第13話 スキル
天職を得た際、色々とスキルを入手したのでそのテストだ。その場でやるのは少し違う気がしたので、レンは王城の訓練場まで来ていた。誰もいなかったので検証には好都合だ。
「なんかすごいスキルが手に入っていたような気がするんだが…。ステータスも上がっていたし。
【ステータス】!」
レンが声を発すると透明なボードが浮かび上がる。
そう、これがステータスボード。ちなみにこれはスキルとはまた別のものである。
【ステータス】
レン・グリタラット Lv1
天職:鎌使い 属性:星
筋力:40000 防御力:100 魔導攻撃力:
魔導防御力:5000 俊敏性:30000
体力:20000 魔力:30000
スキル 鎌術 鎌召喚 星魔術 なし なし
奴隷契約:パンドラ
内容:レンの命令は絶対遵守
ステータスも増えてるけど、それよりも気になるのがスキルだ。
鎌術ってのは鎌の使い方が上手くなるスキル。…正直必要かどうかわからない。というよりむしろいらない。天界であれだけ修行していたのだから必要ないように思える。
星魔導・大ってこれなんだろ?星魔導の適性とかだったらわかるけど、適性とかではなさそうだ。大って付いてるから何かいい効果があるかもしれない。今後に期待。
そんでもってコレ。鎌召喚。一番ヤバそうだったから最後に確認したけど、一体これなんなんだろう?
「パンドラ、僕のスキルの中に鎌召喚ってあったんだけど、これについて何か知ってる?」
「ああ、武器召喚系のスキルねぇ。確か遠くにある武器を召喚できるとかじゃなかったかしらぁ。そういうスキルの持ち主と戦ったことはあれど、仲良くなっているわけではないわぁ。スキルについての知識はそれくらいよぉ」
「ん、ありがと」
「!? ご、ご主人様から優しい言葉が!?ふ、普段いじわるされてばかりだから、たまにはこういうのも幸せかも…」
今、乙女のオーラを感じた。もしかしてパンドラは優しくされることに弱い?!そう気づいたレンはパンドラになるべくやさ〜しく接して行こうと決める。
それは置いといて。
「やってみなきゃわかんないな。それじゃ、早速。『
スキルを発動すると同時に目の前に光が集まってくる。光がレンの理想を読み取り、最高の鎌を作り上げていく。
光が収まったとき、目の前にあったのは無骨な一振りの大鎌だった。
「「おお〜〜!!!」」
声を合わせて感嘆の声を漏らすレンとパンドラ。どうしてこんな大鎌が出てきたのか。どういう理屈かもわからないがそこは異世界ファンタジーで片付く問題である。
握り心地は抜群。重くもなく軽くもない自分に合わせたように作られた大鎌。確かにこのスキルはいいものだ!
大鎌をよく見ているとパンドラがなにかに気づいた。
「ご主人様、これ鎌にもスキルが付いてるわよぉ」
「え、マジか?」
「私がご主人様に嘘をつくような魔王だと思ってるぅ?まったく、普段私のことをどう思ってるかしら…?」
「従順なペット」
「冷たいご主人様も、イイっっ……」
恍惚な表情を浮かべるパンドラ。どこで間違えただろう…。
「まぁいいや。【ステータス】!」
すると鎌の上にステータスボードが浮かび上がる。
【ステータス】
銘 なし
武器部類:
筋力+1 魔導攻撃力+
レン専用装備
スキル 不壊 なし なし なし なし
「!!ご主人様、これ不壊のスキルよぉ!とても珍しいスキルなのよぉ!?」
不壊のスキル。文字通り、壊れることがない武器。つまるところ、この鎌はめっちゃ便利ということだ。
「……ある程度雑に扱っても良さそうだな」
「伝説の武器にも付与されていることが滅多にない超超超ド級のスキルなのよぉ!!!???」
「それってつまり…。めっっっっちゃレア?」
「めっっっっっちゃレア。勇者が使う聖剣と同レベルの強さなのよねぇ…」
「やっば」
まさかの事実にほんの少しだけ驚くレン。鎌をまじまじと見ているとあることに気づく。
「なぁ、パンドラ」
「何かしらぁ?」
「この武器…銘は?」
「あ」
この世界に存在する武器には絶対に銘が入っている。例えそれが木剣だろうと聖剣だろうと魔杖だろうと投げナイフだろうと。例外がないわけではないが武器というのは名前がないと真価を発揮しない。
