないかしらぁ?」


「パンドラ。どうすればいいと思う?」


少し間を開けてパンドラが言う。



「レベルを上げて物理で殴る」







「やっぱそうなるよなぁーーーー!」





前途多難な鎌使いは力なく叫んだのだった。











           ★



「えっ、ちょっと待って…。もう一度言ってくれるかい?」


「だから、剣神が転生してるわよ」


「「えー!!」」


創造神と魔術神が揃って叫ぶ。青ざめた様子の創造神と驚きのあまり固まっている魔術神。


「数日前だったかしら?変な魔力が天界からあっちの方に行ったなーと思って。しかも最近また魔族がこっちの方に来るから殲滅に行ってたの。だいたいこういう仕事って剣神がするから量が増えてるし、おかしいなーって。剣神の部下に聞いたら最近剣神を見かけないって言ってて。で、ああ、あれか。って思ったわけ」


いつの間にか消えていた剣神のことを気づかずに普通に仕事をしていた創造神もだが、剣神のところへよく遊びに行く魔術神が気づかなかったということは、多分転生者と同じタイミングで転生したんだろう。


紅茶に口をつける鎌神とは対象的に焦る二人。


「どうしよう、いくらなんでも神が転生とか無茶をしすぎじゃないか!道理でなんか数日静かだなーって思ったわけだよ…。やっぱり責任問題とかあるのかな…?」 


「ひええ!!!天界を抜けて転生!?こっちの方のお仕事はまだ残っているのに!それに転生ってだめではないんですか?!レン君と戦ったときからなんかおかしいなーと思いましたけど!」


「どうせ剣神のことよ。多分レンに負けたのが悔しいから転生したんでしょう。彼女は可愛いところがあるから」


「確かに負けず嫌いなところあるけどさー。まさか転生するとは思わないじゃん?!どうしよ、どうしよー?!」


頭を悩ませる創造神。するとどこからかこえが声が聞こえる。


「ならー、私達にー、まかせてくれなーい?」


「姉さんのわがままにはよくつきあわされたので」


声とともに現れたのは賢神と拳神だった。


「あれ!賢神と拳神じゃないですか!なぜここに?」


「話を聞きに来ていたので。姉さんは誰かに負けたのでしょう?よくあること、ではありませんが小さい頃あんなことをしていたので」


「特訓と言われてー、振り回されたもんねー」


昔のことをしみじみと語る二神。それが何に繋がるのかと不思議に思う魔術神を他所に更に語りだす。


「姉さんは一度負けた相手にもう一度負けるなんてことはなかったですね。今回も同じように姉さんを倒した誰かに勝つのでしょうし。ですが今回は…」


「まさかー、おねーちゃんがー、ただの人族に負けたんだもんねー。流石にー、人族に手を出すのはーちょっとだめじゃない?」


「二神がまともなことを…!創造神として嬉しいよホント……!」


二神のお母さんかと思うほどに感動の涙を流す創造神。呆れた目で創造神を見ながらも魔術神は考える。


確かに剣神は止めなければならない。けれど、その方法は?まさか創造神が地上に干渉するのか?

そんな考えの予想を超えてくることを二神が言う。


「私達は姉さんを止めなければいけません。というわけで、創造神」


「私達をー、地上にー、転生させてくれない?」


「「は?」」


「なるほどね」


あまりの驚きに固まる創造神と魔術神。そして何故か納得している鎌神ディア。彼らは何を考えているのかと思ってしまう。というか口に出てしまう。


「あなたたちは、なんてことを考えるんですか!」


「姉さんがおとなしくこちらに戻ってくると思いますか?私はそうは思いませんし、何があっても姉さんは転生者のレン?でしたっけ?その方と戦うことになるでしょうね。そのときに影響があるのは彼ら二人ではなく、地上の方です」


「もしー、おねーちゃんがー、本気を出して戦うことになったらー、地上は吹き飛ぶしー、おねーちゃんを倒したレンくんがー、どうなっちゃうのかなー?」


「そのためにも私達は一刻も早く姉を天界に送らなければならないのです。さあ、早くしてください。準備はもうできてますよ!」


ここでふと疑問に思った創造神は尋ねる。


「準備って…仕事は?!色々と任せていたはずだけど?」


「「終わっている」よー」


「あー、わかったわかった!二神の転生を認めるよ!なんてことが起こったんだ全く…」





かくして『剣神を天界へ連れ戻す作戦』に賢神と拳神が向かうこととなった。






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