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 後片づけもすっかり終えると、最近ようやく与えられた部室に戻り、平見はため息をついた。

 お菓子を持ち寄り、部員四人で簡単な打ち上げをする。

「あの人おまえの従姉なんだろ、佐藤。なにか知らないのか」

 水を向けられた佐藤は、めがねの位置を直し、肩を小さくした。

「ひえ、なんのことだかわからないなぁ」

「いいよごまかさなくて。怒らないから教えてくれよ」

「……小さい頃に何度か遊んだことはあるんだけど、ここ十年くらい親戚の集まりにはこないし、学校にも行かず、ずっと引きこもりだったらしい。それで、最近ようやく外に出たと思ったらアレで。なにかの事件の『犯人』になりたいそうで」

「やっかいすぎる人物じゃねえか……」

 犯罪を起こして回るよりはマシかもしれないが、犯人ではないのに事件の犯人になりたがるという心理は理解に苦しむ。妄想だけならまだしも行動に移すとは。

 そのとき、ひそやかなノックの音が響いた。

「――お邪魔いたします」

 訪ねてきたのは意外な人物。

 ミス・テリアスのお付きの婦人――高杉である。

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