つまり、この武器は更に強くなる可能性を秘めているということだ。
「どうするのぉ、ご主人様…?」
「そりゃ名付けるけど…。どうなるんだろうな一体」
「魔王でもそんな頭のおかしな武器は持ってないわよぉ…」
というわけで銘を付ける。といっても別段おかしな銘を付けるわけでもない。長々しい銘をつけてもそこまでいいことはないと思う。
しばらく考えて、思いつく。
「『
そうつぶやいた瞬間、鎌から光が溢れ出す。
「うおっ!?」
「なぁにぃ、これぇ!??」
しばらくして光が収まると再び手の中に鎌があった。
ただし、その鎌のオーラは先程とは桁違いだ。淡く輝く鎌に嫌というほど目がいく。
「これで強化されたっぽい?ええっと、【ステータス】!」
【ステータス】
銘
武器部類:
筋力+0 魔導攻撃力+00000
レン専用装備
スキル 不壊 魔力吸収 付喪神 なし なし
呪い:
「「は?」」
あまりの情報の多さに固まってしまうレンとパンドラだった。
★
一方その頃。天界では『いつもの』お茶会が開かれていた。優雅にお茶を飲む
「ところで何故あなたはここにいるの、創造神?」
「いてはいけないかい?」
「当たり前ですよ、女神だけでのお茶会なんですから。といってもほとんど来ていませんケド…」
「ん〜でもまぁ話すことといったら転生者のことだよね」
創造神が話を振り、
「レンのあれ、どう考えてもあのときの暴走のやつでしょう?魔術神、あなた封印してなかったの?」
「封印していたはずなんですよ!なのになんで…」
「ああ、あれね。封印が解けたからだろう?レンの中にいるのは壊滅指定の神々の魂だろう?魔術神ではまだ若すぎたんだよ」
「私も一応神なのですが…」
「年季が違うってことだよ。純粋な力の差が開いていたんだろうね」
魔術神が落ち込み、
「そういえばレン君が手に入れたスキルってどうなっていましたっけ?」
「鎌術、鎌召喚、星魔術の3つだったはずよ。というか何なの、鎌召喚のスキル」
「ああ、僕が干渉しておいたよ」
「感謝を言うのはあまり気がすすまないけど…ありがとう」
「気がすすまないと素直に言われてもねぇ…」
あっさりとした事実を述べる創造神に驚く魔術神。
「え!?創造神、干渉したんですか?!」
「うん、したけれど?」
「……だめなのでは?」
悪びれる様子もなく飄々としている創造神。
「だめなのかもしれないけれど、彼、面白いだろう?すでに魔王を一人下したのだから天界に上げてもいいかもしれないけれど…」
「けれど?」
「あの様子なら他の魔王まで倒してしまうかもしれない。そうは思わないかい?」
何事にも興味を持たず、執着しない創造神の姿からは考えられないような言葉だ。レンが全ての魔王を倒すという馬鹿げた夢のような話を本気で信じている。何がそこまで創造神の興味を引くのだろうか。
そう魔術神が考えていると創造神がその考えを見透かしたように言う。
「彼はすごかったんだよ?彼と出会ったときは驚いたさ。なんせ彼は……僕の魔力を受けても正気を保っていたんだから」
神の魔力というのは膨大で無限に感じられるほどだ。通常、自分より格上の存在の魔力にあてられると死んでしまう。それが神、世界の最上位の存在なら人間一人容易く殺せる。だというのに死ななかった。
「ということは…………レン君は
「あれだけ神々と同等に渡り合える力を持っていればそういうこともあるでしょ」
「
「予想していたことよ。出会ったときからおかしかったし」
さらっと答える
「まぁ、これからもレンを見守っていけばいいさ」
「そうね」「ですね…」
創造神が締めの言葉を言って茶会を終わろうとする。
「創造神。ちょっといいかしら」
「なんだい、
「非常に言いづらいのだけど……。剣神、転生してるわよ?」
さらなる爆弾を落として茶会は終わったのだった。
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長らく出さないですみませんでした。
ちなみに!魔導→魔術に書き換えたのでそのご報告を。それをやっていたらいつの間にか時間が潰れていました…。
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