1月28日 「私は、「桃太郎」の話が大好きなんです。… (和田 裕美)

「私は、「桃太郎」の話が大好きなんです。ここには「チャンスを引き寄せる方法」と、「チャンスをつかむ方法」が潜んでいます。


 ここでいうチャンスは、出会いです。


 昔話「桃太郎」で、チャンスをつかんだ幸せ者はいったい誰か?


 あの物語では、桃太郎もキジもイヌもサルも、危険をおかして鬼ヶ島に行き鬼を退治することで、栄誉と宝と人からの感謝を手に入れ、かなり幸せになりました。


 私が思うのは、その脇役たち。


 主人公以上に運が強く、運命の出会いを引き寄せたのは、桃太郎のおばあさんじゃないかと思うのです(おじいさんもそうですが)。


 おばあさんは毎日、川へ洗濯に行きます。きっと暑い日も雪の日も、川に出かけていったのです


 毎日、毎日、川に洗濯に、腰痛になったり、あかぎれをつくりながら行く。


 おばあさんは、「寒い日に水にさわるのは嫌だな」とも、「こんな炎天下では死にそうだから、おじいさん、今日は洗濯はやめときましょ」とも言わなかったと思うのです。


 何も言わずに、同じことを黙々と続けているのです。そうしたら、桃が流れてきます。向こうからやってきます。


 どんぶらこ、どんぶらこ、と、おばあさんの前までやってきます。


 桃が流れてきたときに、おばあさんは喜んでそれを受け取って、持って帰る。


 そして、桃太郎が生まれるのです。」


『和田裕美の今の仕事がつまらないと思ったら読む本』 和田裕美


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